Twitter詩 2020.1
この時が
いつか過去のものとなる
光が射すことを祈って
進むことしかできなかった
かなしみも
苦しみも
消えることが
許せないわけではないのに
誰も気付かない
涙が落ちる前
見上げると雲間から虹
わたしだけが
今なおここにいる
(200117)
見慣れたはずの日常に
異様に喉が渇く仕様で
空っぽのグラスに注ぐ
清涼飲料の青のラベル
希望も絶望もない日々
誰も傷付かないように
何重ものフィルターを
備えてできた壁で囲う
一瞬の安らぎを求めて
やっと息ができる場所
空気清浄機の前を独占
正常運転の青のランプ
(200114)
かさぶたを
無理矢理剥がす
私には必要だったのだ
何年も放置して
腫れ上がった
皮膚の下の膿を出す
悪臭と共に
じくじくと流れる
過去の汚物
ここに隠れていた
思い出は
破られた写真と
よく似ている
もう振り返ることはない
白昼夢
もう塞ぐこともない
乾いた傷
(200113)
寝ても覚めても
取り憑かれた
ゴブリンの的ならば
囁く声を無視して
貪り読む分厚い本
世間から切り離されて
得られる充実感
または
熱を帯びた虚脱感
そして学ぶ
まだ知らない世界が
多いということを
夜が明ける
このタイミングで
(200112)
やさしいことばだけが
優しさの指標
しんせつな行為だけが
良い人の指標
後ろで何も言わず
汚れた床を拭く
あのこはわらうが
ひとりだった
わかりやすさだけが
ひとの価値観
そんなもん
そんなこと
あのこは気にしないだろうけど
無邪気に笑う人の中で
あのこはいつも
一人だ
(200109)
流れ星に願ったことよりも
目の前の光景が
僕の心を揺さぶって
噛みしめる現実
踏みしめる地面
既成概念も固定観念も
真っさらになった
世界に飛び出す勇気
この一歩が
これから
ここから
未来をつくる道となる
意志となる
君の目の前には
今何が見える?
(200105)
自分の足音だけが響いて
賀状を届ける配達人も
まだいない
いつもと同じ景色のなか
鈍い空で
雲だけが笑っている
(200101)