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お金を払って喜んで人生最多うんこ拾い

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スペイン南部、国内最大級の犬の保護施設で、犬のうんこを拾いまくった体験談。スペインではある特定の犬種が毎年何万頭も飼い主から捨てられる。
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#スペイン

老人とスチューピッドな洗濯物、3本足の犬

ややこしい名前のベルギー人おじいさんと1週間一緒に過ごした。ボランティアとして同じ宿舎で寝泊まりして共同作業をした。そして私は少しばかり彼に困惑した。 背はあまり高くなく頭部に髪はない彼は80歳前後でリタイヤ生活を送っているのだろうと推測する。短パンにTシャツ、長靴姿。短パンの生地は、もうこれ以上は洗濯に耐えられません勘弁してください、と言わんばかりに破れてお尻が見えそう。 このおじいさんは込み入った名前で、私は何度聞き直しても覚えられなかった。 スペイン人スタッフは彼

デフォルト岩顔のベルギー人、選ばれない色の犬

初めて会ったベルギー人とイタリア人と一つ屋根の下で1週間寝泊まりしていました。 私は自慢ではないけど人付き合いが上手くない。社交の場は苦手だし、友達も多くない。それは日本でもそうだったし、日本の外でもそうで。 とはいえ、1週間誰かと一緒に作業しないといけないとなると、さすがの私でも、なんとか会話をしたり意思疎通しようと少しは試みる。 私はベルギー人がどんな人たちか全く知らないくらい、ベルギー人と喋ったことはなかったし、もちろんベルギーに行ったこともなかった。そして、この

色々リセットしたかったらインド以外にもあるよ

ただいま、塀の中で暮らしています。 と言っても、罪を犯したわけではなく、犬の保護施設に泊まり込みで1週間滞在しています。 車がないと移動できない、周りには工場も畑も何もない、原っぱだけが広がる中にポツンとある施設です。 道には誰も歩いておらず、道路脇にはプラスチックゴミが散乱しているような、心温まらない風景の地方です(悪口を言うつもりはないのですが本当に原っぱとゴミだけなので)。 インターネットやメディア、レストランやショップという娯楽から離れていると、「現実」とはな

原付バイクが壊れて大騒ぎして学んだこと

海外で徒歩と交通機関で生きている私が、スペインで125ccの原付バイクを1週間レンタルをしました。 日本で20年以上前に、50ccの原付バイクに乗っていたことはありましたが、それぶりです。正確には1999年とかでしたから、まだ20世紀、平成の前半、小渕総理の時代、消費税が5%だった頃です。それから四半世紀経って、いきなり異国の地で、熱いアスファルトの上を、手首に時計の日焼けを作りながら、高速道路の排気を吸い吸い走ったのです。 ちなみに、私は125ccのバイクが乗れる二輪の

犬のフンで筋肉痛になった話

これから食事という方は、ぜひ時間をずらして読んでいただきたい。タイトルで察せず、食事中なのに開いてしまった好奇心旺盛な方、おめでとうございます。何かのご縁かもしれません。 私はスペインにある捨てられた狩猟犬の保護施設で1週間泊まり込みのボランティアをしたのだが、3日目に、上腕二頭筋が小声で痛みを訴え始めた。 私は20kgのエサ袋を両肩にかついだり、腰にロープを巻き付けてタイヤを引っ張ったり、クマと闘ったり、怪我をした仲間をお姫様抱っこして病院まで走ったりは、全くしていない

寄付金を集められるインフルエンサーの影響力。人間は馬になったり、犬を銃殺したり。

人生で初めてインフルエンサーに会った。私はいろんなことに疎い。テレビを持っていないし、ウェブメディアも見ないし、敏感なアンテナも持ってないから何が流行っているのかも知らない。だけど、誰かにスポンサーがつく、ということは、その人に影響力があるからだ、というのは疎い私でも理解できる。 私が会ったインフルエンサーは、動物保護の活動をしている。ツヤツヤとしたダークな短髪にこぶしほどの超小顔、潤んだ瞳、落ち着いた所作、とても無口な彼女たちは、アビーとメイベルという美しい女性だった。

海外へもらわれゆく命、永遠に減らない捨てられる命、スペインのダークサイド

スペインにある、600頭の犬が暮らす施設で、1週間寝泊まりさせてもらった。私にとっては毎日ウハウハのハーレムのような幸せな体験だったが、犬たちにとっては最も幸福といえる環境ではなかった。なぜなら、そこは虐待やネグレクトされ捨てられた犬たちの施設だからだ。 一般的に捨てられた動物の保護施設にはいろんな犬や猫がいるものだが、この施設は9割くらいが一つの犬種、スパニッシュ・グレイハウンド(スペイン語ではガルゴと言う)で、他の犬種はわずかである。同じブリードばかりいるから一見すると

命を生かすのは金がかかる。人海戦術、水の入れ替え、バケツ洗い。イタリア人はイタリア人。

人間に捨てられた600頭のガルゴ(スパニッシュ・グレイハウンド)の保護施設の中で朝6時半に起床した。ここはスペイン南部のアンダルシア地方、5月末で気温36度に達する暑く乾いた土地の真ん中にある犬の保護施設である。 ガルゴは、細長い鼻に細長い身体を持つ筋肉質でエレガントな印象の犬だ。かつては貴族しか持てない貴重な犬だったが、今ではレースや狩猟など庶民の娯楽のために飼育され、使い捨てされることが問題となっている犬である。スペインでは年間5万頭が捨てられているとされ、私が滞在して

スペインの保護犬施設に住み込みボランティア。アメリカ人、ドイツ人とうんこ拾い

スペイン南部、アンダルシア地方の犬の保護施設に滞在して、お金払ってうんこ拾いをしています。なんでそんなことをしているかという背景は前回書いたので、以下に委ねます。 空港から30分ほど、茶色い畑のような平地の中にポツンと犬の保護施設がある。ここには約600頭のスパニッシュ・グレイハウンド(ガルゴ)が保護されている。 郊外なので、犬が吠えても文句を言うような近隣住宅はない。交通機関はなく、自力でレンタルした移動手段が必要になる。私は、普段徒歩とバスで生きているので、レンタカー

お金を払って喜んで犬のうんこを拾いにきた話

私は今スペイン南部の陽の照りつける茶色く乾いた土地の真ん中にいます。いつも暮らしている島とは違い、歩いても海にたどりつけない平地の中です。 自分は今起こったばかりのことを書くのは向いていない人間で、しばらく寝かせる時間を要します。とれたての野菜を新鮮なうちに出す店ではなく、古漬け専門店です。ですが、今、あまりにたくさんの刺激の中に身を置き、古漬けにするより浅漬けくらいで出していった方が良い気がするので、書いてみます。 スペイン南部、もう首都マドリッドに行くよりも南下してモ