もかちゃん

音楽とごはんと漫画がしあわせ。 乃木坂のこと、日々の思考のこと、よしなにあれこれ。

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最近の記事

おじいちゃん、さいごのだいぼうけん

おじいちゃんに、末期のがんが見つかった。 最初のうちはまだ元気そうで、おばあちゃんの小言に、おじいちゃんはいつものように「うっせえ」と言っていた。 でも、じわじわと弱っていって、少しずつ動けなくなっていって。気づけば「うっせえ」の言葉は減って、黙って寝ている時間が長くなった。 おじいちゃんが住んでいる場所は車社会で、車がないとどこかへ出かけるのは大変だ。だから碁会所に行くときも、免許をもたないおばあちゃんがスーパーに行きたいと言ったときも、おじいちゃんは必ず小回りの利く軽自

    • 私にとって「正しいパパ」じゃなかった、ただそれだけだった。

      お兄ちゃんに頼まれて、15年ほど疎遠だった父を朝病院に連れていった。 点滴でも打って、そのまま家に送り届けて。午後から仕事すればいいか、ちょっと最近仕事一色だったし、息抜きにもなるからラッキーかも。なんて思ったバチが、当たったのかもしれない。 「娘さんはこちらへ」なんて、ドラマでしか聞いたことのないセリフ。 突然告げられる、父の余命。 ずーっとパパと過ごしてきたのは、私じゃなくってお兄ちゃん。 私は母親に引き取られて、養育費どころか疎遠になったまま成人式に連絡すらもらえず

      • 今日も「橋本奈々未」という亡霊を探している。

        かつて、乃木坂46で「御三家」と呼ばれ、多くのファンを魅了した、橋本奈々未(ななみん)。人気絶頂のタイミングである2017年2月に乃木坂46、そして芸能界を引退し、彼女が表舞台に出てくることはなくなってしまった。 「弟の学費のため」にアイドルを志し、金銭的な事情が解決したのでさくっとアイドルを引退してしまった彼女は、今もなおファンの心を掴んでやまないままでいる。引退した後もテレビに出たり、一度は引退したはずがまた戻ってきたり…というアイドルも多いなか、彼女は徹底して芸能界に

        • 結婚を決めたら、急に情緒不安定になった話。

          私は幼少期を、両親が不仲な家庭で過ごした。泣いて蹲る母親と、それを見下ろす父親。私はこわばり冷え切った母の手を、幼いながらも必死でさすって温めていた。 「好き」が重なって、一緒に生きることを選んだのに、どうしてぶつかりあうことしかできないんだろう。結局は「離婚」という道を選んだ両親を、特に嘆くことはない。――他人同士、違う生き物。だから、意見の衝突だって仕方ない。でも、どうして人は、結婚するんだろう。テレビを見ても、周囲を見回しても、結婚したのに不倫とか、泥沼の末に離婚とか

        おじいちゃん、さいごのだいぼうけん

          「お母さんを殺したのは私だ。」

          その言葉が、ぐさりと私の心を刺した。 「そんなことないよ」なんて言葉は、気休めにしか過ぎない。 彼女はこれからの人生、ことある毎に思い出して、自分を責めるんだろう。「違う、あなたのせいじゃない」抱きしめてやりたいと願っても、今彼女の近くに行ってあげられる人は、誰もいない。 私の母の母の姉ーー幼少期に会ったきりで、顔すらあまり思い出せない、大叔母が亡くなった。 最終的な死因は心不全だったようだが、新型コロナウイルスの感染拡大により、葬儀屋から葬儀を断られたという。とはいえ死体

          「お母さんを殺したのは私だ。」

          今、話したい誰かがいる。

          白石麻衣が乃木坂46を卒業してから、早くも3ヶ月の月日が流れてしまった。 卒業コンサートは某サイトでサーバー落ちで大炎上した以外はとても素晴らしくて、乃木坂の象徴として突っ走ってきた彼女の最後にふさわしいものだったのではないか、といちファンとしては思っているのだけれど、どう伝えようとしても「私はまいやん(白石麻衣のあだ名)の何を知っているのだろう」と悩んでしまい、言葉に出せないまま気づけば3ヶ月も経っていた。 「乃木坂46といえば?」というと、今でこそメンバーの名前が色々と

          今、話したい誰かがいる。

          8人の白雪姫と、独りぼっちの魔女

           向き合った他人と目線がぶつかる瞬間、私はいつも目を反らしてしまう。だが、反らした瞬間(あ、やってしまった)と思い、慌てて相手に目線を戻す。 ……大丈夫、大丈夫。 自分に何度も言い聞かせ、反らした目線を、今度はその人の眉間あたりにセットする。相手は少しだけ怪訝そうな顔をして、でも何も言わない。いったい、何が大丈夫なんだろう。よく分からないけれど、自分に何度もそう言い聞かせないと、相手の目を見られない。  特にやましいことがあるわけではないはずなのに、私は誰かと目を見合わせ

          8人の白雪姫と、独りぼっちの魔女

          人は必要なときに、必要な人に出会う。

          「人は必要なときに、必要な人に出会う」 2017年2月に乃木坂46を卒業した元アイドル、橋本奈々未が述べた言葉だ。 きっと彼女もどこかで誰かから受け継いだ言葉なんだと思うけれど、私にとっては彼女からの言葉だった。そして、私にとっては、まるで鈍器で殴られたかのように、衝撃的な言葉だった。 ――といっても、私が彼女を知ったのは、彼女が卒業してから約2年後。 ずっと彼女を応援していたファンの皆様からしてみれば、何を今さら、とか、ファンと名乗る資格なんてない、と思う人も、いるかも

