「しあわせ」と 呟く声に 目を瞑る 私のものには ならないくせに
私は、彼の時間を強奪している。私が引き留めたときの、仕方ないなというような笑顔が見たくて、少しでも長くその姿を脳に刻みつけたくて、そして、家で待っているはずのあのひとへの、ある種の優越感が欲しくて。どうせ、そんなことくらいでしか優越感なんて得られないのだから、今日くらいは許して。