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2025年2月に読んでよかった本をまとめました【読書記録】

 「私の2月は逃げていきました」

 いよいよ3月の始まりを間近に控え、なぜか今までにないワクワク感と新たな始まりを感じています。

 恒例の毎月の読んだ本紹介を行っていきます。

 気になる1冊が見つかると幸いです。目次もつけますので、興味があるところから、ぜひご覧ください。

2025年2月に読んだ本 今月はたくさん読みました。楽しい読書日和でしたよ。


『人魚が逃げた』 本屋大賞ノミネート作品

 1冊目は、2月2日に読了した青山美智子さんの『人魚が逃げた』です。青山さんの本は、過去にもいくつか読んだり紹介したりしていて最近好きな作家さんの1人です。

 このお話の感想はこちらから

 人魚姫を一生懸命に探す「王子」。彼のマントの上で繰り広げられる物語のように感じた。はずんだり、翻ったり、時には、行先不明だけれど、魔法の絨毯の上にいるかのように、ワクワクしながら空を飛び回ったり、と。アンデルセンの『人魚姫』のオマージュを漂わせながら、そこで描かれる人々の日常と人生、その時々の運命をオリジナルかつ綺麗に描き出している。エピローグには、『鎌倉うずまき案内所』に出てきそうな流れを味わえるのも青山ファンとしては嬉しい。「ここからは、あなたが」王子の言葉を自分も握りしめて、次の一歩を踏み出したい。

『人魚が逃げた』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 青山さんらしく、ラストは優しさと希望、暖かな光に包まれた終わり方でした。
 作品に描かれる人々は、男女それぞれ境遇が様々。だからこそ、投影できる誰かを見つけて、想いを寄せることができるのだと思います。
 
 はかない人魚姫のストーリー、「ここからは、あなたが」の言葉を紡ぐのはあなたなのかもしれませんよ。



『地面師たち ファイナル・ベッツ』 Netflixからの続き

 2冊目は、同じく2月2日に読み終わった『地面師たち ファイナル・ベッツ」です。

 地面師詐欺を題材にした本作は、前作ほどのスリルは感じられなかったものの、ハラハラの展開が見どころでした。

 前作をもとにしたドラマがNetflixで放送されているのもおすすめですよ。


地面師詐欺とは
地面師 (じめんし)とは、 不動産 をめぐり、 土地 の所有者になりすまして架空の売却を持ちかけ、代金をだまし取る 詐欺 を行う者、もしくはそのような手法で行われる詐欺行為のことである。 日本 では、 太平洋戦争 敗戦 後間もない頃、 東京 を始めとする主要都市で地面師による被害が頻発した。

ウェブ検索より

 前作ほどのスリルを感じなかったのは、船の上での取引ということが読めてしまったからに他ならない。クライムサスペンスやミステリーの醍醐味は、結末にいたる段取りや過程を作者との駆け引きの中で探ることだと思っている。しかし、早い段階で気が付いてしまうのは、それはそれで惜しいというか・・・。しかし、あこがれの地である北海道を舞台に事件が進んでいくのは、面白いなと思った。サクラ刑事の執念は、これからも引き継がれていくことでしょう。シリーズものでしょうね。次作にさらに期待しています。サクサク読めるページ数も良い。

『地面師たち ファイナル・ベッツ』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 ドラマを見てからの、2作とも呼んだのでドラマキャストのイメージで脳内再生されるので、先入観がありつつも理解しやすさは上がりましたね。

 次作が出るのか、出ないのか、今から楽しみですね。




『小鳥とリムジン』 愛と恋と、性と生

 めずらしく、日本のAmazonで取り寄せた1冊。小川糸さんも、好きなんですが、何よりも装丁がかわいらしくて、つい買ってしまったのです。

 しかし、内容はというとこの装丁の雰囲気とは、また違う印象を受けました。

 感想はこちらから

 小川糸さんは、『ライオンのおやつ』を読んで以来、ファンになった作家さんです。この小鳥とリムジンは、可愛らしいタイトルとは裏腹に、なかなかに重たいテーマを背負っている一冊でした。愛や恋と、性と生は切り離すことができないのだと、改めて感じさせられました。読んでいく中で、その対になるテーマ同士のさらに向こう側を描こうとする、小川さんの繊細さや願いが、心の中で静かに広がっていきました。あなたは、どんな心の機微に愛と名付けますか?私は、まだまだ模索中です。でも、少しずつ分かってきたような気もします。

『小鳥とリムジン (一般書)』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 一言で言うと、すごく考えさせられたんです。

