♨漫遊記#10 熊本・地獄温泉
熊本県の南阿蘇村に地獄温泉と言う恐ろしい名前の温泉があります。この地獄温泉の代名詞である“すずめの湯”は、PH2.6の強酸性の硫黄温泉です。この温泉は、究極のかけ流しで、足元からプクプクと源泉が湧き出しているので、混じりっけなしの自然の状態で入ることができる、まさに奇跡の温泉です、この湯につかると、硫黄を含んだ温泉がじんわりと肌にしみ込むそうです。
足下からプクプクと湧き出したお湯は、温泉の表面でピチピチとはじけます。次から次へと弾ける音が、まるで雀が鳴いているように聞こえることから、雀の湯と名付けられたそうです。この温泉は、熊本地震の影響を受けて一時期閉鎖されていましたが、2019年から再開されました。
地獄温泉には、南阿蘇の温泉探査をしていた時に、行ったことがあります。この温泉には、もう一つの名物があります。それが、仇討ちの湯です。以前混浴だった露天岩風呂(現・男性専用)の上に、女性のために露天風呂が作られました。仇討ちの湯は地獄温泉で一番高いところに位置し、上から男性を見下ろせるので、このように命名された露天風呂です。私たち温泉調査隊は、覗かれる男湯の露天風呂に入りました。
この露天風呂は、いつも覗かれてばかりでは不公平ということで、男湯を覗けるつくりになっています。ただし、身を乗り出さないと見えないそうで、そうすると自分自身も見えてしまいます。この露天風呂は、森に囲まれているので、温泉と同時に森林浴も楽しめます。