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【読書】無職の味方『自分とか、ないから。/しんめいP』

約3か月前、無職期間中に、異国の地、タイのチェンマイへと旅に出る前日に偶然本屋さんで出会った一冊を読んだ。

手に取った当初、自分が今から出ようとしている自分探しの旅をなんだか否定されてしまいそうな気がして、見なかったことにしたことを今でもよく覚えている。

旅を終えた今、なんとなく、自分の立ち位置を確立できた気がしているので、今なら読んでも大丈夫な気がして、恐る恐る手に取ってみた。

読了後、一番最初に、もっと早くこの本を手に取っておけばよかったとそう思った。

もっと早く、できれば、無職になってすぐ、いや、無職が決まった段階で出会えていたなら、私の無職期間の過ごし方は大幅に変わっていたのかもしれない。

そう思ってしまうくらい、無職の最強の味方!みたいな本だった。

そもそも著者自身が、長い間無職である。
そして、本書で紹介されている、ブッタ、荘子も無職である。

本書自体も、著者が長い長い無職の期間中に書いているので、起点がすべて、無職であるという点で、いまだ無職の私にとってはとても読みやすく、共感できる点が多々あった。

本書中では、明るくポップに面白く、自分の人生を紹介されているけれど、きっと、著者自身、無職期間中にたくさんのことを悩んだり、つらくなったりした経験があったからこそなのだろう。

まるで、無職に悩んでいる人すべてに優しく寄り添うような、そっと後ろから励ましてくれているような、そんな愛に溢れるメッセージを、私は本書から受けとった気がした。

それと、シンプルにめちゃくちゃ難しくて手に取ることのできない哲学書を読みまくった上で、ここまで、ポップに現代風に言語化することができるのかとただただ感動してしまった。

もちろん、著者自身も、この本はあくまで「哲学エッセイ」であり、ただ単に自分が解釈したことを書いているだけと主張するように、この本を読んだからといって、東洋哲学のすべてを知ることができるわけではない。

けれど、ある意味「哲学」って、受動的に読んで学ぶというより、能動的に自分で解釈するのが面白い、みたいな観点もあると思うので、現代において、哲学を楽しむためのヒントとして読めたことも、個人的に勉強になってよかったと思っている。

何はともあれ、無職中に出会えてよかった一冊だった。

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