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志なければ舵なき舟ーあなたが大切にしたい価値観は?
「志立たざれば舵なき舟」――これは、陽明学を唱えた王陽明の思想を象徴する言葉です。
志がなければ自分の人生がまるで舵を失った舟のように、流されるままに漂うしかなくなってしまいます。これは、何も人生の大きな目標に限った話ではなく、もっと身近なところで言えば、「自分の軸」を持つことの重要性を示しています。
世の中には、情報が溢れ、多くの価値観が交錯しています。その中で、自分は「何を基準に生きるのか」を決めずにいると、周囲の意見に流され、行動や選択に迷いが生じます。
例えば、会社での評価、世間の流行、他人からの期待――こうしたものに振り回されてしまうと、自分の本心がわからなくなってしまい、自分に取ってあまり好ましいものではない状態になってしまうと思います。
一方で、「自分の軸」がしっかりしている人は、多少の逆風が吹こうともブレることなく前に進むことができます。仕事でも、人間関係でも、何かを決断するときに、自分の価値観に照らし合わせて判断することができるからです。
では、どうすれば「自分の軸」を持つことができるのか?
まず大切なのは、「自分が何を大切にしたいのか」を明確にすることです。どんな生き方をしたいのか、どんな価値観を持ち続けたいのかを、言語化してみるとよいです。
例えば、「人との信頼を大切にする」「学び続ける姿勢を持つ」「困難があっても挑戦を続ける」など、指針を持つだけでも、日々の迷いは減ります。
次に、その軸を貫くための習慣を持つことです。毎日自分の志を確認する時間を持つ、振り返りの時間を作る、信頼できる人と定期的に話すなど、継続的に自分を見つめる機会を設けることが大切です。忙しさにかまけて、自分が大事にしたいと思っている価値観を思い出すためです。
王陽明は、「知行合一」――すなわち、「知ることと行うことは一体である」とも説きました。自分の軸を持つことは、ただ考えるだけではなく、実際の行動として積み重ねていくことが必要で、日々の小さな選択の積み重ねが、やがて大きな「志」となるということです。
舵のない舟として漂うのか、それとも自らの意思で方向を決めて進むのか。その選択は、自分自身に委ねられています。
自分が大切にしたい価値観を確認する方法としては、自分が大切にしたい価値観を紙に3つ書き出してみてください。紙に書くことで、自分の志がより明確になります。
ちなみに、私が大切にしている価値観はこんなところです。
1.人に喜ばれる仕事をすること
2.自分を実体以上に大きく見せようとしないこと
3.人に譲る気持ちを大事にすること
4.他人の不幸の上に自分の幸せはないこと
5.生涯、学び続けること
私自身は、こうした価値観で過ごしているおかげで、他人と自分を比べることもなくなりますし、無理に背伸びしなくていいと思えますし、穏やかな気持ちで日々を過ごせています。
舵を持つとは、自分の価値観に従って進むこと。
自分がブレずに生きるために大切にしたい価値観、軸が何なのか?
時々は立ち止まって考えてみることをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございます。