かわかみ まさひろ

会社勤めをリタイアして、東京の多摩地域で悠々自適の日々を送っています。 クラシックギターを下手の横好きで習うとともに、「方丈記」の鴨長明を先達と仰いでいます。

かわかみ まさひろ

会社勤めをリタイアして、東京の多摩地域で悠々自適の日々を送っています。 クラシックギターを下手の横好きで習うとともに、「方丈記」の鴨長明を先達と仰いでいます。

マガジン

  • 散歩日記

    高齢者として健康のために、あまり遠くないところ(多摩地域)を散歩するように心がけています。名所旧跡を訪ねることもありますが、街場の季節感を味わうだけのこともあります。

  • 隠居学?

    加藤秀俊先生の真似をして、雑学的な散文をものしてやろうという魂胆です。

  • 随想

    本来、エッセイはテーマを伴った試論または論考という意味も持つのに対して、もう少し気楽に見聞や経験をもとに思いついたことを気ままに綴ったものが随筆だと思うのですが、日本でいうエッセイはもっと軽いもののようです。どちらもひっくるめて随想としておきます。

  • 読書記録

    本を読むたびに感想や要約などを「読書メーター」に記録していますが、毎月のまとめをnoteに転載し、共有させていただきます。

  • 音楽経験

    クラシックギターを下手の横好きで習っています。聴くのはクラシックに限りませんが、拙い経験、感動、考えたことなど音楽に関係する拙文をまとめています。

最近の記事

町中にある古墳(東京都府中市・高倉塚古墳)

 新田義貞が鎌倉幕府の軍勢を打ち破った地である分倍河原には、高倉塚古墳がある。単一の大きな古墳ではなくて、直系20mほどの比較的小さな古墳が20以上見られる古墳群である。  以前、「忘れられていた古墳」に記したように、国指定史跡の「武蔵府中熊野神社古墳」が21世紀になって発見される前から、府中市内でよく知られた古墳群である。墳丘が残っているのは4基だが、中世には信仰の対象となっていたというから、神聖な「塚」として意識されてきたのだろう。  JR南武線と京王線の分倍河原駅から7

    • 短編映画「Tear」(かなりネタバレ)

       若い女性が一人自室で机に向かっている。  しかし、彼女は何かを思い、頬には涙が伝っている。  机の上には書類が広げられているが、彼女の涙の理由はわからない。  一筋の涙は机の上に落ちていった。  そして、それは生きもののように動き出し、大きくなっていった。  彼女も自分が落とした涙が、自分とは別の生きもののように、ふるまい出したことに気がついた。彼女は唖然としながら涙のふるまいを見守る。  涙はなおも勝手に動いている。彼女に忖度することなく。やがて涙はベランダに向かって

      • 貫井神社(東京都小金井市の縄文神社)

         ここでは、縄文神社という言葉を「縄文時代の遺跡と神社が重なっている場所」という意味で使うけれど、これは武藤郁子さんという方がご著書の「縄文神社」(飛鳥新社)の中で使ってらっしゃるところである。  私はこれまで二宮神社(あきる野市)と谷保天満宮(国立市)を、自分がお詣りしたことがある縄文神社としてご紹介した拙文をしたためた。二宮神社は武藤さんも著書の中で取り上げておられる典型的な縄文神社だが、谷保天満宮は私が勝手に縄文神社ではないのかなぁ、と考えている神社である。  なにしろ

        • 「使える 弁証法―ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」(田坂 広志)を読む

           2005年に出版された本を今ごろになって、初めて読んだ。ブロードバンドが登場した頃に、ITがもたらす社会とビジネスの変化のトレンドをヘーゲル弁証法で読み解いた書である。しかし、2024年の現在に答え合わせしても見当違いのことはあまりないと思うし、あの頃に出てきた変化の萌芽をよく整理しているのではないか。むしろ、今DXと喧伝されているビジネスモデルの変化も予見していたようにも読める。  ここで著者が活用したヘーゲル弁証法の要諦は、実はマルクスの相棒だったエンゲルスが著書「自然

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          19本
        • 仕事の回想
          7本

        記事

          2024年10月読書のまとめ

          読んだ本の数:20冊 読んだページ数:4518ページ https://bookmeter.com/users/1038892/summary/monthly/2024/10 ■蘇我氏の研究 蘇我氏と藤原(中臣)氏は朝廷で大きな存在でありながら、その出自が不詳だ。著者は、屯倉(皇室直轄地)の相続から彼らが皇室の連枝であると主張する。史料の読解に牽強附会の感が否めず、私には当否を判断できないが、この説に立つと崇峻天皇暗殺、山背大兄王滅亡、乙巳の変などの政変の不自然な点を説明でき

          2024年10月読書のまとめ

          「デジタル資本主義」森 健 , 日戸 浩之他(東洋経済新報社)

           実は2018年に出版された図書なので、6年も経ってから、今ごろ読んでいる。しかし、内容的には旧くなっていない気がする。6年前には、既に深層学習するAI(人工知能)も登場していたので、その影響はある程度、織り込み済みだし、歴史的文脈を踏まえた論考なので、今読んでも有用だろう。Amazonの紹介には次のように記されている。 PARTⅠ 資本主義に何が起こっているのか  上の引用の冒頭に「日本を代表するシンクタンクが」とあるが本書は野村総研の研究員とコンサルタントが執筆したも

          「デジタル資本主義」森 健 , 日戸 浩之他(東洋経済新報社)

          地下アイドル雑感

          初めて見たのはプロの地下アイドル  昔話だが、これも現代の民俗だと思うので記しておく。  地下アイドルというと、語感がよろしくないけれど、要するに自主制作またはインディーズの女性アイドルと考えればよいのかな、と思う。都内には、ステージを備えた地下アイドルの人たち専用のスタジオがあって、パフォーマンスを披露するだけでなく写真集や自主制作したCDなどの「物販」も行われてファンの男性客で賑わうらしい。以下は、地下アイドルについて私の狭い見聞にもとづく思いを綴ったものである。  

          「石を彫る くにたちの彫刻家 關敏(セキビン)の仕事」を観てきた

           關敏と書いて「せきびん」と読むそうだ。作品が展示されている"くにたち郷土文化館"による上の紹介文が簡にして要を得ているので、あまり付け足すことはないのだけれど、まずは国立市に生まれた彫刻家である。そして、やはり国立市の有名な彫刻家だった関頑亭さんの実の弟でもある。そして、この関さんという家は、国立市の地元の方なら皆知っている"せきや"さんという大きな酒屋さんなのである。国立駅南口近傍に"せきやビル"がある。  兄弟そろって彫刻家になられたのは珍しいことだと思うけれども、關敏

          「石を彫る くにたちの彫刻家 關敏(セキビン)の仕事」を観てきた

          没後20年佐藤多持展~心と線の宇宙~(たましん美術館/立川)を観てきた

           墨による抽象絵画《水芭蕉曼荼羅》を描いた佐藤多持(タモツ)は1919年に国分寺市で生まれ、生家は観音寺(真言宗豊山派)だそうである。本名は「保」だが、お寺の生まれらしく多聞天と持国天にちなんで多持と号した。  現在の東京藝術大学で日本画を学び、初めは風景画から画業をスタートしたが、戦後まもない頃に尾瀬で見た水芭蕉からインスピレーションを得て、以来、水芭蕉をモチーフとした作品を半世紀にわたり制作したことで知られる。  その作品は、水芭蕉の具象画から半球形や垂直線、水平線のパタ

          没後20年佐藤多持展~心と線の宇宙~(たましん美術館/立川)を観てきた

          会社関係の同窓会

           一つの会社でサラリーマンを続けていると、昔の職場や職域の同窓会のようなものが立ち上がって声をかけられることがある。自分については、3つほどの同窓会のメンバーになっている(なっていた?)。いずれもメンバーは数十人の規模で、もちろん全員が出席するわけではないが、大きな会では年に2回ほどの頻度で開催されていた。  ただ、コロナ禍で会食が制限された約4年間は自然に休会の運びとなったのだが、自由に会食で集まれるようになった今現在、再開されたかというとされていない。ひょっとするとメンバ

