摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~309
いや、そのために、そのためだけじゃあないけれど、由希を誘ってここまで来たんじゃない。『芸術品』を思わせるパフェを見てもらいたくて、その『次元』が違うおいしさを味わってほしくて誘ったんじゃない。自分一人の力だけではどうにもならないのならば、そんな時くらい、いやそんな時こそ、人に助けてもらったり、人に頼ったりしてもいいんじゃないかな……そんな思いもあって、人と関わりたくて、人と繋がりたくて、話をしたくて、話を聞いてほしくて誘ったんじゃない。今それが出来なかったら、一体いつ出来るっていうの。今なら出来る、きっと出来る……
「お姉ちゃん、またボーっとしてる!アイスが溶けちゃうよ~」
「うん?あっ、そう、そうだよね。アイスはのんびり食べてたらダメね」
「そうだよ、アイスは溶けたらあんまりおいしくないもんね。それはそうと、お姉ちゃんってさぁ、何かボーっとしてるっていうか、考え事してることが結構あるよね」
「そうだね、結構あるかも」
「言いづらかったら全然いいんだけど、そういう時ってどういうこと考えてたりするの?」
「う~ん、いろいろだけど、今はちょっと周りのお客さんを見て、何かみんな思いっきりこの贅沢な空間と優雅な時間を楽しんでで、キラキラしてるなぁ……って、思ってた」
「そう?」
「うん、だって私なんて、まだまだ『食べること』を思いっきり楽しむ、って感じにはなれないし、それこそ無駄に痩せてるし、自然に笑顔とかにはなかなかなれないし、キラキラには程遠いなぁ、って」
「そう?そうでもないと思うけど」
「そうでもないって、どんなとこが?」
「う~ん、うまく言えるかどうかわかんないけど……確かに今のお姉ちゃんは『思いっきり』食べることを楽しむことは出来ないのかもしれないけど、でもさ、こうやって私のことを誘ってくれて、見た目も素敵で味もこんなにおいしいパフェを一緒に食べてくれたりして、食べることを『楽しもう』ってしてる感じはすごくするし。それに、何か前会った時よりも、随分『前向き』っていうか、それこそ『キラキラ』してきたんじゃないかな」
「そう?そうかなぁ……そんことはないと思うけど。でも、自分じゃそういうことって、よくわかんないんだよね」
今日もありがとうございます。