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長谷川ひとね
2024年9月16日 00:39
少年は波打ち際で星屑を集めて詩を書いていました青い星で哀しい詩を赤い星で情熱的な詩を話しかけると消えしまうのでは無いかと思うほど聡明で涼しい目をした貝殻と星屑はカラカラと紛れ詩が波に拐われてしまっても少年はそこにいていつまでもそこにいて
2024年9月2日 18:45
長かった夏の休暇が終わりほっとしている日常が戻ってきた夏は囁いた「現実は夢だよ」だから間違いなくほっとしているほんとうの孤独のはじまり寂しくはないだってこの世には私しかいないのだひりひりした光も幻だったというわけだ誰に気兼ねなく私は私をみつめる 夢は夢現実も夢
2024年8月8日 20:18
静寂に落下する一雫落ちてきた記憶はない逃げ水と知りながら喉を掻き追う民清貧の言葉は枯れ果て空、見下ろせば沸く雲ひたすらに記憶の彼方よ
2024年6月21日 08:00
からからに頑なになってゆくのは皮膚ではなくて潤いを失っていくのは寧ろ 心のほうだ老いていくには水がいるたっぷりと透き通ったたおやかな水が
2024年5月14日 22:15
空が白んだら鳥が鳴いたらトーストと珈琲白い月を仰ぎ花に水をやり庭を掃き太陽に月が消されペイジをめくりめくり風の匂いが変わるころ夕焼け窓に背を向けひっそりと月が佇む星が存在を輝かせるころ瞼は深く閉じて
2024年3月19日 15:24
観覧車に乗る窓の下に小さくなっていく私ゆっくり風に揺れ過去がキラキラ堕ちていくいつも知らん顔をして通り過ぎていく喧騒たちはここにはいない月にとどきそうな予感優しい夜にどうか切ないサウンドトラックを聞かせて
2024年3月14日 21:32
商店街の角で先ほどから同じ会話を何度も何度も繰り返している二人の老婦人たち自転車のハンドルを握ったまんまの立ち話しアーケードの中を枯れ葉が駆け抜けていく夕日が健康な老化を照らしていた明日も風は強いらしい
2024年2月22日 23:07
お気に入りはドリトスワインは白二杯でやめておくNetflixでドラマを眺めながら次にヨーグルト手作りの林檎ジャムをのせて〆はアレルギーの薬を二錠 外は冬の雨瞼に聞こえる 平凡な私の平凡な一日が終わる
2023年11月1日 16:24
蹴った石について行く思ったようには進まない自分で蹴った石なのに足には足の思いがあるのかないのか石には石の思いがあるのかないのかどこをどう歩くかは石と足しだいついてけばいつかいつか辿りつくだろか思い描いていた未来はたまた見たこともない景色だけど石池に、ぽちゃん
2023年10月23日 17:44
静寂が地球を攪拌させる上澄みでは雲が浮遊する地上に沈殿している人々は溶け合いたくてしかたがないのに近づき過ぎて火傷して離れ過ぎて凍えて互いの熱量を測れずにそれでもあきらめきれなくて与えてはすり減って奪っては太り過ぎついには燃え尽きて上昇しようやく上澄みに溶ける
2023年10月1日 19:13
八人目の孫が産まれて充分に、ばぁばになっただから白髪を染めるのをやめたおばあちゃんになる為に孫たちは私をおばあちゃんとは呼ばないばぁばと呼ぶ私には母たちがいてそちらがおばあちゃんもしくは大きいおばあちゃんだ彼女たちは全てに綺麗に白髪で素敵なおばあちゃんもしくは素敵な大きいおばあちゃん私はグレイのばぁばから始めることにしたやがては尊くまっとうな白髪にできう
2023年9月18日 16:50
羊水に浮かぶ赤ちゃんのお腹には700万個の卵母細胞女の子なら産まれでる前に500万個は消滅して残りの200万個を持って生まれるそして減り続け20万個から30万個にそんなお年頃には飛びだしたイッコの卵子と彼氏のイッピキの精子が受精卵になり羊水に浮かぶ受精卵のお腹にはまた700万個の卵母細胞女の子ならお腹の中の赤ちゃんと過ごしていたころ赤ちゃんのお腹に世代の卵
2023年9月17日 22:29
押しよせる言葉の波にうんざりしたら目をとじて聞いて一雫一雫雨の話し声を君も黙って話しかけて雨にささくれやいがいがを無機質だからこそ雨の命に言葉は口をつぐむだからこそ信じられる雨の日は雨に身を寄せて
2023年8月20日 10:22
人間、この空虚な壁から突出した生きものひとつ出来たふたつ出来た真空の階段を少しづつ昇りその肌のぬくもりもいつか忘れてしまうのに笑顔を汲んでいつも満たされたくて踠いている奥のおくこんなにも嬉しかったことやこんなにも悲しかったことが忘れるという仕業の前にもろもろと崩れて落ちてフロントガラスの向こうに積み重ねてきた日常を探すが何処にも見あたらないすべて壁が持ち去っ