【読書】居心地の悪い部屋の居心地が悪い
『居心地の悪い部屋』を読みました。何で知ったのか覚えていませんが、岸本佐知子さんの訳だから、というのは確かです。大変シュールというか、まさに居心地の悪い感じでした。
この、なんだかきっちり収まっていない感じの装丁も、居心地の悪いことが始まりそうで落ち着きません。ざわざわ。
『ヘベはジャリを殺す』ブライアン・エヴンソン
『チャメトラ』ルイス・アルベルト・ウレア
『あざ』アンナ・カヴァン
『来訪者』ジュディ・パドニッツ
『どう眠った?』ポール・グレノン
『父、まばたきもせず』ブライアン・エヴンソン
『分身』リッキー・デュコーネイ
『潜水夫』ルイス・ロビンソン
『やあ!やってるかい!』ジョイス・キャロル・オーツ
『ささやき』レイ・ヴクサヴィッチ
『ケーキ』ステイシー・レヴィーン
『喜びと哀愁の野球トリビア・クイズ』ケン・カルファス
最初から『……殺す』という物騒なタイトルで、しかもいきなり瞼を縫っています。え?なんで??しかも手順を書いたメモが読めないのだと……え~と、一般常識で疑問を持ってはいけないようです。
他にも、傷口から汽車が出てきたり、電話は度々かかってくるのになかなか到着しない人たちがいたり、「どう眠った?」と聞きつつ建築の話だったり、ホラーなの!?だったり、どうして良いかわからない、このいたたまれない感じ。これが居心地が悪いということなのでしょう。
感動モノやドキドキのサスペンスも良いですが、たまにはどう考えてもわからないものを読むのも、脳のいつも使わない部分を刺激してくれそうです。
巻末には各作者の解説があり、居心地悪い系の中でも大体どのようなジャンルの作品を書く人なのかわかります。
中でも気になったのが、リッキー・デュコーネイさん。
収録作の他にも「砂のお城を作ることにかけて天才を発揮する少年がライバルの蟹に敗れる話」とか「ジャガイモ畑にうっかり頭を置き忘れたまま普通に暮らす男の話」なんて読んでみたいです。
短編集The Complete Butcher's Tales (1994)と書いてあるので、翻訳は無いのでしょうか、私の英語力でこういうシュール系を読んでも意味不明かもしれません。岸本さ~ん、翻訳を……。