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咬みません。躾のできたよい子です。 | 有川浩「植物図鑑」と、恋物語と、私

💌本と恋にまつわる、思い出話をつらつらと💌

note大学・ともきちさん、yuriさん主催の「恋愛×読書コンテスト」!
楽しそうすぎるので参加させてください!🥺✨

恋愛の記事はあまり得意ではないのですが、深夜に乗じ、思い出話をそっと投下です💌

よろしくお願いします🙇‍♀️🙏


💐


有川浩「植物図鑑」

この本を手に取ったのは、他でもない。
いわゆる「ジャケ買い」というやつだ。

中村佑介さん、というイラストレーターが好きな私は、店頭で平積みになっている「植物図鑑」を見つけ、思わず手に取ったのだ。

で、よくよく見たら、中村佑介さんの絵ではなかったのだが……(私、こういうとこある)

絵が可愛い!内容も面白そう!即購入を決めた。

ジャケ買いだったものの、ジャケットだけではなく、中身も私にクリーンヒット。植物、恋、有川浩。どれをとっても、「好き」でできていた。

💐

物語は、主人公・さやかが、偶然「落ちていた」イケメン・イツキを拾うところから始まる。

「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?咬みません。躾のできたよい子です」

共に暮らし始めた2人は、植物を観察したり、野草を取ってきてはご飯を作ったりしながら、次第に心惹かれあっていく……。

きゅーーーーーん!

「いつか王子様が」と思いこがれる少女時代の私は、「植物図鑑」は本当に本当に胸がきゅんきゅんできゅんきゅんだった!
暇さえあれば、2人の恋物語を何度も読み返したものだった。

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恋物語の世界への憧れと、現実の狭間で

しかしその一方で。

「植物図鑑」を何度も何度も読み直すたびに、何度も何度も、思っていた。

「全然性格が違う2人が出会って、恋に落ちて、一緒に住んで…そんなにうまくいく人なんているの?」

「こんなふうに、同じ趣味で盛り上がって、一緒に楽しく過ごして、一緒に暮らせる相手が、私にできる日が来るんだろうか……?無理では……?」

「強がっている私の殻を破って、しんどい、つらいと、泣ける相手が、私にもいつかできるんだろうか……?無理では……?」

だいたい頭の片隅ではこんなことばかり考えていた。色々拗らせていたので、自分が誰かとお付き合いして、ましてや結婚する未来なんて、想像もできなかったのである。

そう、恋とは、物語の中にあり、キラキラ輝いて私を見つめてくるもの。私には無縁なもの。

でも…もしかして…私だって、いつかは……


💐


まぁ、悲観はしていたけれど、とはいえ。
私、性根がちょろいので。

「植物図鑑」を読んでから、「どういう人と付き合いたい?」「理想のタイプは?」といった質問には「悲しい時に、強がらないで目の前で泣ける人」がしれっと追加された。

ちなみに、もう一つは「美味しそうにニコニコたくさんご飯を食べる人」。笑

まぁ、あくまでも、理想だけど。
理想の中ではなにを描いたっていいじゃないの。
人間だもの。はなを。

💐


「植物図鑑」との出会いから数年経った。


私の前にはまだ「イツキ」は落ちてきてはおらず、割と自暴自棄の日々を送っていた。

あるとき、仲間内での飲み会のあと、みんなでワイワイカラオケで一晩を明かすことになった。

そのなかに、わざわざ一度家に帰ってからカラオケに駆けつけた奇特な男がいた。
彼は、到着するなり私の隣の席に座った。

そうして、ぼちぼち話をするなかで、「mixi」の「マイミク」になった私たち。

※みなさんmixiって知ってますか?
当時全盛だったSNSサイトだよ。
マイミクはフレンドみたいなことだよ。

すると、私の「マイページ」を見ていた彼が、自分の携帯の画面と、私の携帯の画面の自分の「マイページ」とを比べて交互に指差し、言った。

有川浩、同じですね

その指の先には、「有川浩」「植物図鑑」のコミュニティ。2人とも、「植物図鑑」のコミュニティに参加していたのだ。

※コミュニティ
掲示板のような機能のある無料の「サークル」的な組織だよ。
そこで発言するわけではなくても、「コミュニティ一覧」に「どんなコミュニティが並ぶか」でアイデンティティを示すことができた(私の認識です)

そこから、有川浩の他の本の話や、伊坂幸太郎の話なんかもしてそれなりに盛り上がったような……

あまり覚えていないが、夜明けを迎えてカラオケを出る頃には、かなり打ち解けていたように思う。

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だから、お付き合いが始まり、彼に「有川浩の植物図鑑?ああ、本屋で一気に立ち読みしたっきりで、あんまり内容は覚えてないな」と言われたときは、「は????????」って思いましたね、ええ。

え、あの夜は一体なんだったの?


そう、私たちは正反対の2人。
大枠の好きなジャンルは同じでも、趣味趣向はほっとんど合わない。

だがしかし、それが逆によかったのか。
なんと我々はそのまま結婚。

おかげさまで、結婚して本棚が同じになっても、本のレパートリーはほぼ被ることなくバラッバラ。
「植物図鑑」は私の「植物図鑑」しかない。
(伊坂幸太郎で被ってる本はちらほら……でも文庫かハードカバーか、で違いがある!)


💐

あの秋の日から始まった、私たちの恋物語


そんな正反対の私たちだが、なんやかんや、今のところ仲良く暮らしている。


今思うと、あのカラオケの日。あのときに、私のところに、私の「イツキ」が落ちてきたのだろう。

わざわざ家に一度帰ってから、カラオケオールに参加してきた奇特な男が。

正直、あんまりロマンチックじゃない。
「植物図鑑?覚えてない」などとも言われたけど。

私の夫は、美味しそうにニコニコたくさんご飯を食べ、強がらないで目の前で泣ける人。

それだけでもう十二分なほどに、私の大事な大事な「恋物語」だ。

恋愛と読書。
それは、夫と私を繋ぐ大事な大事な絆。


おあとがよろしいようで。


💐


🕊猪狩はな💙
Twitter:@hana_so14

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猪狩はな|教育ライター
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