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記事一覧
『ファウスト』【映画鑑賞記録#10】
ヤンシュヴァンクマイエル監督・脚本作品、『ファウスト』を鑑賞。チェコの鬼才と謳われるヤンシュヴァンクマイエル。彼の作品のうち最も有名なのは『アリス』(1988)だろうか。
あらすじは、ゲーテの『ファウスト』とはおおよそ異なる。原作が救済で終演するのに対し、こちらの『ファウスト』は悪魔の勝利で幕を閉じる。
また、主人公ファウストの悪道も強調されていない。原作の主題はそのままに、現代におけるファウスト
『青いパパイヤの香り』-熟れを愁ふ-【映画鑑賞記録#8】
トラン・アン・ユン監督作品『青いパパイヤの香り』鑑賞。1994年の日本公開に一年先立ちフランスで初公開。監督は出自をベトナムとし、12歳のころにフランスへ移住したそう。作品から漂うパリ風の気品はそうした背景によるものなのだろうか。
人心が紡ぐ繊細な人間関係、洗練された美術が印象的。さらに、目を引くのは異国情緒に富んだベトナムの風情。植物、インテリア、調度品に反映されており、自然と調和した品の良い
『ファンタスティック・プラネット』【映画鑑賞記録#7】
『ファンタスティック・プラネット』(1973年初公開)鑑賞。フランス人作家のステファン・ウルによる長編小説をアニメ化した作品。しばしばネット上で話題にあがるので長いこと興味があった。Amazon primeで公開されていた折に。
見はじめて真っ先に感じたのは東欧趣味。制作国にはフランスとの表記が。フランスにもここまでニッチな世界観があるのかと、少し意外。
おそらく色彩や画風からチェコの人形劇や、
『桜桃の味』-ひとつ未練があればいい-【映画鑑賞記録#6】
イラン出身、アッバス・キアロスタミ監督作品『桜桃の味』(1998年公開)鑑賞。
同監督作品では『友だちのうちはどこ?』、視聴済み。主演の子役が可愛らしくて印象的だった。
イランの風景にもペルシア語にも馴染みがないと思っていたけど、そういうものの風情にもたらされる心の動きは世界共通なようで。中東諸国がすぐ近くに感じられる作品。
あらすじは淡白。ある種ロードムービーのよう。または登場人物の顔を映す
『私の20世紀』【映画鑑賞記録#5】
1989年公開、ハンガリー出身インディゴー・エニェディ監督作品、『私の20世紀』の鑑賞記録です。
原題は『Az én XX. századom』。ローマ数字表記が格好いい。
まだまだ上半期も終えていないのに2024年でみた中で一番好みな、それどころか自分のお気に入りの5本指に入りそうな作品と出会えました。嬉しい。本文の方もなにやら長くなってしまいそうな。
世界観は幻想的、SFっぽい。寓話と科学が
『求婚』【映画鑑賞記録#4】
クリスティナ・ゴダ監督作品『求婚』の視聴記録です。
舞台は1920年代のハンガリー(らしい)。マジャール語です。あまり耳馴染みのない言語。
背景美術の方はというと全体的にクラシカルでお上品。現実(現代)離れしています。戦後とは思えない平和な世界観。
また、ハンガリーといえばドナウの真珠と謳われるブダペスト。
この都市を舞台にした『桃色の店』、そのリメイクである『グッド・オールド・サマータイム』の
マッチ工場の少女【映画鑑賞記録#2】
アキ・カウリスマキ監督作品、『マッチ工場の少女』の鑑賞記録です。
カウリスマキ作品は他にも何本か視聴しましたが、こちらの『マッチ工場の少女』が一番好みでした。
他に『浮き雲』(希望に満ちたエンディングに意外性あり)、『パラダイスの夕暮れ』(渋い男たちの義理人情あつい)も良かったです。
本作も、他作品同様ダークで毒っけのある世界観です。ドロドロしたやつじゃなくて、劇物っぽい刺激的な毒。
あとは、な
「哀れなるものたち」ー現代という現実を生きるー【映画鑑賞記録#1】
「哀れなるものたち」の鑑賞記録(自分用おぼえがき)です。後述しますが、内容に自分の核心に触れるテーマ性があったので、しっかり文章に書き残そうと思い記事を綴りました。
駆け足でまとめたので説得力に欠けとっ散らかっています。でも久しぶりに文字にもみくちゃにされてデトックスできました。すっきり。
はじめに 半年近くぶりに映画館で鑑賞しました。家の方がリラックスできるので、映画鑑賞はサブスクが主です