![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170214990/rectangle_large_type_2_cba49576cae21507bc0759f802af44ba.jpeg?width=1200)
サプライズへの正解がわからない | 莉琴
わたしはとにかく物事に驚けない。
そもそも日常で”驚く”というリアクションをとることがほとんどない。
家族から「救急車を呼ぶ」と言われても、「コンビニに行く」と言われても、わたしの反応はそんなに変わらないかもしれない。
割となんでも「そうなんだ」と受け止めてしまう。相当驚いても「え…」と発するくらいだ。
だから、サプライズにもうまく驚けない。
サプライズ自体はうれしいけれど、恐らく期待されているほどのリアクションを返せないから、先に申し訳なくなってしまう。
相手にわかりやすく喜びを伝えてくては…と考えすぎて演技っぽくなっている気もする。
昔、食事に行った人に「落ち着いているから、どれくらい喜んでいるのか謎だよね」と言われたことも影響していると思う。
その時は事前にレストランと相談して特別なデザートを用意してくれていた。
通常サイズのデザートと一緒に、まるでシルバニアファミリーが食べるようなミニチュアサイズの全く同じデザートが出された。
ミニチュアでも食べられるショートケーキやクレープはとてもよくできていて感心して見入っていたが、相手が求めていたのはバラエティ番組の食レポのような派手なリアクションだったのだろう。
それでも誕生日や記念日のお祝いに食事や旅行をすると、必ずサプライズがセットになる。
定番のメッセージプレート以外にもレストランを貸し切ったり、ミッキーとミニーを貸し切ったり、その日限り&自分限りの特別なコース料理が出てきたり、抱えるほどの花束と部屋中にキャンドルがセットされていたり、デザイナーにオリジナルの靴をオーダーされていたり、部屋に好きなブランドのギフトボックスがこれでもかと積み上げられていたり…あらゆるサプライズをしてもらったけれど、予想外であるほどリアクションの正解がわからなかった。
「わあ、びっくりした!ありがとう!」くらいでは足りないのはわかる。
泣けたりしたらいいんだろうけれど、そんなに感極まる方でもない。自分でもつくづく”サプライズ殺し”だなと思う。
でも、本当にうれしいのだ。
サプライズ自体もだが、そこに至るまで色々考えてくれたこと、計画や準備に費やしてくれた時間や手間に思いを馳せると切ないくらいに有難い。
ずっとリアクションをとりあぐねていたが、最近はどんと構えられるようになってきた。
わたしのことを大切にしてくれる人たちは救急車もコンビニも同列でリアクションが大きくないことなんて、最初から百も承知じゃないかと気付いたからだ。
意識的に最大ボリュームにするよりも、自然に振る舞った方が伝わるに決まっている。
それに子どものおかげで以前より表情や感情が豊かになり、素直に表せるようになった。
最近も20年来の友人と子連れで初めて会い、
「ちょっと何いまの笑顔!見たことないんだけど(笑)そんな顔するの?!」と驚かれた。
サプライズに対しても頭で考えたリアクションより、ずっといい表情や気持ちが溢れ出ていることを願うばかりだ。
いいなと思ったら応援しよう!
![HAKKOU(はっこう)/リレーエッセイ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142136595/profile_538bb9869dc7aac88c3af08037d7882a.png?width=600&crop=1:1,smart)