長谷川ひとね
all we need is love‥🌷
言の葉の詩集🌿
ひとりごとのようなエッセイ‥🌿
ひと月に一つ、和風月名の詩‥🌿
家族に支えられて生きてる🌿
星は 名もない人たちに殺された名もない人たち 名もない人たちを殺した名もない人たち
青い夕暮れに 月を見ていました あなたが まったりと満ちてきます 月はオレンジ色の窓 開け放てば 地球の何処へだって行ける 静かに青は濃さをまし いつか夜になっていきます あなたに 優しく満たされたまま いつまでも いつまでも 月を見ていました
少年は波打ち際で 星屑を集めて 詩を書いていました 青い星で哀しい詩を 赤い星で情熱的な詩を 話しかけると 消えしまうのでは無いかと思うほど 聡明で涼しい目をした 貝殻と星屑はカラカラと紛れ 詩が波に拐われてしまっても 少年は そこにいて いつまでも そこにいて
長かった夏の休暇が終わり ほっとしている 日常が戻ってきた 夏は囁いた 「現実は夢だよ」 だから間違いなく ほっとしている ほんとうの孤独のはじまり 寂しくはない だってこの世には 私しかいないのだ ひりひりした光も 幻だったというわけだ 誰に気兼ねなく 私は私をみつめる 夢は夢 現実も夢
まるで迷宮への入り口 夏の異空間 果たして向こう側へ辿り着けるのだろうか?
静寂に 落下する一雫 落ちてきた記憶はない 逃げ水と知りながら 喉を掻き追う民 清貧の言葉は枯れ果て 空、見下ろせば 沸く雲ひたすらに 記憶の彼方よ
目を閉じて 胸を掻いて 沈んでいく 探しているものはどこ 手にふれる勿忘草 忘れたいのに 忘れられない 忘れたくないの 忘れないでほしいの 素直になれたなら 勿忘草色の気持ちに なれたなら ふと浮いていく 勿忘草が優しく 風に揺れる
からからに 頑なに なってゆくのは 皮膚ではなくて 潤いを失っていくのは 寧ろ 心のほうだ 老いていくには水がいる たっぷりと透き通った たおやかな水が
篠突く雨 水はめぐる 身体をめぐる 星をめぐる 馳せていく思い とめられない思い 愛は透明な水なのか
ちっぽけな ちっぽけな私です それでも隅っこから 見つめていました あなたはいつも 眩しかった 手の届かない太陽でした 紫陽花は曇り空に とても綺麗で 雨が降れば 恋しても いいですか
鳥 鳴かず 蛙 鳴かず 濃い桃の空 鎮まりて 窓を慕い ひややかに 入りきて 納まる目なし 床を這い 寝息にかぶさり 連れてゆく 紛う方なき 彼の国(かのくに) 相思い 待ち侘びて 言わずもなが 手を取り目合う
空が白んだら 鳥が鳴いたら トーストと珈琲 白い月を仰ぎ 花に水をやり 庭を掃き 太陽に月が消され ペイジをめくりめくり 風の匂いが変わるころ 夕焼け窓に背を向け ひっそりと月が佇む 星が存在を 輝かせるころ 瞼は深く閉じて
キリがない どこまでいっても 何を得ても 満足できない 我儘なの? 贅沢なの? 欲しいものを 間違えているのかな 欲しいと思っていたものは ほんとうは取るに足りないものだったのかも 人と比べながら 焦りながら 喘いで求めていた 取るに足らないことを いつか身体と消えてしまうものを ほんとうに欲しかったのは あなたといること そして あなたでなくては だめだということ 邪魔なプライド 邪魔な常識 何も目指さなくてよかったんだ あなたがいれば それで良かったんだ
神への敬意 順序よく立ち生える 命の蒼 こんなにも柔らかい蒼が あんなにも強くなる 息吹あふれ 気はいつも天へと 真っ只中にいる者も そうでない者も その目に栄える 蒼を蒼く 一瞬“とき‘’にして 和風月名の詩 皐月(5月) 最終篇
澄んだ過去の中に入れて いつも眺めていました 止まったままの二人を 育てることの出来なかった 時を 何も変わらず いつまでもそこに在ると そう信じていたから 長い月日にも耐えてきたから 大丈夫だと思って とうとう外に出しました 知らぬ間に時代は 澄んだ過去を 最も簡単に一跨ぎ 二人を繋いではくれたんだけど 今の風に あなたは蝕まれていました 何処へ向かえばいいのだろう 届けられなかった手紙を破いて 悔しがればいいのかな 伏線回収に浸ればいいのかな 手もとのSNSの
観覧車に乗る 窓の下に 小さくなっていく私 ゆっくり風に揺れ 過去がキラキラ 堕ちていく いつも知らん顔をして 通り過ぎていく 喧騒たちは ここにはいない 月にとどきそうな予感 優しい夜に どうか切ない サウンドトラックを聞かせて