Gota Shinohara

東京在住。静かな写真が好きです。銭湯によくいます。 https://linktr.ee/gotashinohara/

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マガジン

  • たわごとのかたまり

    時々旅をしたり、ぼんやりしたり、何かを考えたりするマガジンです。

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    ZINE「移動」

    「旅の途中にあらわれた風景」をテーマに、飛行機や列車、船や自動車などさまざまな移動手段をつかって旅をした際の、その移動中の風景をまとめたZINEを作成しました。 A5版32ページ、中綴じ冊子です。 印刷は長野県松本市の藤原印刷株式会社さんです。 以下は、本書に収録されたステートメントです。 ----- 旅をしていて、楽しさを感じるのは一体どんな時だろう。 例えば街をぶらぶら散策したり、温泉でのんびりしたりするのはもちろん楽しい。 一日中いろんなお店をまわり、お気に入りのものを探してみるのだってワクワクする時間だ。 どこかに着く。美味しいごはんを食べる。お店で買い物を楽しむ。そんな旅の「目的」自体も楽しいことだけど、そこに至るまでにいろいろと試行錯誤したり、ああでもないこうでもないと迷ったりすることも、後から振り返ればいい思い出になったりする。 僕が思うに、旅の楽しさとはその「過程」を味わうことにある。 そして旅における「過程」とは「どこかからどこかへ移動すること」と言ってもいいのかもしれない。 移動する時間とは、必ずしも僕らが旅に求めるものではない。 しかし僕たちは、時にその旅の「過程」で予想外の出会いや思わぬ感動に巡り合ったりもする。 たまたま通った道でぱっと差し込んだ光の美しさに見とれてしまった。 遠くまで続く海を見て、気になる人のことをつい思い出してしまった。 去年も同じ場所にいたはずなのに、今まで気にも留めなかった空の青さを知った。 少し記憶をたどってみれば、誰にでもそんな体験があるんじゃないだろうか。 旅をしている時、僕らが不意に「発見者」になる瞬間がやってくる。 それは、Amazonで買ったガイドブックを見て「ここに行こう!」と決めた場所で起こるものではなく、そこへ向かう途中で予想もしなかった景色に遭遇し、新たな感動を味わうようなものだ。 だからこそ、今まで何度も訪れた場所に行く途中でも、旅は必ず違うものになる。 僕たちが旅の「過程」で見た景色、そこで得られる驚きや感動というものはわずかでも常に新しい。もしかするとそんな「新しさ」こそが、旅の楽しさを引き立ててくれるスパイスなのかもしれない。 そう。移動することも旅の楽しさなのだ。 たとえば車窓をふと眺めた時、目の前に広がる風景の小さな新しさを感じられる人間でありたい。
    2,000円
    Gota Shinohara | 篠原 豪太
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    ポストカードセット

    展示「移動」に合わせて制作したポストカードです。計4枚セットとなっております。
    1,000円
    Gota Shinohara | 篠原 豪太
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    ZINE「移動」

