週刊小売業界ニュース|コンビニとピザ屋のシナジー/日本のライブコマースの特徴/セルフレジによる新しい万引きの形|2024/5/13週
2024年5月11日~5月17日にピックアップした、
日・米・韓の小売業界ニュースをお届けします。
今週のおさらいに、ぜひどうぞ!
韓国│コンビニ大手のGS25、即席調理ピザ「GO PIZZA」販売店舗を1,000店舗に拡大
人口1人あたりのコンビニの店舗数は
日本より韓国の方が多いそうです。
日本では1店舗あたり約2,150人であるのに対し、
韓国では1店舗あたり約1,500人とされています。
韓国でコンビニが多い理由は日本と似通っており、
特に都市部で単身世帯・2人世帯が増加しているため、
また高齢化により商圏エリアが縮小したためです。
直近の数年では、コロナ禍をうけ
韓国のデパートやショッピングモール等も
売上を落としていましたが、
コンビニは独り勝ちしているような状態で、
それだけ世帯構成の少人数化や年代構成の高年齢化が、
消費に影響を与えるほど急激に進行していると言えます。
コンビニが単身や2人世帯の増加で喜ぶ一方で、
少人数世帯によってビジネスが難しくなっているのが
フードデリバリー業界です。
客単価に関わらず宅配にかかる人件費は一定に近いため
客単価が低いほど利益率が低くなってしまいます。
加えて小麦や油をよく使用する商品を扱う場合など、
それらの材料仕入れ価格が高騰していることにより、
ここ数年は、収益性がなおさら苦しくなっていました。
今回のコンビニ大手GS25と宅配ピザ大手Go Pizzaの提携は、
GS25にとっては店舗の集客力の向上を期待でき、
Go Pizzaにとっては安定した販路を確保できたというわけで、
消費傾向の変化を取り込んだWin-winの関係だと言えます。
他社は続々撤退するなか、シーインやポッシュマークはなぜライブコマースに多額の投資をするのか? | DIGIDAY[日本版]
「ライブコマース」という言葉をご存じでしょうか。
オンライン動画配信を活用して商品の紹介や販売を行う手法を指します。
ショップ店員や、ターゲット顧客層に人気のインフルエンサーが
商品の使い方や魅力を紹介できる点がECサイトより優れており、
また視聴者からのコメントに反応を返せたりと、
双方向のコミュニケーションを実現できる点が
テレビショッピングと比べて優れています。
ライブコマースが盛んな中国では2020年に火がつき、
それから3年間で市場が約3倍にまで成長しています。
日本円にして100兆円に迫る勢いで成長しており、
これは中国のネット通販全体と比較して20%弱に達するなど、
ライブコマースが主要な購買行動の一つになっています。
日本では2000年代から先駆け企業がライブコマースを始め、
その他の大手企業も続々と事業を展開するも、
収益性が見込めず撤退したという過去があります。
例えば「Yahoo!ショッピングLIVE」は
2017年11月にスタートしましたが、
2020年6月にサービスを終了しました。
1日に配信のあるチャンネルが10にも満たなかったそうです。
他にも「メルカリチャンネル」は
2017年7月にスタートしましたが、
2019年7月にサービス終了を発表しました。
これらの他にも、DeNAの「Laffy」や、
BASEの「BASE LIVE」など大手の撤退が目立ちます。
これまでの日本でライブコマースの
プラットフォームが育たなかった要因として、
日本ではライブコマースで爆発的な売上が立ちづらい
という指摘があります。
人口に比例する市場規模ももちろんですが、
信用できない商品がECに流通している割合や、
ライブコマース向けの大胆な値引きの不在など、
中国ユーザがライブコマースに感じる魅力に比べ、
日本ユーザには魅力的でなかったためと分析されています。
むしろ日本において一定の成果を上げているのは
中国のように急激な売上を作るためとしてではなく、
自社でライブコマースのチャネルを立ち上げ、
顧客エンゲージメントを主眼としたケースです。
例えばコロナ禍による来客の減少をうけ、
ライブコマースを活用した百貨店大手の三越伊勢丹では、
バイヤー自ら出演しベビーカーやランドセルなどについて
商品の使い方や仕様はもちろん、失敗しない選び方のコツなど
商品ひとつひとつを丁寧に説明することを行うことで、
コロナ禍明けに向けた購買の呼びかけや商品の下見につなげ、
中期的な売上につながるエンゲージメントに繋がりました。
カリフォルニア州、セルフレジの運用面に規制をもうけることを検討 - The New York Times
数年前から町なかのスーパーやコンビニで
よく見かけることが増えたセルフレジですが、
小売り事業者を悩ます課題に直面しています。
新しい形での万引きです。
日本に先行してセルフレジの導入を進めていた
欧米各国の大手小売店はセルフレジの撤廃を
進めているほどに事態は深刻です。
例えばWalmartでは一部の店舗でセルフレジを撤去、
Targetではセルフレジを使用できる購入点数を制限しました。
セルフレジは万引き犯による犯行を容易にしているとされ、
場合によってはセルフレジ導入によって得られた利益よりも
セルフレジ導入によって増えた万引き被害額の方が多いため、
トータルで損失となる場合があるという研究結果もあります。
セルフレジ導入が万引きを誘発するメカニズムは何か。
万引きを研究する香川大学の大久保准教授によれば、
と話す。
万引き犯を見張る人間の存在が抑止力になるというのであれば
従来の万引きGメンでよいのでは、という意見もあると思います。
しかしセルフレジは従来の取り締まり方では
一筋縄でいかない事情があります。
万引きGメンは通常、犯行を認めさせますが、
セルフレジでは「精算したつもり」の言い訳がしやすいためです。
よく見られる例が、複数点のうち一部の商品だけ精算や、
買い物かごの下に入れていたのを忘れていたといった、
「精算したつもり」で万引きは故意ではないと否認を続け、
取り締まりは平行線となってしまいます。
加えて、レジ袋の有料化でマイバッグに違和感がなくなったことや、
万引きした商品をフリマアプリ等で換金化しやすくなったことなど、
近年の生活を取り巻く変化が万引きの追い風となってしまっています。
こうした状況をうけ、小売り事業者は対策に乗り出しています。
例えば大手スーパーでは、
セルフレジに精算する客の顔を撮影・投影する
カメラディスプレイを設置することで、
監視していることをアピールしています。
他にも顔ではなく手元を写す方法を採用する事業者も。
またセブンイレブンでは、
商品のスキャンは店員が行って客は精算のみを行う
セミセルフ型に切り替え、カゴ抜けを防止しています。
※ただしセミセルフレジでは、未精算で全商品を万引きするケースに対して別途の対策が必要になります。
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