カラダを感じる。異常を異常として。
ぼくは整体指導者の仲間うちではそんなに敏感な手を持っている方じゃない。
敏感な手を持っている友人は
愉気をしていて硬結に触れると尖ったガラス片を押さえているみたいで痛くて触れていられないなんてことがある。
この硬結、錆びた鉄みたいな感触がして長時間ふれていられないって言われたこともある。
ワインソムリエ世界チャンピオンの田崎さんは
ワインの味わいを細かく感じ取れているから豊かに言葉で表現されている。
敏感な手を持っていて羨ましいなぁと
ワインソムリエの世界だったら
さながら田崎さんを仰ぎ見るように友人に憧れを抱いていた。
ところが頭の穴追いの愉気をしているとそんなぼくですら
ふれている親指が焼かれるような異常を感じることがある。
さぞかし押さえられている本人も痛みを感じているだろうと思って
尋ねてみるんだけど
何も感じませんってことはよくある。
というか活元運動の訓練をされていない方ならばほぼ全員といってもいい。
それはもの凄く「感じる」力を失っているカラダってことを示している。
カラダの弾力がとり戻ってくると
こちらが感じている異常を
穴追いの愉気を受けている側も感じられるようになる。
押さえられている場所が痛いって、異常があるんだなって。
穴追いの愉気を行う時にはそんな異常な硬結がいるだろうなと覚悟して行うことが多い。
ところが今日そこまでの覚悟もなく穴追いの愉気を行っていて
驚くような凄い硬結に遭遇した。
押さえているぼくの親指が激痛に襲われた。
しかも愉気を必要としてる場所なんだろうね
頭骨上で穴追いをしていて動いていたぼくの指がピタッと止まって動かなくなった。
そのまま愉気を続けていたんだけど
あまりに痛くて涙が滲み出てくる。
ふれている部位の異常にふれて痛みを感じることは今までもあったんだけど
指先で経験したことのないレベルの痛みを感じとっていた。
あまりに痛くて指先の感覚がじょじょに麻痺してくる。
案の定、押さえているぼくは耐え難いほどの激痛を感じているのに
受けている方はまったく痛みを感じていなかった (>_<)
指先の痛みをこらえ
涙を堪えながら
カラダの鈍りのすさまじさをまざまざと見せつけられていた。
「感じる」世界じゃなくって
「考える」世界に属しているのが鈍っているカラダ。
つねに頭の中で不安や心配、怖れ、自己否定などの言葉が鳴り響いていて
脳内の思考に支配されている。
その光景は映画「マトリックス」とまったく同じ。
ハッピーちゃんが提唱しているエゴキンマンに支配されている状態。
数日前に大地震を経験したとしても
地震が起きていない「いま」も
地震が起きたらどうしようという恐怖を感じているのなら
完全にマトリックス(仮想現実)の支配下にあなたはいるってことになる。
これは分かりやすい例だけど
昼間、会社で受けた叱責を帰宅してもずっと頭の中で考えているのなら
完全にマトリックスの支配下にいて
あなたは「いま」にはいない。
一カ月前に失恋していまだに元カレのことをずっと頭の中で思い返しているのなら
完全にマトリックスの支配下にいて
あなたは「いま」を感じられていない。
だとすると実はほとんどみんなマトリックスの支配下にいるってことが分かる。
こんなことを書いているぼくも6年付き合っていた人と別れたときに
1年くらい引きずっていたこともある。
振り返ってみれば当然「いま」を感じられていなかった。
完全にマトリックスの支配下にいたってこと。
マトリックスに支配されている「考える」モードにいると
常に「いま」にしか存在していないカラダを「感じる」ことが出来ない。
だから「いま」にしか存在できないカラダを感じたり
「いま」に存在している呼吸に意識を向けることが
マトリックスの支配からの脱出に効果があるわけ。
先日、頭の穴追いの愉気をしていてぼくが感じた痛みも
ご本人は何も感じませんと言う。
ところがその場所は7年前に帯状疱疹が出た場所だった。
不思議なのは痛みを感じませんと本人は言っているのに
ぼくがその異常に愉気をしていると
頭が揺れ出して活元運動が出てくるの。
カラダという無意識は
その場所に愉気を欲していることを示していた。
鈍ってしまっていて意識では感じていなくても
無意識ではちゃんと感じ取っている。
だからこそカラダを感じるって大切になってくる。
異常を異常として感じられるために。
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