    「旅の途中にあらわれた風景」をテーマに、飛行機や列車、船や自動車などさまざまな移動手段をつかって旅をした際の、その移動中の風景をまとめたZINEを作成しました。 A5版32ページ、中綴じ冊子です。 印刷は長野県松本市の藤原印刷株式会社さんです。 以下は、本書に収録されたステートメントです。 ----- 旅をしていて、楽しさを感じるのは一体どんな時だろう。 例えば街をぶらぶら散策したり、温泉でのんびりしたりするのはもちろん楽しい。 一日中いろんなお店をまわり、お気に入りのものを探してみるのだってワクワクする時間だ。 どこかに着く。美味しいごはんを食べる。お店で買い物を楽しむ。そんな旅の「目的」自体も楽しいことだけど、そこに至るまでにいろいろと試行錯誤したり、ああでもないこうでもないと迷ったりすることも、後から振り返ればいい思い出になったりする。 僕が思うに、旅の楽しさとはその「過程」を味わうことにある。 そして旅における「過程」とは「どこかからどこかへ移動すること」と言ってもいいのかもしれない。 移動する時間とは、必ずしも僕らが旅に求めるものではない。 しかし僕たちは、時にその旅の「過程」で予想外の出会いや思わぬ感動に巡り合ったりもする。 たまたま通った道でぱっと差し込んだ光の美しさに見とれてしまった。 遠くまで続く海を見て、気になる人のことをつい思い出してしまった。 去年も同じ場所にいたはずなのに、今まで気にも留めなかった空の青さを知った。 少し記憶をたどってみれば、誰にでもそんな体験があるんじゃないだろうか。 旅をしている時、僕らが不意に「発見者」になる瞬間がやってくる。 それは、Amazonで買ったガイドブックを見て「ここに行こう!」と決めた場所で起こるものではなく、そこへ向かう途中で予想もしなかった景色に遭遇し、新たな感動を味わうようなものだ。 だからこそ、今まで何度も訪れた場所に行く途中でも、旅は必ず違うものになる。 僕たちが旅の「過程」で見た景色、そこで得られる驚きや感動というものはわずかでも常に新しい。もしかするとそんな「新しさ」こそが、旅の楽しさを引き立ててくれるスパイスなのかもしれない。 そう。移動することも旅の楽しさなのだ。 たとえば車窓をふと眺めた時、目の前に広がる風景の小さな新しさを感じられる人間でありたい。
    2,000円
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    1,000円
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山の上の景色

靴ひもをしっかりと結び、荷物が入ったザックを背負った。 歩いている途中でひもが緩むと、うまく足に力が入らなくなる。足首を押さえるようにきちんと締めて固定した方がいいと、前に登山靴を買ったお店の人が教えてくれた。 山道を歩きはじめる。最初の20分はまだ身体も半分眠ったままだ。 心拍数と体温が徐々に上がっていく。夏の登山は身体から止まることなく汗が出てくる。ふとした瞬間に風がふくと汗が乾いて心地よさを感じる。少し気持ちが和らぐ瞬間だ。 道の両側にある草木、名前はわからない

    • 「料理の四面体」:本を読む生活

      「おいしそうな本」という言葉で思い浮かぶ一冊があります。 所詮「字の書かれた紙の束」でしかないものに、「おいしそう」なんて形容詞がふさわしいのかどうかはともかく、読んだだけで、食卓の香りや盛り付けられた食べ物の光景、さらにはその味までもが頭に浮かんでくるようなものがあるのだと思います。 大学生のころに出会ったこの一冊は、まさにぼくが思う「おいしそうな本」のひとつです。 この本では、世界各地の料理に見られる「法則」や、国や地域が変わっても普遍的に存在するであろう原理・原則

      • 20が4つ

        大学生のころ、1年間だけフランス語を習っていたことがあります。 ゼロから始めて、数字の読み方や発音、簡単な動詞の現在形や過去形ぐらいまでは言えるようになりました。今となってはフランス語を使う機会どころか、フランスの人と顔を合わせるチャンスもすらありません。せっかく覚えたはずの知識は、その他のどうでもいい情報によって、きれいに上書き保存されています。 フランス語の勉強で最も印象的だったのは、数字の数え方です。 よく知られた話ですが、フランス人は「80」のことを「20が4つ

        • 自分の力でどこまでも行ける

          10代の頃、僕が一番好きな乗り物は自転車でした。 7〜8歳の頃には、すでにひとりで自転車に乗れるようになっていた僕は、通っていた小学校の「低学年は家の近所だけで自転車に乗りましょう」というルールを頻繁に無視し、遠くに行っては先生に叱られていました。 高校生になると、通学に使っていたママチャリをこいで、当時住んでいた世田谷から鎌倉の海まで行って帰ってきたこともあります。ネットオークションで安くロードバイクを買い、電車に乗せてツーリングすることを覚えたのもこの頃でした。 大

