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映画雑考

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映画レビューと言うよりは、観ている間と後に思ったことを書き留めたメモの様なものです。
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2016年3月の記事一覧

#033「最強のふたり」

#033「最強のふたり」

人と人は、組み合わせ次第でどんな風にでもなる。と、思っている。
極端なことを言えば、例えばDVみたいなことも、色々なことがあってそうなっていて、その組み合わせでなければそうはならなかったかも知れない。と。
※殴られる方も悪いとか、いじめられる方にも原因があると言いたいのではないです。断じて。
ただ、殴る人間やいじめる人間にとっても環境が与えられる影響は小さくないはずで、産まれながらに誰彼構わず殴っ

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#032「プリティ・ウーマン」

#032「プリティ・ウーマン」

テレビで何度も観ていた吹き替え映画なので、字幕版て観たことないかも。
女の人の知性って何かしら。と、思う。
娼婦でストリートに立っている女も、富豪の手に掛かればあれよあれよという間にシンデレラ。という話でもないと思う。

—ペントハウスに住んでいるのか?
—最高だからよ!

というシーンが一番好き。TBS版かなぁ。
どんなものであっても、聞かれた事に対して自分の理由が言える。ということは素敵なこと

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#031「スワロウテイル」

#031「スワロウテイル」

30代くらいの人には、もれなく岩井俊二期ってあるのではと思う。
私にとってそれは、大学生の頃。
何だか分からないものに不安を感じて、何だか分からない未来に向かわなくてはいけないこと。自分が思っていたものと世界がちょっと違うんじゃないか。とか、自分が思い描いた大人にはどうやらなれそうにない。とか。
とにかくもう全力でぐるぐるしている頭に、全然美しくはない、雑多な世界で刹那的に生きている彼らに猛烈に憧

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#030「浮雲」「過去のない男」「街のあかり」「コンタクト・キラー」

#030「浮雲」「過去のない男」「街のあかり」「コンタクト・キラー」

アキ・カウリスマキの4本。2014年に4本立てで観た。
色の強い監督の作品を一気に観ると、1本1本の内容が認識出来なくなる代わりに、強烈なイメージだけが残る。
オールナイト明けのメモが出てきたので、下記、転記。

抗わない人達の様々。

本人の力や努力(過去に対してであっても)の及ばないところでどんどん転がっていくのを止められない。それが加速していって、自分でどうすることも出来ず、何にぶつかるんだ

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#029「ピエロがお前を嘲笑う」

#029「ピエロがお前を嘲笑う」

劇場で見逃してしまった作品。
潜入捜査(操作)ものが大好きな私にとっては、無条件で合格。みたいな映画。
騙されるぞ騙されるぞと煽りまくっているけれど、まぁ、そこじゃない。騙されるけどさ。
最後の方で、えー、話をそっちに持っていかないでー。ノー・モア・ファイトクラブ。と思ったりしたけど、結論もとても清々しくて良かった。

色々駄目で、全然イケていないけれど、もの凄く特殊技能がある。というのに憧れる。

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#028「ナイトクローラー」

#028「ナイトクローラー」

絶対越えてはいけないラインを、躊躇わずに、え?なんで?というノリで越えてくる人の怖さ。でも、確かにこの世界には受け容れ難いことをする人が居るし、そういう状況もある。様々な形で、至る処に。

見よう見まねでフリーのパパラッチになった主人公が、刺激的な映像を求めて手段を選ばず、ひたすらエスカレートしていく。という見え方なのだけれど、ふと思い返すと、あれれ?この人は最初から全くぶれずにこうだったじゃない

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#027「ザ・マスター」

#027「ザ・マスター」

真っ当な社会生活が送れない荒くれ者と、新興宗教の話。
こういう言い方は色々問題があるだろけれど、ある一定の人達にとっては、戦場が居場所になってしまうこともあるだろうと思う。全く同じ理由で、新興宗教を居場所にする人だって居るだろうと思う。
戦争によってもたらされるものは、何一つ賛成できないけれど、一般社会ってそんなに大手を振って歓迎されるほど平等で、誰にとっても優しい世界だろうか。
私の周りの現代社

