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青い本を集めてみた

 最近の私は、青い色が好きだ。
 日本語には青を表す言葉がたくさんある。
 中でも、好きなのは「花紺色(はなこんじょう)」という深い青色である。

  宵の口 月も私も 花紺色の 衣まとって

 このお借りしたタイトル画像の背景色が一番近い色だと思う。
 今日は、そんな青にちなんで「装丁が青い色の本」を紹介していく。

 ちなみに前に、「赤い本を集めてみた」という記事を書いた。
 ご興味のある方は、ぜひこちらからどうぞ。


青い蝶は美しい

 1冊目は、湊かなえさんの『人間標本』。暗闇にほの暗い明りのように浮かび上がる蝶の写真が美しい1冊。

 内容は、見た目の美しさとは裏腹になかなかヘビーである。

<<読書メーターの自分の感想より>>
 至は、すべてわかっていたかのだと思うと、切なさを越える境地を感じた。終盤での、まさかのどんでん返しにヒヤヒヤしながら読み進めた。一つ思い出したことがあった。それは昔、羽化に失敗して死んでしまった蝶をいつまでも取っておいたことである。そこに生まれ、羽ばたくはずだった命への愛しさがあったように思う。人間を標本にしたいと思った発端者は、叶うことのない猟奇的な愛に自分自身が、救われないことを承知で、埋まっていったのかもしれない。そう思うと、私はまだまともな方かもしれないとも感じた。それにしても怖い。

『人間標本』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 標本といえば、小学生のころに理科室にあったホルマリン漬けのものを思い出す。いつ漬けられたかわからないそれは、両手でつかめるジャーに入れられているのにもかかわらず、子どもながらに恐ろしかったものである。

やはり、恩田陸は尊い

 2冊目は、恩田陸さんの『光の帝国 常野物語』

 

<<読書メーターの自分の感想より>>
 常野物語、遠野物語を彷彿とさせるタイトルだが、私の中での恩田陸さんの新しい世界観を醸成することができた作品だった。刊行されたのは私が子供の頃、時を経てようやく読めたのは縁だなと思う。目に見えない力は、もしかすると埋もれているだけで人それぞれあるのかもしれない。最近不思議なことがあるので尚更この作品のファンタジーある世界観に引き込まれていったように思う。常野の人は、もしかしたら現実世界にもいるかもしれない、そんな想像力を掻き立てられてしまった。続編もぜひ読みたい

『光の帝国 常野物語』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター


 恩田陸さんとの初めての出合い(出会い)は、子どもの時だ。初めて読んだ本は、本屋大賞も受賞しているこちら

 定期的に読んでいるわけではないが、やはり恩田陸さんは尊いと思う。最近読んでいるのは、本屋大賞にノミネートされたこちら。


青い渦に巻き込まれる

 3冊目は、大好きな青山美智子さんの『鎌倉うずまき案内所』
 懐かしの平成の世の中を螺旋階段の上から下へと巻き戻っていくタイムリープ感も味わえる1冊。

<<読書メーターの自分の感想より>>
 読んでいて、とても心に響いた言葉がありました。それは生きるために生きているという言葉でした。今まで生きる意味を追い求めたこともないし、ただ生きているから生きているのである、というくらいの気持ちでいたことも相まって、心にドシンと音を立て、この言葉が落ちてきました。人生は、この本に出てくる渦巻き模様のように真っ直ぐな道じゃないからこそ面白く、未知の世界に踏み出せる勇気の礎になるのだと思います。青山ファンなのですが、今作もとても素敵でした。また、平成生まれの1人としては、平成史も振り返られてとても興味深かったです。

『鎌倉うずまき案内所』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

青山さんの最新作も本屋大賞にノミネートされている。これについては、こちらの記事からぜひどうぞ。


人間の闇と浅ましさ

 5冊目はミステリー小説である。夕木春央さんの『十戒』

<<読書メーターの自分の感想より>>
 途中から犯人がわかったのだけれど、なぜ犯人が殺人を犯さなければならなかったのかが、最終的に作者によって明かされて少しスッキリした。同時に主人公·里英を含め、人間の闇つまり追い詰められた人間の浅ましさや、本能的な部分の残酷さ、残忍さに恐怖を感じた。個人的には、前作の方舟の方が好きだが、宗教的な価値観と人の心の闇の深さや複雑さを感じられる本作もなかなか読み応えがあった、と思う。方舟→十戒→次作といった三部作的なイメージで次回作も書いてほしいなあと思う。

『十戒』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 宗教的な価値観を織り交ぜながら、お話は進んでいく。前作の方舟ほどの衝撃ではないが、ぜひ3部作構成で続きも書いてほしいと思っている。

おわりに

 読書メーターの読書記録を遡っていると、案外と装丁が青い本というものは多いのだと感じた。青や赤は好きな人が多い色だからかもしれない。ちなみに、子どものころは赤色が好きだった。年によって好きな色が変わるように思う。

おまけ

 青は、優れた鎮静効果もあるのだとか。

 本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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