少しずつ朝日が昇ってきて、街が色づいていく 近くのビルの上にいるカラスの羽が空色に染まる コーヒーを啜りながら景色を眺める カラスと共に一日が始まるのを見ている まるで映画館のスクリーンを見ているような 隣り合った席で、カラスと並んでポップコーンを食べているような
ありがとうは、あなたのためにある言葉 さよならは、ぼくのためにある言葉 結婚という二文字が魅力的だったころ 幸せは当たり前だった 月日はあらゆるものを変貌させ 幸せってことを考える一瞬もなくなってしまった あなたにさようならを言う前に いま あなたにありがとうと言っておこう!
16のとき分校のグラウンドに寝そべって流星群を眺めた 惜しみなく流れる白い軌跡を見つけるたびに金金金など、真剣さのないお願いをたくさんして、ばかだねと笑いあった あの濃密で軽薄な匂いはもう嗅げない 惜しみなく手放してしまったわたしの夏たちはガラスの中で、今もどこかの夜を漂っている