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素敵なアーティストさんに会ってきた

作品が生みだされた過程や関わった人など、ストーリーを知れば自分にとっての価値が増し、作品への愛がうまれる。

帰省していたときに地元の大好きな友人からプレゼントをいただいた。
「わたしの好みを知ってるわぁ」と感激の一品、一目惚れする色合いのショールだった。

誰が作ったものなのかを友人から聞いたとき、このショールを贈ってくれたことへの感謝や嬉しさが溢れてきて、何度も眺めて触れた。
手触りがやわらかくてやさしい。
このショールの織り手であるアーティストさんを紹介してくれることになり、東京に戻る前に会いに行ってきた。


障がい者の就労支援や自立訓練などを行う岐阜市社会福祉事業団。わたしの弟も高等部卒業以降お世話になっている。
その事業団に昨年4月、アートに特化し18歳以上の障がいのある方の創作活動をサポートする生活介護事業所 ART FIELD(アートフィールド)が岐阜市粟野東にオープンした。

プレゼントをくれた友人はここで働いている。
ここに通う利用者さんたちはアーティストとして職員とともに創作に励む。

施設に入ると天井が高く開放的なギャラリーがある。思わず「おぉ」と声が漏れる大きな作品が迎えてくれた。絵画や織物などの作品も並んでいる。

このギャラリーがあることでアーティストと来場者との交流がうまれる。
作品を眺めているとアーティストさんがやってきて、作品の制作模様がわかる映像を流してくれた。
彼は自作の時計を腕につけている。その時計に描かれた時間は「3時」。
どうやら早く帰りたい彼は「3時だからもうすぐ帰る時間だ」と職員さんたちに見せるらしい。おもしろい! 好きだなぁそのアイデア!
残業が当たり前の日本人サラリーマンたちも「5時」の時計をつけたらいいのに!

奥にはアトリエがあり、絵を描く人、織り機で織る人、体操をする人とみなさん集中して取り組まれている。

この素敵な作品は島根大学が開発した視線入力のアプリケーション「EyeMoTセンサリー」を使用して、アーティスト月音さんが描いたもの。制作しているところを見学させてもらった。

月音さんは黒目を動かすことで絵を描いている。
画面上にあるアイコンに月音さんの目の動き、例えば色を選択するときは月音さんが何秒その色を見たら決定、というように設定がされている。
月音さんが望んだところで画面の写真を撮ることもできる。気に入らないものはゴミ箱に捨てることもあるそう。

そうして出来上がった作品には月音さんがお母さんと一緒にタイトルをつける。
一つの作品にはアーティスト、職員、家族、開発技術者など多くの人が関わっているストーリーがあるのだ。
タイトルに込められた思いを想像してみると、作品への興味が深まる。
思わず立ち止まってじっくりと観たくなる素敵な作品です。

いよいよショールの織り手、アーティストのミクさんとご対面。
お笑いが好きだというミクさんからは番組のタイトルや、最近の推しであるかまいたちの濱家さん、他にも芸人さんの名前が次々と出てきて楽しい。
挨拶をしたとき彼女は選んだ糸を巻いていた。どんな色の糸を使うのか、デザインはミクさんが決める。


職員さんが織り機のセッティングを済ませると早速織り始める。

は、はやい!!!
糸を通して足でペダルを踏んでいく。あっという間に2センチほど織れている。
しかし長さがしっかりあるショールだ。一枚作るのに何日くらいかかるのか友人に聞くと、「何時間……一日かからないかな」と返ってきて驚いた。
すばらしい集中力だ!
同じものは一つとない世界に一つのショール、なんと愛おしいのだろう。

ギャラリーで一緒に写真を撮ってもらいました。

ミクさん、大切に使います。ありがとうございました!


エネルギーをチャージして自分との闘いの場、東京へと戻る。
大丈夫、心をも包んであたたかく守ってくれるアイテムを授かったのだから。


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小笠原ゆき
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