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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~427


無理をしない範囲で、今出来ることはやってみる。地味かもしれないし、時間はかかるかもしれないけれど、そういったことの積み重ねが明日の自分に繋がっていく。これからの私をほんの少しずつ変えていく……それが、摂食障害の長い長いトンネルをくぐり抜けてきた私の、答えの一つなのかもしれない。

御宿の砂浜は、いつでも変わらず私を迎えてくれる。冬でも、いつもと変わらず白くて、キラキラしていた。海も、どこまでも青く、澄み切っていた。

波の音が、心地よく、規則正しく響いていた。

「思い切って御宿まで来て、良かった」

私もいつか、この砂浜のように真っ白で、キラキラした心を持てるようになれるだろうか。この海のように突き抜けるような青さで、どこまでも真っ直ぐに生きていけるようになれるだろうか。

(紗希ちゃん、あんまり難しいことばっか考えとると疲れちまうよ。心が疲れた時は、甘いもんが一番だよ。甘いもんは心の栄養なんだから。さあ、おばあちゃんと一緒に大福でも食べよう)

駅前のコンビニで買った、お茶を一口飲んだ。ちょっぴりほろ苦くて、口の中がさっぱりした。甘いもんを食べるのにはちょうどいい。

お茶と大福。絶妙な取り合わせだ。一口食べると、何とも言えない幸せな甘さが口いっぱいに広がった。

(どうだい紗希ちゃん、甘いもんを食べると疲れもどこかに吹き飛んじまうじゃろ)

お茶のほろ苦さと、大福の至福の甘さ……その組み合わせ、そのバランスが大切なのかもしれない。物事も、考え方も、人生も、何もかも。苦いものばかりでは甘いものが欲しくなるし、甘いものばかりでは飽きてしまう。苦いものも甘いものも、どちらも必要で、大切なのだ。そんなことに気が付くまで、一体何年かかったのだろう……


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