函館生まれのソウルピザが紡ぐ、あったかい時間
三連休の最終日。昼ごはんを食べ損ね、空腹がピークを迎えた午後2時。「もしもし?お昼はどうなりましたか」。おなかが訴えてきた。
このところ、昼はラーメンやスパゲティばかり。めん類はもういいわと、胃が悲鳴を上げている。かといって、ご飯ものという気分でもない。
何か温かくて、幸せを感じるものが食べたい。
そう、絶対的に不足しているのは幸福感なのだ。わたしの心を表すかのようなスッカスカな冷蔵庫を見て、気付いた。
そこへ突然、幸せの象徴ともいえる「ピザ」というキーワードが舞い降りてきた(個人差あり)。宝箱のような箱のふたを開けた瞬間に広がるチーズの香り。何とも言えない魅力がある。
函館発、道民のソウルピザ
ピザはシェアが基本…なんて美徳は、きょうに限って封印。ひとりピザパーティーの開幕である。インターネットで宅配ピザ「テンフォー」のWebサイトを開き、注文ボタンを押す。
テンフォーは函館発祥。道産食材を使った北海道らしいピザが充実している。道内の地方都市にも根を張っているため、個人的には、道民のソウルピザと呼んでも言い過ぎではないと思っている。
注文したのは、「北海道カントリー男爵」と「復刻エビカレードリア」。
わたしのイチオシ・カントリー男爵は、ほかのピザチェーンにはない味。道産の蒸した男爵イモをカットしタマネギやベーコンとともに炒めたジャーマンポテトがしょうゆソースとよく合うのだ。
ドリアピザは、生地の上にドライカレーとホワイトソースをトッピングした二段重ね。食べごたえがあり、胃袋の奥まで幸せが届く。
ピザを待つ、ワクワクのひととき
わたしはこの後、ピザを食べるのだ。そう思うだけで、心は学校帰りの小学生のよう。改めて歯を磨き、髪を丁寧に洗ってみたりする。寒い中、わざわざ宅配してもらうのだ。それぐらいの気持ちで迎えたい。
時折、空腹の波がおそいかかり、思わずお菓子に手が伸びそうになるが、ぐっとこらえ、麦茶を一杯、飲み干す。クリスマスプレゼントを待つように、到着を待つまでの時間に味わう喜びのほうが大きいかもしれない。
こうして予約した午後3時…よりも少し前の2時50分、インターフォンが鳴った。時間前行動である。こやつ、できる!
配達員の女性に「寒い中、ありがとうございます」と頭を下げる。女性はやや驚いた様子で「いえいえ、こちらこそありがとうございます」。お互いに頭を下げる変な構図になる。まるで、お見合いのようだ。
感謝の気持ちは伝えた。あとは食べるだけだ。
心と体を癒す特効薬
八角形の箱を開けると、幸せな香りが部屋中に広がった。
迷わず選んだ1ピース。かぶりつくと、しょうゆソースのどこか懐かしい味わいとチーズのまろやかな甘さが、絶妙なバランスで舌の上を転がる。
至福の瞬間、わたしは考える。
こんな幸せな時間こそが、心と体を癒す特効薬なのかもしれない。心が欲しいものを、欲しいときに味わう。そんな瞬間は、いつもの何倍も美味しく感じられるから不思議だ。
テンフォーのピザは子どもの頃から慣れ親しんでいる味。これからもずっと、わたしの、そして道民の心と胃袋を満たし続けてほしい。そう願いながら、1枚分をぺろりとたいらげ、残りは1ピースずつラップに包んで冷凍する、ちゃっかり者のわたしなのでした。
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