          岩尾 俊兵「世界は経営でできている 」(講談社現代新書 2734)を巡って

           私は読書を記録するために「読書メーター」という一種のSNSを利用している。読後に要点や感想などを短文にまとめることによって、読書が単なる暇つぶしではなくなる気がするし、後日、どんな本だったかリファレンスするのに役に立つ。そして、既に読んだことがある本を勘違いして買ってしまうような無駄を防止することもできる。完璧にではないが…^^;  また、気になる本が現れた時に、果たしてお金や時間を費やす価値があるかどうか、既に読み終わった方々の感想などを参照することによって、ある程度の判

          岩尾 俊兵「世界は経営でできている 」(講談社現代新書 2734)を巡って

          大勝軒の思い出

          大勝軒とは  なんかギャンブル好きな人にとっては縁起が良さそうな屋号である。そもそも、ラーメン二郎とか杉田家とかのようにラーメンの特定のスタイルと対応する店名ではない一般的な店名らしい。だから、ラーメン専門店ではない町中華にも大勝軒を名乗るところはある。自分は川崎市の中野島駅の近くで、大勝軒という店に入ったら一般的な町中華で、予想と違う味わいだったのでアレっと思ったことがある。  というのも、大勝軒には有名な2つの流れがあって、それぞれが人気を博しているからである。一つは

          「ごまかさないクラシック音楽」岡田暁生・片山杜秀

           クラシック音楽および音楽家を政治的、社会学的な観点から縦横無尽に率直に論評した対談本。興味深い内容で、啓蒙主義的な観点から、特に音楽の父として再発見されたバッハと市民向け音楽の創業者であるベートーベンについて深く語られている。その代わり後代のロマン派の評価は相対的に低いものの、様々な観点から分析されている。  ただし、現在のクラシック音楽の退潮傾向から、現代社会の行く末を案ずるのはインテリ特有の余計な心配な気もする。そもそも民衆の大方にとってクラシック音楽は直接的には関係が

          「ごまかさないクラシック音楽」岡田暁生・片山杜秀

          東京ラーメン2

           この頃、昔ながらの東京ラーメンを身近なところで見かけることがめっきりなくなってしまい淋しいと感じていたところ、国立市の町中華で美味しい東京ラーメンに巡り会えて嬉しくなったことを先月書いた。  二郎系や横浜家系が流行る前の典型的な東京ラーメンとは、鶏ガラのあっさりとした醤油スープと細くて縮れた麺に、叉焼、ナルト、メンマ、海苔をトッピングしたものである。  町中華という業態が少なくなったこともあって、そのような東京ラーメンを食べる機会が減っているのだが、国立市に続いて府中市(東

          乙巳の変の不思議

          乙巳の変とは  乙巳の変(いっしのへん)とは、西暦645年に中大兄皇子(後の天智天皇)と中臣鎌足(後の藤原氏の祖)が首謀して蘇我蝦夷を宮中で誅した事件。私は大化の改新と学校で習ったけれども、この事件に続く大化の改新そのものにいろいろ疑問が出てきたこともあり、蘇我氏宗家を打倒した乙巳の変と、中央集権国家の樹立を目指した政治改革とされる大化の改新を分けて呼ぶようになったように思われる。  中央集権国家を目指す動きは、さらに時代を遡る聖徳太子の時代に始まったように見える。太子が

          映画「ドーナツもり」(ネタバレあり)

             アマプラで観た44分の短編映画だが評価は平均4.4と高い。主演した公子役の中澤梓佐さんは容姿や雰囲気が原田美枝子さんに似ている気がしたが存在感を放っている。  ドーナツには、どうして穴が空いているのか、その理由には興味はないけれど、ドーナツの穴を通して見える世界は愛おしいようなことを公子は冒頭に語る。  彼女はイラストレーターの仕事をしているが、必ずしも思うようには評価されない。別れた彼氏はカメラマンで公子とよりを戻したいのか軽薄な感じで、まとわりついてくる。それを、

          映画「ドーナツもり」(ネタバレあり)