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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~㉟
「もし私が、私のことを許してあげたら、(食べてもいい、痩せなくてもいい)って、許してあげたら、摂食障害は治るのかな・・・」
でも現実世界では、それはまだまだ許されることではなかった。
*
結局、私は自分自身に許してもらえたのか、濃い目のハイボールとワインも買って帰った。
「(食べてもいい、痩せなくてもいい)って許してあげることは、やっぱり今の私には出来ないけど、ワインを買うことくらいは許してもらえる、よね?」
とりあえず、難しいことを考えるのは後回しにして、とにかく今日はワインを開けることにした。
「何か、一番安いのにしたのに、グラスに注いだだけでも、いつもより何となくリッチな気分かも」
先生も、(自分で自分を満たしてあげて、自分を大切にしてあげてください)って言ってたから、安いワインでも自分の気分が上がるんなら、それはそれでいいことなのかもしれない。
「一人暮らしだし、何の意味もないけど、毎回(乾杯)って言ってから飲もうかな・・・乾杯!」
どんな演出をしても、最終的には過食嘔吐するだけ。でも、ほんの少しでも余裕がある時は、出来るだけ(自分を満たして、自分を大切にして)を心掛けるようにしてみよう。
そういうことを積み重ねていくことで、何かが変わるのなら私にも出来るかもしれない。でも、そんなことで、痩せたい思いや食べたい気持ちが劇的に変わるとも思えなかった。
もう、私一人であれこれ考えていても、どうしたらいいのかなんてわからないのだから、いくら考えても疲れれるだけだし、結局どうにもならなくて自分で自分を追い詰めてしまうのだから、先生の言うように今出来ることを無理しないでやるしかないのかもしれなかった。
*
翌朝、目覚ましアラームで目を覚ますことは出来たけど、頭も身体も重くて、起き上がることが出来なかった。
「何だろう・・・慣れないワインなんか飲んだからかな?何か、だるいし、起き上がれないかも・・・」
ベッドの上でしばらくもぞもぞしていたけど、とてもじゃないけど仕事に行けるような気がしなかったので、仕方なく会社に電話して休むことにした。
電話を終えた瞬間、何かが吹っ切れたような気がした。
「いつも、どんなに過食嘔吐が遅くなって寝不足でも、絶対に会社は休んではいけない・・・って思っていたけど、私だってギリギリで頑張ってるんだから、たまには休んだっていいよね?」
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