          人は必要なときに、必要な人に出会う。

          レシピ動画が最後まで見られない。

          そうだ、あの料理を作ろう。 ふと思い立ってネットでレシピを検索すると、最近は文字で書かれたレシピよりも、動画で作り方を紹介しているサイトへ飛ばされることが多い。 その中でもとりわけ有名なのは「クラシル」や「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」だろうか。動画の再生時間は1分にも満たないものばかり。カメラの位置は俯瞰で固定されていて、わかりやすいレシピを的確に紹介することで「20代~40代の女性」を中心に、人気を集めているという。 私も、ターゲットである「20代

          レシピ動画が最後まで見られない。

          エンドレスエイトに馳せる夏

          今の10代は、もう知らないかもしれない。 2009年の夏。10代だった私は、当時流行っていた「涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメにドはまりしていた。 人に騙されて、心を病んで、ご飯の味も音楽もよく分からなくなって。ぼんやりと天井を眺める日々を過ごしていた私は、なぜか「涼宮ハルヒの憂鬱」を見たとき《これだ》と思った。何が私の心を動かしたのか、正直今でもわからない。でも、テレビでハルヒを見たときの衝撃だけは、はっきりと覚えている。 「東中出身 涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありま

          エンドレスエイトに馳せる夏

          “藤原基央”という神様が、結婚したらしい。

          BUMP OF CHICKEN ボーカル 藤原基央が結婚発表。一般女性と たった数十文字の羅列で、こんなにも心が震えて、脳が意味を認識するまでに時間を要する言葉が、今まであっただろうか。 私は、友人からの速報でこのニュースを見たものの 「結婚とは」「結婚 定義」「結婚 意味」というワードを検索窓に打ち込んで呆然としたのち、とりあえず急ぎの仕事に意識を傾け、全力で現実逃避した。でも、今度はネットニュースのトップで同様の文字を見つけてしまい、やっぱり現実だったんだと思い知らさ

          “藤原基央”という神様が、結婚したらしい。

          「キャリコン」資格は役に立つのか?新米キャリコンの本音。

          これまでの人生で、あなたは自分の将来を 「そうだ、キャリアコンサルタントに相談しよう」 と思ったことはありますか? ぶっちゃけ、私は一度たりともありません。 これは、見切り発車でキャリアコンサルタントーー通称“キャリコン”という国家資格をとった私が、この資格について「本当にとる必要があったのか?」と考えた末に綴る本音である。 今後取得を考えている方や、そもそもキャリコンって何? というような方もいると思うので、取得してみての所感を記しておこうと思う。(あくまで個人の一意見

          「キャリコン」資格は役に立つのか?新米キャリコンの本音。

          女は『上書き保存』、男は『名前を付けて保存』。

          映画「秒速5センチメートル」で印象的な、表題のフレーズ。 「秒速5センチメートル」は、「君の名は。」で飛躍的に知名度を上げた映画監督・深海誠さんの作品だ。 深海さんの作品は、音楽や映像がとにかく美しくて、独特な世界観で日常を表してくれる。その世界観にずっと浸っていたいと語る、コアなファンが多いのも特徴だろう。私もその映像美には強く惹かれているし、彼のほとんどの作品を見ているのだが、私が深海誠さんの「秒速5センチメートル」を最初に見た日のことは、忘れられない思い出となって心に

          女は『上書き保存』、男は『名前を付けて保存』。

          今日も私は、音楽を聴く。

          深夜のコンビニ。 会計中に「ポイントで引いてください」と伝えたにもかかわらず、ガン無視で会計を進めようとする店員に向かって「すみません、ポイントある分全部引いてほしいんですけど」と再度言ったら「は?」と返されました、もかちゃんです。思わず私も「は?」って言ったわ。こちとら、ポイントあるのは知ってんねん。ネームプレートみたら研修中の外国人だったから「もういいです」と会計終わらせたけど、後ろの夜勤慣れしてるっぽい女性店員(日本人女性)はちらっとこちらを見てからバックヤードに消えて

          今日も私は、音楽を聴く。

          ある日、呼吸の仕方を忘れた話。

          17歳のある休日。ベッドから出て朝食を食べようとしたら、なぜか突然「死ぬかも」と思った。息の吸い方がわからない。今までどうやって自分が歩いていたかもわからない。混乱しながらも、這いつくばって母親のところにいき、「息がうまくできない。こわい」というのを必死に告げた。酸欠で目が回って、天井がはるか遠くに見えた。もう二度と息を取り込めないと思ったのに、母親に背中をさすられているうちに、呼吸は自然と楽になった。 翌日、近所の内科に行って相談した。 先生からは「パニック障害ですね。ス

          ある日、呼吸の仕方を忘れた話。

          20代最後の日に思うこと。

          ――今日で私の20代が終わるらしい。 同世代の友人たちの多くは、気づけば結婚・出産などライフイベントを経て、SNSに子どもの写真ばかり上げている。一方で、趣味に関する活動をしていると、出会うのは10代や20代前半の子が多くなった。 自分が10代、20代前半のときは「30歳って大人だし、落ち着いた社会人の先輩」と割と本気で思っていた。でも実際、今の自分はというと、仕事で何かあるたびに「は!?なにこの案件!最悪だー」「控えめに言って最低だわ」と文句を言いながら、わーわーと慌ただ

          20代最後の日に思うこと。