小笠原ゆき

ストーリーライター。バトンズの学校(batons writing college)1期生、メディコス編集講座2期生です。岐阜市の長良橋から見る長良川と、そこで過ごす時間が好きです。介護福祉士。現在東京在住。https://twitter.com/yukioga2022

小笠原ゆき

ストーリーライター。バトンズの学校(batons writing college)1期生、メディコス編集講座2期生です。岐阜市の長良橋から見る長良川と、そこで過ごす時間が好きです。介護福祉士。現在東京在住。https://twitter.com/yukioga2022

マガジン

  • かく、つなぐ、めぐる。

    • 33本

    『かく、つなぐ、めぐる。』はライター・古賀史健さんが開講したbatons writing college (バトンズの学校)の1期生有志によるマガジンです。「書くこと」を通じて出会った仲間たちと、これからもつながっていける場をつくりたい。そして、古賀さんから受け取った大切なバトンを胸に、この先もみんなで書き続けたい。そんな思いから、私たちはこのマガジンを立ち上げました。毎月、2つのキーワードをもとに、11人の"走者"たちがバトンをつなぎます。記事の更新は3日に1度。書き手それぞれの個性的なエッセイをお楽しみください。

  • わたしと看取りの歩み

    わたしが看取りに関わるようになった経緯や、そこで学んだこと、感じたことなどを書いた記事を、こちらにまとめておきます。

最近の記事

  • 固定された記事

塩味がきいている #ショートショート

「人生の最期に食べたいものって何?」 僕もきみも40歳をこえて、食事中にそんな会話をしたことは覚えている。しかしきみは「ないしょ」と答えていた。 あれから3年、たった3年、ベッドの上のきみはまだ43歳。今はほぼ一日中眠っている。 きみはよくがんばったよ。癌の痛みに経口薬だけで耐え、晴れた日は車いすで散歩に行き、フルーツやアイスを口に入れる。本当は我慢していたんじゃないのかな。食べることもつらかったのかもしれない。そんな日々が数ヶ月続いた。 「ありがとう」と微笑んで、僕を安心

    • 旅のテーマは『東京タワーとスカイツリーを制覇する!』

      地元の友だち親子が先週の土曜日にライブ参戦で上京した。それに合わせて、日曜日はわたしと娘も一緒に東京観光を楽しんだ。 小学6年生の息子くんの行きたいところ、食べたいものを聞きながら計画をたてることになった。 ハリー・ポッター好きな息子くんとうちの娘が楽しめそうな「スタジオツアー東京」に行く案が出ていた。 ホームページでチケットにまだ余裕がありそうだったので油断していたら、次に見たときには完売。おばちゃんやってしまった…… 「ごめんね……どこか行きたいところある?」 申し訳

      • 『ライオンの隠れ家』みっくんが描く動物たち。アーティスト太田宏介さんの個展に行ってきた。

        10月は新しいドラマが始まるワクワク月。 わたしも新しい生活スタイルになり、見逃し配信頼みになっているところがある。 休日の時間も限られてくるので観れていないドラマのほうが多い(ドラマ好きとしては残念なところだけれど)。 そんな中で必ず観たいと今期思っているドラマの1つが『ライオンの隠れ家』だ。 主人公は市役所勤めの洸人(ひろと)。両親は事故で亡くなっている。 彼には自閉スペクトラム症の弟がいる。こだわりが強く日々のルーティンが崩れることでパニックになるので、食事の時間、寄

        • 『虎に翼展』を見に明治大学へ行ってきた。

          THE秋晴れ!となったスポーツの日。山手線を待っていると、ホームに入ってきた電車の運転席には女性運転士さん、その横には指導係の方だろうか、男性が立っている。 昔は男性にしか扉が開いていなかった職種に女性が挑み、後世に道を繋いでくれた先輩たちがいた。 法曹界の先駆者であった三淵嘉子さんをモデルにした朝ドラ『虎に翼』が放送終了して2週間が経った。 家庭や職場での悩みや葛藤、日本を変えてきた需要な裁判、憲法のこと、戦争のこと、結婚のこと、 マイノリティとされる人々のこと、虐待……