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#026「リアリティのダンス」

#026「リアリティのダンス」

とりあえず、ホドロフスキーを解説するつもりなんてありませんよ。輪廻転生24回目くらいで、運が良ければ同じ生物になれるかも。

自伝的映画。ということらしいのだけれど、人生ってこんなに多種多様な世界を行き来するものか。と思う。物理的にも、精神的にも。
でも、多分、世界そのものは見渡すことも定義することも出来ない代物で、その人の視界に依って幾らでも伸びたり、拡散したりして、誰もが違う色を見ていて、誰も

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#025「プレイタイム」

#025「プレイタイム」

1967年のフランス映画。
とにかく作り込みが凄くて、全てのシーンが贅沢。

ジャック・タチは、私財を投げ打ってパリに高層ビル群を建設し、345日間も撮影したらしい。その後興行的には大失敗して、破産寸前になる。
細かい仕掛けや楽しさが詰まっていて、60年代が夢見た近代の生活が、滑稽で可愛くて、意味不明で、凄く変な映画。最高に楽しい。
変な音が出る機械とか、長い廊下とか、ガラス張りの謎の空間とか、不

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#024「誰よりも狙われた男」

#024「誰よりも狙われた男」

フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作(公開時期的には最後では無かったけれど)。劇場に観に行ったら満席で、結局DVD鑑賞になってしまった作品。
劇場で観たかった。

映画自体は私の大好きな潜入捜査もので、でもなんか、こんなにも感情が宙ぶらりんになってしまう映画も珍しい。
最後にわっと爆発する感情を、どこにもぶつけられず、終わった瞬間に、あー、フィリップはもう居ないんだ。という感情が一緒に宙ぶらりんに

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#023「ディナー・ラッシュ」

#023「ディナー・ラッシュ」

海外の映画を観ていて良いなと思うのが、食事に関するシーンで、誰かと楽しく食事をするということに対して、凄くエネルギッシュ。
日本には日本の食事の文化があって、食卓とか台所とか、内向的でほっとする感じで、そっちが自分にもぴったり合っているのだけれど、全然違うエネルギーが流れていると思う。要は、Yeahhh!みたいな。自分の中にはどこを探しても無いけど。

で、映画は超イケイケのNYのレストランの一晩

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#022「ドラゴンタトゥーの女」

#022「ドラゴンタトゥーの女」

これはまた、色々と好き過ぎて何を言うべきか分からなくなっている映画。
noteに映画のことを書き始めて分かってきたけれど、一時的に(ここ大事!)、もの凄くお互いを必要として、心が通って信頼して、仕事を成し遂げる系(結局何系?)がもの凄く好き。

映画としては、色々なことが起こりすぎて派手なんだけれど、主人公の二人が二人で真実を追っていくパートが大好き。
と言うか、ルーニー・マーラのリスベットがとに

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#021「オデッセイ」

#021「オデッセイ」

公開前からずーーっと楽しみにしていたのにタイミングが合わず、むしろ原作を読み終えて、今更観てきた。

原作の中では主人公がアクシデントが起きる度に自問自答して、問題は一つずつ。とにかく一つずつ。という様に思考を整理して行動していく様子がとても細かく、具体的に書かれていて(映画は第三者的にに見せるので省略される)それを補完しながら観ることが出来て楽しかった。
本を読んでいる時にぼんやりと見えていたイ

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#020「クワイエットルームにようこそ」

#020「クワイエットルームにようこそ」

松尾スズキさんの作品が好きで、過去の舞台の映像や書籍などを繰り返し観たり読んだり。

どんなに恰好つけようが、偉かろうが、みんな何かしら隠して生きているなぁ。という、結構痛くて苦しいことを見せつけられて、結果ほっとしている。という様なことだと思う。
駄目でも良いんだ。という近道なメッセージではなくて、微妙なところを遠回りに掘り起こされる。これって優しさ!でもそれが残酷!みたいな。

隠しているもの

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