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2018年7月の記事一覧

4.音に酔いしれる、ライブは夜 【マジックリアリズム】

4.音に酔いしれる、ライブは夜 【マジックリアリズム】

西の空にほんのりと残るオレンジ色。
古びた木の手摺のある登り坂には、アンプから流れる音が響く。
バーのテラスには、形の揃わない椅子が、並べられているとは言えないような配置で適当に置かれている。
ぬるい風に揺らされる松明の炎。
火の入った野菜とスパイスの混じるディナーの香り。

「いつもより人が多い」

僕は言った。

「そりゃ、ライブだもの」

マスターが言った。

「誰が歌う

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3.ドライアイ 【マジックリアリズム】

3.ドライアイ 【マジックリアリズム】

スコールあがりの空には、開放感が満ちている。
洗われた街は、清らかな湿気に覆われて、沈むその瞬間まで強い光を放つ南国の陽が、濡れた花を、建物を、人々を輝かせる。

地方の観光誌を作る会社の採用面接に惨敗してから、シシトウやトマトを収穫するバイトをしている。
身体を動かすのは思いのほか気持ちがよかった。

「このままでは、ここの素晴らしい景色を愛でる余裕すらなくなってしまいそうだ」

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2.バイトの面接 【マジックリアリズム】

2.バイトの面接 【マジックリアリズム】

「今日はカレーにする」

「たまごは、のせる?」

「うん、ゆで卵だったら」

キッチンに向かうマスターの後ろ姿をぼうっと眺めながら、僕は今日のことを振り返っていた。
ポートフォリオに使う写真を撮影しに出かけて、帰ったときに見つけた郵便受けの中の封筒。内容は、不採用の通知文。

「いい条件だったの?」

とびきり柔らかく煮込んだ牛すじのカレーを運んで、マスターが聞く。
木でできたスプーンで食べると

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1.Slow Start 【マジックリアリズム】

1.Slow Start 【マジックリアリズム】

夕刻の海岸沿いを歩いて数分。
古い木で造られた重い扉を開ける。
ライブハウスとバーとカフェの合わさったようなその店の、カウンターの右から2番目が、僕の指定席だ。

「ドリップ、アイスで?」

背の高いマスター、いつも着心地の良さそうなエスニックの服を着ている。

「ううん、ラッシーで」

「めずらしいね、OK」

アボリジニアートを思わせる生地の柄が艶めかしく、ランプの灯りの下

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