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        塩味がきいている #ショートショート

        マガジン

        • かく、つなぐ、めぐる。
          33本
        • わたしと看取りの歩み
          7本

        記事

          素敵なアーティストさんに会ってきた

          作品が生みだされた過程や関わった人など、ストーリーを知れば自分にとっての価値が増し、作品への愛がうまれる。 帰省していたときに地元の大好きな友人からプレゼントをいただいた。 「わたしの好みを知ってるわぁ」と感激の一品、一目惚れする色合いのショールだった。 誰が作ったものなのかを友人から聞いたとき、このショールを贈ってくれたことへの感謝や嬉しさが溢れてきて、何度も眺めて触れた。 手触りがやわらかくてやさしい。 このショールの織り手であるアーティストさんを紹介してくれることに

          素敵なアーティストさんに会ってきた

          「おかえり」って嬉しいね

          改札を通りデッキに向かう。見上げると6人の鵜匠が迎えてくれる。 7か月ぶりに岐阜の空気をおもいきり吸い込んだ。 駅に着いたその時から帰りの新幹線に乗る数時間前まで、予定がぎっしりとつまった4泊5日帰省の記録、おつきあいください。 (9月)13日の金曜日、今の若者にはジェイソンの顔が浮かぶこともなく「誰それ?」というただの金曜日、高速バスで東京駅から名古屋駅まで移動したのだが、途中の渋滞で1時間15分ほど遅れての到着となった。 岐阜駅に着いたのは夜の7時半、駅の商業施設内の

          「おかえり」って嬉しいね

          母娘のプチ遠足記

          それは突然だった。 「明日海に行かない?」 わたしがそんなことを言いだすものだから、娘は驚いて言った。 「ママ、大丈夫? 病んでるの?」 「えっ、アルミンなの?」(進撃の巨人が好きすぎる娘) 江ノ島の天気予報は午後から曇マーク、青い海が見たいし神社にお参りもしたいので午前中には到着したい。 朝が苦手な娘が6時くらいまでに起きることができて、わたしの突飛な気持ちが持続していたら遠足に行こうと決めた。 わたしは5時半ごろ、娘も6時過ぎに起き天気も良い。 「行こう!」 眉毛だけ

          母娘のプチ遠足記

          仮止めテープとめてあります。

          薄暗くなってから買い物に行き、値引きシールが貼られたサーモンと、今日の特売から舞茸を選びました。バターソテーにしましょう。 最近は日が落ちたらエアコンを消して窓を開け、扇風機をつけダイニングに風を送ります。 りんりんりん……秋の音が聞こえてきます。 真夏のジリジリとした太陽が黒い紙を焼き小さな穴を開けるように、わたしの心も少し穴が開きました。 ぷしゅーっと空気が抜けて、ぺちゃんこにはなっていないけれど、まだ皺がよって張りがなく、脳や指先、足に気力を送るポンプの力が弱いので

          仮止めテープとめてあります。

          まるで胎児のように

          ピーンポーン♪ ベージュ色のカーテンが朝日をうけてほんのりオレンジ色になっている。 何? こんな早くに宅急便? いたずら? 気持ちよく寝ていたのに、起こされた文句をひとつふたつ…… 「あっ! 寝過ごした!」 慌ててインターホンの受話器をとると息子だった。 高速バスに乗った彼を東京駅まで迎えに行くはずだった。 目覚まし鳴った? 止めた覚えはない。 「ごめん!」 玄関を開けると挨拶もほどほどに息子はトイレに一直線。 やってしまった、迎えに行った帰りに朝マックでもと思っ

          まるで胎児のように

          ただの記録

          自分で気付けないストレスがあるんだ。 自分の覚えとして書いておこう。 今までストレスフルな経験をいくつかしてきたけれど、ギリギリのところで踏ん張れていた。 わたしのメンタルはなかなか壊れないんだなと、少し自分のことを軽んじていたのかもしれない。 いろんな職業に就いてきたが、どんな仕事でも割と早く適応し、職場にも馴染んできた。 それが今回、どうにも適応できない(職場はいい環境です)。 出勤前夜に夜眠れなかったり、就業中に動悸や息苦しさを感じたり、帰ってくると味覚がいつもよ