 今までの私の愛とか恋とかの価値観、性とか生の価値観すべてをひっくるめてごちゃまぜにして、もう一度作り変えなきゃいけないくらいの勢いで、思考がめぐっていきました。

 どんな心の機微に「愛」と名前を付けるかは、非常にデリケートで難しい問題で、そして答えはたくさんあるのだと思います。

 主人公の小鳥も、リムジンもいつか、自分という器を越えて2人で手を取り合った時に、「ああ、あんなこともあったね。」「過去があるから、今がある。」「過去の自分も自分だ。」

 なんて微笑み合うのかなと思ったら、読んでよかったと本当の意味で思える気がしてなりません。




『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』 禅の教えから

 4冊目は、2月11日に読んだ『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』です。

 人間の悩みのほとんどは、人間関係なんだと思います。くよくよと悩む質ではないですが、それでも時に、傷ついたり、反対に自分自身の言動に反省したり、それなりに人間らしく私も生きています。

 この本の感想はこちらから

 Kindleにて読了。ちょうどよい加減を模索しながら、生きていくことは大切ですね。この本の中で語られていた『今』『ここ』『自分』は私も大切にしてきた視点だったのでびっくりしました。禅の教えとは知りませんでしたので、意味理解が深まった瞬間を味わいました。人事を尽くして天命を待つ。一歩一歩人生を味わい深いものにしていきたいですね。

『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力: もっと「ドライ」でいい、99の理由』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 上手く、「流す」ということも時として必要なんだと思います。社会人になって10年が過ぎて、その間、5つくらいの職場を転々としてようやくその形がわかってきた気がします。

 先日も、こんなことが。
「〇〇さん(私の名前)、こういうの作らないの?」と依頼ともとれるようなアドバイスがありましたが、相互の交渉で解決できるシステムだったのと、今当たっている業務が終わりそうにないので、お断りしました。

 これに対して、なんも言われていなかったので、私を試したんだと思いますね。おそらく。

 その時、ふと以前書いた記事も思い出したのでここで共有しておきます。

 やってほしいばかりの人は「クレクレ星人」だと私は勝手に思っています。(本音で失礼)




『泣きたい夜の甘味処』 時には甘えてもいいんじゃないですか


 5冊目は、2月12日に読み終わったコミックエッセイ『泣きたい夜の甘味処』です。

 誰しも、辛い夜、泣きたい夜、明日が怖い夜があるんじゃないでしょうか。私自身も、20代のころ、特に仕事で完徹した夜明けには、いろいろと思ったことがあったものです。

「何のために生きてるんだろう。」とか
「よく、辞めないで頑張っているな。」とか。

このコミックエッセイの感想はこちらから

 コミックエッセイはあまり読まないのですが、読んでよかった一冊となりました。美味しいものの隣には、涙あり、思い出あり、生きる糧ありの三拍子ですね。ここで小話。私が昨日作ったタルト・タタンは、タタン姉妹の失敗から生まれたもの。失敗やうまくいかないことをバネにするためにも、美味しいものを食べて、笑っていたいですね。

『泣きたい夜の甘味処』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 生きる糧は、案外と過去の失敗が生み出してくれるかもしれませんね。上手くいかなかった時、悔しかった時、出来ない自分がみじめだった時、そんな過去が私にもあります。

 それが、私の原動力となり、支える柱となっているように感じています。

 差し出した手をぎゅっと力強く握って、並走してくれる「私の過去」

 私の人生にもそんなタイトルがついたらいいなと思うことがあります。

 ちなみに、作中も出てくる「タルト・タタン」は、個人的に好きなお菓子の1つで、たまに作ることもあります。




『恋とか愛とかやさしさなら』 掬えるものなら

 6冊目は、こちらも本屋大賞ノミネート作品の『恋とか愛とかやさしさなら』です。一穂ミチさんの作品は、初めて読みました。

 本屋大賞ノミネート作品。一穂さんの作品は初めて読みました。恋人が性犯罪を犯すという重たいテーマに反してサクサクと読み進められました。許すって、受け入れるって難しい分岐点だなと思います。異性の根っこにあるブラックボックスを知ることは、恐ろしいことだと思うときが時々あります。これは女性はよく分かるんじゃないかと。主人公の新夏みたいに私も白黒つけたい派なので、思った以上に感情移入してしまいました。恋とか愛とか優しさじゃなくて、尊重を私自身も求めてたんだなという気持ちにもなりました。

『恋とか愛とかやさしさなら』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 この本を読んで、自分自身をたくさん振り返り、こちらの記事で自分の思いを吐露しました。