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        山の上の景色

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        • たわごとのかたまり
          14本

        記事

          「ルバイヤート」:本を読む生活

          本屋さんをのぞくと、そこかしこに「役に立つ」ことをうたった本が並んでいる。 ビジネスで役に立つ、お金や将来設計で役に立つ、スキルアップで役に立つ。 あらゆる角度から「ご利益」を説くような本があふれる時代だけど、根がへそ曲がりなせいか、僕はそういう即物的な内容がどうも好きになれない。 それよりも、日々の暮らしにはさほど役立たなさそうな内容だったり、はたまた現代のことなど想像だにしない歴史上の人々が残した言葉に心を惹かれる。 この本は、11世紀ごろのペルシャ(イラン)の詩人

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          高円寺阿波踊り

          用事を済ませ、商店街の狭い道を早足で歩く。 すれ違う人たちも、今日はいつもとすこし様子が違う。ビールのロング缶を片手に浴衣でそぞろ歩くカップルや、パンフレットらしきものを持ってキョロキョロしながら足を止める人もいる。 太鼓や笛の音がする。遠くの方から時々沸き立つように聞こえるのは、きっとお客さんの歓声だ。お祭りは近い。 徐々に人の数が増えていく。狭い道いっぱいの人だかりをかき分けるようにして進む。みんな足を止めてじっと踊りを見ている。スマートフォンを高く掲げ、一生懸命写

          高円寺阿波踊り

          アディヤマンからの贈り物

          イスタンブールに数日滞在して、次の場所へと向かうことにしました。 アディヤマンという街があります。トルコ南部の小さな都市で、人の名前ではありません。日本人にはあまり知られていないと思います。ぼく自身も今回行く理由がなければ、同様にその名前を聞く機会はなかったことでしょう。 イスタンブールから飛行機で約1時間半。東京から福岡とだいたい同じぐらいの距離を移動します。 到着した空港は、ターミナルビルがひとつだけの小さな場所でした。 以前、今回のトルコ行きにはすこし「特別な理

          アディヤマンからの贈り物

          東京、そしてトルコ

          トルコにやってきました。 およそ2週間かけて、ひとりトルコを旅します。 東京を出発してから何度も飛行機を乗り継ぎ、やっとイスタンブールに着きました。前日のお昼ごろ出発して、乗り継ぎの時間を含めるとちょうど丸一日ほどの旅だったことになります。 ずいぶんと遠くまでやってきたような感じです。 ーーー 出発前夜、まだ荷造りもままならないところでしたが、僕は東京でトルコ料理を食べに行きました。 僕の友人に、日本に住むトルコ人と付き合っている女性がいます。 以前トルコへの旅

          東京、そしてトルコ

          新しい挑戦

          オフィスに顔を出し、仲間へのあいさつや作業を終えた。 今日が最終出社だという実感もない。必要な物品をメンバーに引き渡し、細かい確認を進める。すべてが終わったころ、僕は仕事用のMacbookを静かに閉じた。 2023年4月28日。僕はこの日をもって今の会社での仕事を終えた。そんな大きな区切りの日が、奇遇なことに僕の誕生日とぴったり重なった。今年で29歳になった。誰もが認めるような「アラサー」だ。 窓の外には穏やかな春の青空がみえる。ここ何日間か続いた冬のような寒さと雨の日

          新しい挑戦

          「つくったもの」が人を動かす

          冬真っ只中の東北らしく、その日は灰色の空から雪がぽたぽたと降りそそぐような天気だった。 東京駅から東北新幹線で盛岡に向かう。時速320キロという驚異的なスピードのおかげで、盛岡まではわずか2時間ちょっとの旅だ。 新幹線から在来線に乗りかえる。20分ほど経ったころ、乗っていた2両編成の列車は東北本線の紫波中央駅に着いた。ここが今回の目的地だ。 雪が積もっていて、窓の外は真っ白だった。暖房の効いた列車の窓ガラスはうっすらと曇っていて、そのせいか余計に外がかすんで見えた。

