探究活動の現状と展望について~現任校での取り組み紹介~
今の学校に異動して2年半がたちました。
学校研究で、総合的な学習の時間のほぼ全てを使って探究を行っています。
異動したてのころは、Society5.0、国際バカロレア、アントレプレナーシップ教育などなどの言葉は全く知らなかったし、説明を聞いてもわけがわかりませんでした。
前任校でも総合的な学習の時間の担当をしていましたが、やったことは地域調べのための資料準備や職業体験のための職場探し、修学旅行準備に留まっていました。
今までやっていた地域体験や職業体験がなく、探究活動にかなり多くの時間を費やしていました。
ただ、調べ学習との違いがなかなか理解できず、正直最初は意味あるのかぐらい思っていました。実際やってみて、自分が担当したチームは2年とも大失敗でした。
以前研究開発学校の実践発表会に行ったときには、クラスや学年で1つテーマを絞って探究する場合が殆どでした。
先生がそもそもの課題を見つけてくるので(それをうまく子供が設定したかのようにしていますが)、先生の力量が試されるなと思いました。
あとは個人研究パターンです。
正直個人になってしまうと調べ学習になりがちなように感じています。
最終的には個人研究になるのだと思いますが、そのために大学に行くのでは?とある程度大学で研究をやってきた人なので、そう考えてしまいます。
今の学校ではおそらく珍しいのではないかと思いますが、5,6人の少人数チームで課題やプロジェクト内容を自分たちで設定し、半年間取り組みます。
課題の設定から各チームに任せるので、課題意識自体がチープなままプロジェクトが進んでしまい、最後の発表のときに課題の設定が良くなかったという結論になってしまいます。
例えば、
・普段幼児と関わりがない→関わりを持つために幼稚園に遊びに行こう
・人がほとんどいない→観光客が来るようにパンフレットを作ろう(観光地ではない)
・ゴミが落ちている→ポスターをつくろう
そんな感じです。
これは果たして探究なのか?
この課題設定が本当に難しく、大切だと感じています。
というわけで。私は残念ながらカリキュラムを考える部署にはいないのですが、
自分の担当するチームにいろいろ仕掛けています。よさそうだったら、来年以降全校に広めたいです。
1 アイデアを100個出してみる
実現可能でも不可能でもよいから、アイデアをグループで100個だす。
その中からよいものを選んだり組み合わせたりしてみようと言ってみました。
実際にできた班は良い感じに進んでいます。
2 相手の企業やお店にとりあえず行って沢山話す
社会の授業でWin-Winという言葉を学びましたが、やはり地域の方にとってもプラスになる活動にしたいですし、プラスになりそうであれば、協力してくれると思います。
自分の感覚としては、教員があらかじめ探して交渉した場所ではないのに、みなさん優しく中学生と接してくれています。
少子高齢化が深刻化する中で、未来を担う子供たちに少しでも力になれればと思ってくれる優しい大人が多いように思います。
話す中でこんなことやってみたら?とアイデアをいただけたら最高だなと思います。
3 課題は、「地域の」ではなく「社会全体の」でOK
地域の課題を解決しよう、というテーマだとどうしても、なぜか大抵「人がいない」か「ゴミが落ちてる」になります。
社会科の学習となかなか繋げてもらえないのですが、うまく繋げられた班は
・伝統文化の後継者不足
・空き家の管理
・インバウンド需要への対策
・防災
・フードロス
・交通や防犯
などに着目して、何か面白いことが始まりそうです。
なかなか社会全体の課題と繋げてもらえないのは社会教員の力量不足なところもあり、反省もあります。次年度以降は社会科でも身近な地域を意識させるしかけが必要です。
ポイントは、固定概念を疑って深堀りすることだと思います。
人がいないのはなぜ駄目なのか?
とか、人がいるとなぜ良いのか?
ゴミが落ちてたらなぜだめなのか?
なぜゴミが落ちてるのか?故意に捨てる人がいるのか?なぜ持ち帰らないのか?
テレビ番組でただただゴミを拾う番組がありますが、どういう人が何で捨てたんだろうと考察していて面白いです。ゴミが落ちている=駄目なこと、以上の学びがありそうです。
4 アイデア披露の会、開催
これがめちゃくちゃ良かったのでシェアします。
現在チームを4つ担当しています。去年まで7だったので、さすがに厳しかったです。
4ぐらいで限界かと思います。
最近、この4チームの顔合わせの機会がありました。プロジェクトは2学期から本格始動あっす。
社会科の授業でも子供たちの質問力があがってきている気がするので、本当に思いつきで自分たちの班のプロジェクト案を紹介する会をしました。
簡単に5分10分で終わるつもりが、質疑応答して良いよと言うと、子供たちは容赦なくつっこみます。
結果1時間まるまる使い、軽いイベントのような形に。
夏休み中にプロジェクトを進めていたチームは補足する程度で終わりましたが、まだプロジェクト自体があやふやなチームは、いろんな角度から突っ込みが入り、止まらない状態に。
議論が白熱して、「地獄だー!」と言っていましたが、結果的にいろいろアドバイスをもらえて、きつかったけど、うまく修正できそうだと満足した感じでした。
確かに!と頷きたくなる意見が多く、議論に熱くなる人たちを見ているのは面白かったです。
議論に参加していない見ているだけの生徒たちも、いろいろ考えていたようで、また開催してほしいと、満足度が高かったです。
思いつきで自分が開催した会でしたが、社会科の方でこんなに盛り上がる授業になることもないので、なんか自分自身に嫉妬するような不思議な感覚に...。
これこそ、総合的な学習の時間で積み重ねてきた経験や力などがあるのかと思います。
そんな感じです。
私自身今年は、探究活動にやる気があり、
総合の時間になると、ワクワクする自分がいます。
以前は遠慮して、明らかに難しそうなプロジェクトを引き受け、実現できたかどうかわからないまま終わってしまったものが多くありました。
今年は、プロジェクトを作る段階から、子どもたち同士で話をして軌道修正をすることにチャレンジしています。
最後に。
最近参加する対面やオンラインセミナーでいつも言われるのが、探究活動を子供たちにさせる前に教師がまずやってみなければならない、ということです。
私たち自身が探究活動をしてきてないので、
どのような思考で進み、どこで躓くのかわからないはずです。大人と子供は違うといいますが、大人が躓くところは子供も躓く可能性が高いですよね。
見本を見せてしまうとマネをするという意見もありますが、マネをするのか、先生を超えたものを目指すのかも子供たちの選択ですからね。
探究に慣れてきている子供たちは、大人のアイデアを軽く超えてくる時代が来ているように思います。
現在の探究活動の取り組みでした。
興味ある方はコメントやXでいつでもご連絡ください。