カフェインの摂取で組織柔軟性は低下するのか?
皆さんこんにちは。
北海道・若手治療家コミュニティの
花田隼人(@hokkaido_wakate)です。
花田の臨床観に多大な影響をもたらした
反面教師がいるのですが、
そのエピソードが
ふと頭によぎったので
ネタに書かせていただきます。
退行性変性は
禁カフェインで改善するか?
・椎間板症
・腱板損傷
・変形性膝関節症
などなど、
「退行性変性」を基盤として生じる
疾患群は我々が相手にすることが
多い症例かと思います。
これらの疾患でよく語られるのが
「組織の保水性低下」で、
その際にしばしば悪者にされるのが
「カフェイン」による利尿作用です。
花田を教え育てた先輩は
退行性変性を基盤とする症状に出会うと
必ずこんな説明をしていました。
▼
①お茶飲みますか?
②お茶を飲む習慣は良くないのです
③カフェインが入っています
④飲んだ水分を1とすると、尿として体から出ていく水分が1.1と言われています
⑤飲んだ量より出ていく量が多いので水分補給にならないのです
⑥脱水が起こることによって、筋肉や関節の柔軟性が低下してしまいます
▲
さて問題は
⑤「水分補給にならない」
⑥「脱水が起こる→柔軟性低下」
ここについてです。
お茶を飲む習慣は
程度の差こそあれど
日本人の多くが実行していると思います。
では、
摂取した水分1に対して
排出される水分が1.1で
その習慣が継続しているというのであれば、
体の中の水分は
どこかで底をつくはずです。
体重の60%が水分だとして、
60kgの人で36kgは水分です。
1日あたり1.2Lを飲料水から摂取するとして
これが全てお茶であれば
1.2L×1.1=1.32Lで
1.32L利尿されることになり
その差120mLがマイナスとなります。
すると
体内の36kg(仮に36Lとして)の水分を
およそ300日で全て失う
計算となってしまいます。
果たしてお茶を飲む習慣がある程度の
カフェインの摂取によって
体がカラカラに
干からびた例などあるでしょうか。
ありませんよね?
体内から
水分がなくなるなんてことはなく
お茶を飲む習慣程度の利尿作用は
何か別の力で相殺されてしまうというわけです。
カフェインによる利尿が
退行性変性の要因であるという主張は
この時点でかなり怪しくなります。
カフェインの利尿作用によって
カリウムを排出しすぎて
低カリウム血症になるということは
起こりうるでしょうから、
発汗量が増えて
体内のイオンバランスが崩れやすい夏や、
スポーツ選手の水分補給に
カフェイン含有のものは勧められませんが、
「退行性変性」という
何人も避けられない自然の摂理に対して
禁カフェインで対処しようというのは
焼石に水もいいところだと思います。
WHOが推奨する塩分量
1日4gの基準を大幅に超える
日本の食生活背景や、
高血圧をベースとした
疾患が増えている
日本の医療概況を踏まえても
日常的な塩分摂取の方が、
体液量の増減に影響を及ぼすチャンスは
圧倒的に多いはずです。
むしろそこまでをセットにして
「お茶を飲んでカフェインを摂り
食事の塩分で体液を保持する食文化」
といえる可能性すらあります。
例えばの話
そこにバランスが整っているならば、
安易に禁カフェインを指示して
体液の利尿を抑制させれば
体液量が増して血圧が上昇したり、
浮腫が形成されたりする可能性が高まる例も
中にはあるのではないでしょうか。
もちろん
エナジードリンクの大量摂取などのような
明らかな過剰摂取となる
不適切なカフェインの摂取は
そもそも回避されるべきですが、
目の前の腰痛や肩こりを
軽減させようという話の中で
「お茶を飲む習慣」をやめさせることが
果たしてどれほど体を変える力があるのか?
という話です。
ただ良い、悪いの話で
特定の栄養素を生活から
取り除こうとするのではなく
個人の栄養状態を
俯瞰的に見る必要があるわけです。
何の生活背景もまだよく知らない
目の前の患者の食生活に対して、
知っている知識をポンポン投げて
「あれはダメこれはダメ」言うことが
栄養指導ではないと思うところです。
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