摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~270
今まで、私は『痩せること』を優先するあまり『食べること』を犠牲にしてきた。
それは正に、人とコミュニケーションをとること、人と繋がることを犠牲にしてきた、ということなのかもしれない。
人は、一人で生きてはいけない。
私が今まで追い求めてきた『痩せること』は、人とのコミュニケーションや人と繋がることを自ら遠ざけることになっていたのかもしれない。
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「そうだよね、今日だって本当は誘えるものなら誰か友達を誘って、一緒に食べることが出来たら、もっともっと楽しくて、おいしいと感じられたかもしれないのに……」
摂食障害になってからというもの、友達とも会わなくなっていたから、いきなり誘うことも出来ず、今日も『お一人様』であてもなく街を彷徨っていた。
『普通に』食べることが出来なくなってからは、誰かと一緒に『食べる』という行為を極力避けてきた。
摂食障害になってしまってからというもの、『何を』『どれだけ』『どれから』『どうやって』食べることが『普通』なのかがわからなくなってしまったから。
友達と会いたい気持ちはあったけれど、会えば『食べること』は避けては通れないから、どこかへ遊びに行くことも、自然と避けるようになっていた。
摂食障害が酷くなってからは、ほとんど誰とも会っていない。でもそれは、半分は仕方がないこと、もう半分は自分で選んだこと。だって私は、みんなが当たり前に出来る『食べること』が『普通に』出来ないのだから。だって私は、妹の由希以外には、自分が『摂食障害』だということを言えずにいたのだから。それに、その方が誰にも気を使わずに済むし、誰にも気を使わせなくて済むのだから。
その結果、いつしか私は誰からも誘われなくなっていたし、私から誘うこともしなくなっていた。
私が今まで追い求めてきた『痩せること』は、人とのコミュニケーションや人と繋がることを自ら遠ざけることになっていたのかもしれない……
それでいいのだろうか
そのままでいいのだろうか
いつまでそれが続くのだろうか
それでいいはずがない
そのままでいいはずがない
いつまでもそんなこと続けられない
だって、私は一人で生きてはいけないのだから。
私だって、本当は寂しくて仕方がないのだから。
私だって、本当はみんなと繋がりたいのだから。
私だって、本当は『普通に』食べたいのだから。
私だって、本当は『痩せたい』訳ではないのだから……
今日もありがとうございます。