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第11回 6泊7日ファスティング体験記──5泊目に人生で最高のしじみ汁とけんちん汁を食す

 5泊目の朝も目が覚めて入浴施設に向かうところから始まりました。この日も入浴施設にある体重計に乗ると体重が減っていました。ファスティングをせずとも少量の回復食だけならば特にお手洗いに行かない状態で、どうやら私の場合は体重が減少するようでした。

 本日は回復食の2日目にあたり、4泊目の前日と同様に朝と夕方の2回に食事がありました。朝食までは時間があるので、まずは例によってリモートワークを開始しました。普段はリモートワークを開始すると朝食を取らずに昼まで過ごすため、今思い返すと当時はメリハリがある状態で仕事に取り組んでいたようでした。

 朝食の時間になって食堂に向かうと私の席が準備されていました。今回の食事は昨日と同じくお粥と梅干しがあり、それ以外には野菜スムージーのシャーベットとしじみ汁がありました。やはりどこまでいってもお粥はお粥ですし、梅干しは梅干しではありました。一方、野菜スムージーのシャーベットは冷たくてシャリシャリとした口触りに真新しさを感じ、前日分を含む回復食の物足りなさを充足してくれました。そしてそれ以上に、今回のしじみ汁は今までの人生で食べてきたしじみ汁の中で一番と言っても過言でないほどでした。

 下記の記事でも述べた通り、ファスティング後に初めて食べた回復食は感動を覚えませんでしたが、3食目に該当する今回のしじみ汁は感動を覚えたのです。これは久しぶりの食事だからというよりは、今回のしじみ汁自体がそもそもとして美味しかったのでしょう。それまでの私はしじみ汁を選り好んで食べることはなかったですし、しじみ汁がそこまで美味しい物だとも認識していなかったのですが、今回のしじみ汁は出汁が私の口にちょうどよかったのです。しじみ汁の味はほどよく薄めであり、香りも強すぎず弱すぎであり、料亭で食べるような品のある味でした(料亭に行ったことはほぼ皆無なのであくまで想像です)。

 今回のしじみ汁を食べたことで夕食の回復食も期待できそうだと感じながら、再び夕食までは自室でリモートワークに取り組みました。リモートワークの最中は次の食事のことは考えていたものの、禁断症状のように食欲が暴走することはなく、いつも通りに仕事に取り組んでいました。

 リモートワークを終えたのか一時中断したのかは記憶が定かでありませんが、夕食の時間になって再び食堂に向かうと私の席が準備されていました。朝食に食べたしじみ汁が期待を遥かに上回ったので、当然ながら今回の食事も楽しみになっていました。今回の食事はお馴染みのお粥、油揚げや緑色系の野菜が入った煮物、恐らくひじき、そして具沢山のけんちん汁でした。

 結論から述べると朝食のしじみ汁と同様に、今回のけんちん汁も今までの人生で食べてきたけんちん汁の中で最も美味しかったです。今まではしじみ汁と同様に選り好んでけんちん汁を食べたいと思ったことはなかったですし、そもそもけんちん汁とは何かを大して把握していなかったほどなのですが、今回のけんちん汁はあまりにも美味しかったので「けんちん汁とは」とスマートフォンで検索したほどでした。

 ……やはり回復食かどうかは関係なく、今回のけんちん汁自体がとても美味しかったのです。汁は無色透明に澄んでおり味が上品で、ファスティング施設では食材選びから細心の注意を払っているのか、にんじんやごぼうなどのひとつひとつの具材がしっかりとしていました。今まで食べてきたけんちん汁は無色透明ではなく上品な味をした食べ物といった印象はなかったですし、具材がそこまでしっかりとした印象もなかったのですが、今回のけんちん汁によってその印象が180度変わりました。

 ファスティング体験をしてから3か月以上経過した2024年10月9日現在も、ファスティング施設で食べたしじみ汁を上回るしじみ汁、ならびにファスティング施設で食べたけんちん汁を上回るけんちん汁には巡り合っていません。いずれも汁物であり一般に主菜ではありませんが、ファスティング施設で食べたしじみ汁とけんちん汁は、少なくとも私にとっては主菜に昇華したご馳走でした。

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