          物語は神様からの処方箋

          4月から新しい仕事に挑戦してきた。 覚えることも多く体力的にも過酷で、休みの日に出かけたり大好きな本を読む気力を失っていた。 先日書店に寄ったら素敵な装幀の本に出合い、読んでみたいという衝動がわいてきた。 このタイミングを逃してはならない 以前からずっと読みたいと思っていた小説と一緒に手に取った。 先ずは以前から気になっていた小説から読み始めた。 夏川草介さんの『スピノザの診療室』だ。 夏川さんの『神様のカルテ』は大好きな小説の一つ。 優しい世界である安心感をもって新

          物語は神様からの処方箋

          平安時代と繋がった瞬間、私は泣きそうになった

          毎週楽しみにしているNHK大河ドラマ『光る君へ』は平安時代中期に『源氏物語』を書いた紫式部の生涯を描いている。 1000年も前の話でどこかフィクションのように思えるが、紫式部は実在していた人物で、『源氏物語』は今もなお読まれている。 遠い昔の人物のことを知ることができるのは書物や絵画しかない。 写真や映像が残っていない時代のことは、すべてどこか幻想的だ。 最近ちょっと気分が落ち気味だった私は、いつもその存在を信じ祈っている人物に会いたくなった。 彼もまた遠い昔、平安時代初

          平安時代と繋がった瞬間、私は泣きそうになった

          想像力を掻き立てる鳩軍団

          鳩は餌をくれる人の顔を覚えるそうだ。 「6時半ごろビジネスホテル〇〇荘の前に集合! 座ってお酒を飲んでるあのおじいさんのところだ!」 そんな号令が鳩隊長からかけられている、かも。 ちなみに朝の6時半だからお間違いなく。 最寄り駅から職場までは徒歩20分ほど、7時前でも首すじに汗が滲む。 平らな道を歩くだけでも疲労を感じる距離なのに、駅を出てすぐに歩道橋があり息が切れる。 ジムに通う余裕もないのだから、これは体力をつけるために一役買っていると自分に言い聞かせる。 いつも同じ

          想像力を掻き立てる鳩軍団

          七夕、願いは届くのか

          noteが書けない。 仕事がある日は夜の10時に寝落ちする。 毎朝5時起き、健康的(笑)。 自分のノートには出会った人とのエピソードをメモしたり、毎日見かけるおじさんのことを書いたり、考える時間は持っている。 しっかりアウトプットするまでもっていけていないことに焦りもあるが、新しい生活が定着するまでは自分の体調優先でいこうと思っている。 書くことを諦めてはいないし、むしろ書きたい欲は高い。 日々面白いことはあるから。 今日は七夕、天の川が見れそうな快晴だけど、ちょっと暑すぎ

          七夕、願いは届くのか

          父の日

          テレビでビールのCMが流れる。缶ビールにお父さんへのメッセージを書いている娘さん。父親の顔は映らないが、目尻が下がっているだろうと想像がつく。 雑誌をめくればプレゼントにおすすめのお取り寄せグルメが並ぶ。酒の肴系が多い。 日曜の朝の情報番組ではお父さんにアンケートをとり、欲しいプレゼントランキングを放送している。物ではなく家族との時間が欲しいというお父さんたち。お仕事お疲れ様です。 父の日、みなさんは何かプレゼントをしたり、一緒に食事をしたり、特別なことがありますか? わた

          日比谷音楽祭2024

          東京に住むことになったら絶対に行きたい!と思っていた「日比谷音楽祭」。日比谷公園で開催されるこの音楽祭は入場や参加が無料なのです。 この音楽祭の実行委員長は音楽プロデューサーでありベーシストの亀田誠治さん。出演アーティストへの交渉などもご自身でされているそう。音楽を好きになる入り口になるような体験の場を作ってくださっています。 その想いに共感した企業からの寄付、アーティストの協力、一般の方からのクラウドファンディングなどが資金になって無料で開催できているのです。 昨年はK

          日比谷音楽祭2024