          「つくったもの」が人を動かす

          射撃場

          人生で初めて、射撃場に行った。 ハワイや韓国にある観光客向けの射撃場ではなく、れっきとした国内、それも東京都内の話だ。もちろん銃を使って標的を撃つ、あの射撃である。 実を言うと、ぼくは去年狩猟免許(第一種銃猟)を取得した。いずれ銃を手にするつもりだ。どうして狩猟免許を持ち始めたのかという話はいずれまたしようと思うので、今回は特に説明しない。 よく誤解されることだけど、狩猟免許を所持していてもすぐに銃を持てるわけではない。これはあくまでも「(銃を使って)猟をしてもいいです

          おじいさんのカメラ

          祖父について書いたエッセイが、昨年末にWebで公開された。 掲載されたのは「かくかぞく」という、家族についてのエッセイを多数掲載しているWebメディア。ご縁があって、知り合いの編集者さんから「家族写真」についてのエッセイを頼まれたのがきっかけだった。 なんとなく引き受けたはいいものの、「家族写真」に関するエピソードなんて思いつかないぞ、、、と思っていた時、ふと思い出したのが、かつて祖父から譲り受けたカメラのこと。 ライカやハッセルブラッドのような高級機ではなく、1950

          おじいさんのカメラ

          自分で決める。みんなでつくる。

          生まれてはじめて、個展を開催した。 たった一人の小さな展示だ。少しの間、会場に僕の写真だけを飾ってもらえることになった。 僕は写真とあまり関係のない仕事をしつつ、個人での仕事・活動として写真を撮っている。そんな僕が写真の個展を開くことになった。 もっとも、大きなギャラリーを何週間も借りるわけではない。費用などを考えるとそこまでベストを尽くすことはできない。 幸いなことに、知人が経営する高円寺のコーヒースタンドを会場として使わせてもらえることになった。その上、計2週間と

          自分で決める。みんなでつくる。

          「移動」

          「窓の外を見たり、なにかほかのものを見るとき、自分がなにを見てるかわかるかい? 自分自身を見てるんだ。ものごとが、美しいとか、ロマンチックだとか、印象的とかに見えるのは、自分自身の中に、美しさや、ロマンスや、感激があるときにかぎるのだ。」  フレドリック・ブラウン『シカゴ・ブルース』 (訳:青田 勝) 旅をしていて、楽しさを感じるのは一体どんな時だろう。 例えば街をぶらぶら散策したり、温泉でのんびりしたりするのはもちろん楽しい。一日中いろんなお店をまわり、お気に入りのもの

          「おすそ分け」の旅

          飛騨高山に行った。気ままな一人旅だ。 東京から名古屋または富山まで新幹線に乗り、そこから特急に乗り換えても5時間近くかかる。首都圏から見れば、日本アルプスを越えた山の向こう側になる。 その独特で歴史的な街並みのせいもあって、日本人よりも、どちらかといえば欧米の人に人気らしい。フランスのミシュランガイドによれば、国内で紹介された観光地のうち数少ない「三つ星」のひとつらしい。ちなみに、それ以外だと京都や奈良がランクインしている。 長野県や富山県だと勘違いする人もいるかも

          「おすそ分け」の旅

          東京から岡山まで、バイクの旅。

          バイクに乗って少し長い旅に出た。かれこれ一ヶ月以上も前の話だ。 行き先は岡山県。瀬戸内海を目指して東京からずっとバイクを走らせた。 ホンダ・クロスカブという名の小さなバイクだ。原付ほどは小さくないけれど、高速道路に乗ることはできない。 そんな相棒と共に、東京から岡山までずっと下道を走りながら旅をした。 事前にルートをざっくり調べてみると、片道800km近くあった。ぼくのバイクだと3日以上かかるけど、新幹線ならたった3時間半だ。 照りつける日差し、突然降り始める雨。

          東京から岡山まで、バイクの旅。