ぼくが人に惚れるとき、 ぼくはその人の存在に惚れるのではなく、 その人の未来過去を含めた生涯のすべてにおける「美意識」に惚れている。 美意識とは、悪にも自我にも揺るがず、 ただただ、万象の深奥にある美の一点を見つめ続ける気力のことである。 「気力」は油断なき生命の永続に宿る。