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伝統工芸・七宝焼を理科で紐解く!

こんにちは。
七宝焼窯元・太田七宝六代目satsuki*です。

繁忙期&イベント準備でバタバタしてしまってnoteもだいぶお久しぶりです(THE言い訳)

2022年3月26日
「七宝焼き体験で理科学習」
遊び×体験×学習ワークショップ

栄のナディアパークにあるナゴヤイノベーターズガレージにて開催されたこのイベントに、七宝焼講師として参加させていただきました。

CBCテレビさんにも取材していただきました!

このイベントを企画された「アソビエンス」のメンバーから最初にお話を伺ったときは正直驚きました。
七宝焼を学校の授業でやるなら「美術」か「歴史」だろうなと思い込んでいたからです。
「理科」という視点から見る七宝焼はまさに青天の霹靂でした。

でもいざお話を伺って考えてみると、たしかに七宝焼は「理科」の要素が詰まっていました。

私自身はというと…
高校時代は文系だったため、受験で使う生物しか学ばずに成り行きで理転した結果、大学で必修になってしまった物理を友人の手厚いサポートのおかげでギリギリ単位ゲットしていたような人間なので、とても理科が好きですとは言えません…

詳しいことは分からないけれど、今回の企画は小学生でも分かる、理科の視点から見る七宝焼という工芸のお話で、私でもぼんやり分かりました!

七宝焼が綺麗に見えるのはなぜ?

こんなこと疑問に思ったこともなかった(笑)
私は根本的には文系的思考なので、なぜ七宝焼が綺麗に見えるかなんて発想はそもそもなく、この着眼点はとても興味深かったです。

焼成前と焼成後

どちらも金属の上にガラスが乗っている状態なのに
焼く前と焼いた後で見え方が違うのはなぜか?

そりゃ焼いたからツルツルになるやろ!って思うじゃないですか。
これをちゃんと科学的に説明できるんです。
(私には説明できないけど)

裏引きしないと七宝焼が割れるのはなぜ?

これはね、私もなんとなーく分かりましたよ。なんとなくね。
金属もガラスも温めると伸びるし、冷やすと固まる。
金属と釉薬の縮み方の差で裏だけ、表だけの場合には七宝が割れる。


私はガラスフュージングの講師資格も持っているんですが、その講義の中にガラスの膨張率の話がありました。
七宝焼とフュージング用ガラスは膨張率が違うので一緒に焼くと割れます。
すぐ割れなくても数日後に突然割れます。そうじゃなくても焼き方が悪かったり冷まし方が悪いとどっちにしろ割れるんだけど、それもまたきっと科学的に説明できるんだと思う。
(私にはできないけど)

新しい視点から見る七宝焼

こんな感じで私には説明できない理科の視点から見る七宝焼の話、他にも気になってしまって。

・メタル七宝(1mm強の銅板を使う七宝)の裏引きが要らないのはなぜ?

裏は銅板そのままのペンダント


・素地にカーブがあると七宝が割れにくいのはなぜ?

銅板を叩いてカーブをつけます


・銅板に直接銀線を立てると焼いていくうちに銀線が沈んでゆくのはなぜ?銅板よりホーロー板の方が銀線が沈みにくいのはなぜ?

立ちもの(花瓶など)は最近ホーローに線を立てる

・七宝は焼いてすぐ冷やしても割れないのにガラスはすぐ冷やすと割れるのはなぜ?
・金を使うと赤の釉薬ができるのはなぜ?
・七宝焼で使う金属が純銀や丹銅など純度の高いものに限られるのはなぜ?
・純銀や純銅の融点よりも合金の融点が下がるのはなぜ?←これは七宝には直接関係ないか

などなど今まで感覚的にそういうものだと思っていることが実は理科の視点から見ると理論的に説明できたり、面白い発見になったりするのかもしれない。
今回の企画では七宝焼を通して理科を学ぶという趣旨でしたが、逆に理科を通して七宝焼を知ってもらうこともできるかも。

今回の企画を通し、多角的な視点を持つことでさらに七宝焼を深く知ることが出来た気がして、私自身もまだまだ学ばなくては…!と刺激を受けました。
これからも型にとらわれずチャレンジを続けていきたいです。

それにしても栄にこんなオシャレな空間があるなんて…!

ナゴヤイノベーターズガレージ

イベントやセミナーも開催されているようなので、機会があれば訪れてみてください。

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