 そう、私は正直に言えば怖かったのである。女性にとって男性とはやはり、ある側面的に言えば、怖い存在なのである。

 あの時から、私は異性の欲望のブラックボックスの淵に手を添えた気がしてならない。

 その淵は、サイコロの一つだけ赤い丸で表された1のようなもの。すごろくであの1が出れば、落胆する。なぜなら、前に一歩しか進めないのだから。

 異性のそんなブラックボックス化された欲望は、そう、一番弱い数字であるのにも関わらず、他の数字とは離された唯一無二の1に似ているのである。

 あの赤い丸の1のように、それは時としておどろおどろしく感じるのである。

【読書記録】『恋とか愛とかやさしさなら』一穂ミチ~本屋大賞ノミネート|家出猫より引用


 こうやって書くことは、自分を丸裸にしていくような気分にもなりますが、書かずにはいられない、そんな気持ちにさせてくれた1冊でもあります。




『まず良識をみじん切りにします』 混沌と新創造

 7冊目は、2月18日に読了した『まず良識をみじん切りにします』です。浅倉秋成さんの作品を読むのは、これで2作目となりました。

 ちなみに、前に読んだのはこちら。

 この本の感想はこちらから

 人を一元的な視点で見ているだけでは、何もわからないと思う。四季のようにその時々によって見せる顔は違うだろうし、違うからこそ”人間”なんだと思う。年代によっても変化していくものだし、それは木でいえば年輪のようなもので、魚でいえば、輪紋のようなものであると思う。著者は自分と同世代だからこそ言葉の端々に、共感できるところがあった。またこの作品の「月がきれいですね。」からの伏線回収とその後の言葉の紡ぎ方がきれいだなと思う。私もどちらかというと論理重視派だからこそ、著者に寄り添いながら読み進めることができたと思う。

『六人の嘘つきな大学生』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 さて、今回読んだ浅倉さん作品は、本当にある意味でのカオス(Chaos)でした。

 一言で表すなら、混沌(Chaos)な小説である。混沌の中で奇異な出来事が次から次へと起きていく短編集。作者が芯として伝えたいことはもとより、世の中へのパラドックスを感じる1作。浅倉さんの作品を読むのはこれで2冊目。前に読んだのは、『六人の嘘つきな大学生』。それとは違う雰囲気に同じ人が書いたのだと気が付くのに時間がかかった。良識を英訳でCommon Senseと表現しているが、この表現には、日本語でいう「やってはいけないこと」も含まれている。つまり、やってはいけないことがこの小説で疑似体験できるのである。

『まず良識をみじん切りにします』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 

 こちらの記事もぜひご覧ください。



『ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密』人生を切り開くキーワード

 8冊目は、2月20日に読了したこちらの本です。

 ドイツといえば、バームクーヘンのイメージがあってとても好きな国の1つだったのですが、働き方を通じてますます興味をもちました。

 ドイツ(人)の働き方に一貫しているのは、『未来への投資力』だと感じた。整理整頓一つとっても、今だけにフォーカスせず長い目で見ているからこそ、徹底して行うことができる。パレートの法則など、すでに既知の話から、働き方の本質やそのことに集中することがやはり重要であると気がついた。これからも自身の仕事に生かしていきたい。最後に、ドイツ人は日本人と似て非なるものものだと痛感した。仕事柄、多国籍の人々と関わり合うが、それぞれの国の人の常識や気質を自分の中にとりいれ、新しい自分になることは非常に大切である。

『ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

 禅の教えで「今」「ここ」にフォーカスすることも大切だと学んだが、やはり働き方となると「未来志向」も捨ててはいけない軸の1つだと感じた。

 仕事の根っこをとらえることができれば、如何様にも工夫を生み出していくことは可能である。

 こちらに詳しい感想をまとめました。

 2割の力で8割の成果を出せるようになりたいと常に思っている。


『カフネ』今年のベスト本

 最後9冊目は、本屋大賞にノミネートされた『カフネ』阿部暁子さんです。下の記事の冒頭にも書いてありますが、今年になって一番心に響いた1冊であり、誰かに贈りたい本№1でもあります。

亡くなった弟の元恋人(小野寺せつな)との待ち合わせから始まる衝撃の冒頭。ラストにかけて涙が止まらなかった。家事代行サービスでの仕事を通して、主人公、薫子とせつなの距離は縮まっていく。愛だと思っていたものが愛じゃなかったり、分かっているはずという思い込みや呪縛が、自分と相手を追い詰めたりすることがある。しかしそんな時も、美味しい食事と一緒に生きる温かな時間が、人をそして私を救うのだと実感した。文字を追えば追うほど、そこにいて一緒に笑ったり、泣いたり、躓いたりした日常を投影できる素晴らしい作品に出合えた。

『カフネ』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

3月も

 楽しい本との出合いを期待して、日々を過ごしていきたいと思っています。ちなみに私の積読本はこちらです。(楽しいラインナップ)


上段のうち、4冊が本屋大賞ノミネート作品です。道半ばですが、読み続けたいです。

 最後までご覧いただきありがとうございました。みなさんのスキが励みになっています。

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家出猫
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