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呪いの味

呪いには賞味期限がある。

人は時に呪いにかかったかのように思考や行動が支配される事がある。しかしその呪いの効果は永遠ではない。いつかは味がしなくなっていつの間にか消えてしまう、案外儚いものである。 呪いは魔法とよく似ているが決して同じものでは無い。と私は思う。

私はある呪いにかかっている。そいつはことある事に私の眼前に現れては肺を抉り、呼吸を止めてしまおうとしてくる。そして普通なら消し去れるはずの人物の事を風呂に張り付いた黒カビみたいに、消したくても消えないような物に細工を施す厄介者である。


しかし                                                                    私は気がついてしまった。呪いにかけられていたかったのは私自身であったことに。要するに私はその人物とのあれやこれを忘れたくなくて呪いに縛り込まれているという虚構に溺れていただけだったのである。                                                      呪いの賞味期限なんてもうとっくに切れていて、跡形もなく消えているのだ。


そもそも呪いなんて言葉は心の痛みの理由にするべく造られた思い込みの塊なんだろうなあ。


あれ、何が言いたかったんだろう、私


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