教師のささやかなやりがい 山中りんたそ
最近は隠さなくなってきているので、改めて自己紹介申し上げますが、私は現在中学校3年生の担任をしている社会科教師である。
日々、社会科は暗記科目ではなく、思考力を高め、多面的・多角的な視点で現代社会を見ることができるような生徒の育成に注力している。
そんな私の授業を3年間受けてきている学年の生徒である。かなりいい具合に育ってきた。
それを実感したのは、今日の給食の時間。
放送委員の彼は昨日、食事中のおしゃべりに夢中になってしまい、食後の放送当番に遅れてしまっていた。そのことについて、「委員会の仕事は責任をもってできるといいね。」と指導しての今日。彼は「いただきます。」をするなり高らかに「今日は黙って早く食べます」とクラスのみんなに向かって宣言した。
しかし、その10分後。自分自身で選んだ曲が流れてきたのだろう。ノリノリな彼。しまいには歌い出す始末である。
すかさず周りの友達から「お前、黙って早く食べるって言ってたじゃん。」と野次が飛んできた。
それに対して、
「俺がさっき言ったのは”宣言”だから、拘束力はなくて努力義務なの。世界人権宣言と一緒。」
と彼。
すると
「じゃあ、さっさと条約結べ。国際人権規約にしろ。」
と周囲。
なんという素晴らしい知性の働かせ方。それを聞いていた担任の私は、ただただニヤニヤするだけであった。
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