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♨漫遊記#18 南阿蘇・久木野温泉

南阿蘇村の久木野くぎの温泉は、いまでこそ数ヶ所ありますが、30数年前には1つも存在しませんでした。久木野温泉は合併前の旧・久木野村にある温泉ですが、当時は阿蘇の”温泉の空白地帯”でした。当時の村長さんは、温泉に並々ならぬ熱意を持っていて、温泉を核にした村おこしをしたいと考えていました。

そこで白羽の矢が立ったのが、九州大学の物理探査学研究室です。当時の教授が久木野村からの依頼を受けて、温泉探査をすることになりました。もちろん私も調査に参加しました。当時は、電気探査・シュランベルジャー法を広範囲に実施して、有望地域を絞り込みました。結論から言うと、温泉掘削に成功しました。

温泉掘削に大喜びの村長さんは、即席ですが立派な露天風呂を作っていました。私たち一行も、その露天風呂に入りました。しかし、その露天風呂は今はありません。というのも、保健所の水質検査が終わっていないのに、村長さんがフライングして露天風呂を作っていたため、”露天風呂の撤去命令”が出てしまいました。こうして”幻の露天風呂”は、僅か1週間程度で消滅しました。

この温泉の流れを汲む久木野温泉・木の香湯は、雄大な阿蘇の自然を満喫できる露天風呂が自慢でしたが、2016年4月の熊本地震により被害を受け、残念ながら今は営業を休止中です。

”幻の露天風呂”以降、この地を訪れていません。今は村名も南阿蘇村に代わってしまいました。急に懐かしくなって、当時のことを思い出しました。

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