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良い転職と悪い転職:キャリアの本質とは

■ 本書を読むべき人
• 現在の仕事に漠然とした不満を抱えている
• 転職を考えているが、何を基準にすればいいかわからない
• キャリアを長期的な視点で設計したい
• 仕事に対して主体的に向き合いたい

『転職の思考法』(北野唯我 著)は、単なる転職ノウハウ本ではなく、「どのように働くか」「どのようにキャリアを築くか」という本質的な問いに向き合う一冊です。
特に、現代の働き方が大きく変わる中で、「どの会社で働くか」ではなく、「どのような価値を提供できる人間になるか」という考え方が求められています。


私自身、これまでのキャリアを見直し、30歳未経験からコンサルへ転職することで新たな可能性を切り拓いてきました。
本書の内容は、そんな経験を振り返る中で非常に共感できる部分が多かったので、この記事では、本書のエッセンスと、それを踏まえた私自身の考察を共有します。

■ 転職とは「選ばれる」ものではなく「選ぶ」もの


多くの人は転職を「企業に評価される場」と捉えがちです。
しかし、本書は「自分がどの会社を選ぶかが重要」と説きます。

転職市場においては、企業が求める人材像があるのと同時に、個人が「自分のキャリアをどのように構築するか」を決める立場にもあるのです。
そのためには、以下の2つの視点が必要です。

① 市場での自分の価値を知る


転職を考えるとき、まず知るべきなのは「自分の市場価値」です。
市場価値とは、**「どの企業がどのくらいの待遇で自分を採用したいと思うか」**という指標です。

これを把握するためには、以下の方法が有効です。
• 定期的に転職活動を行い、市場の反応を見る
• ヘッドハンティングサイトに登録し、スカウトを受ける
• 業界の人と話し、自分のスキルや経験がどのように評価されるかを確認する

特に、転職をする・しないに関わらず、定期的に市場の評価を知ることは重要です。
「今の仕事しか知らない」状態では、いざ転職を考えたときに選択肢が狭くなってしまいます。

② キャリアの軸を持つ


転職を成功させるためには、「自分が何を大切にするか」を明確にすることが必要です。
本書では、以下の3つの要素をキャリアの軸として考えることを推奨しています。
• 技術資産(どんなスキルを持っているか)
• 人的資産(どんな人と仕事をするか)
• 業界の生産性(業界全体の成長性があるか)

この3つの軸を意識することで、転職の意思決定がより明確になります。
例えば、目先の年収アップだけを重視してしまうと、業界の成長性が低い企業に転職してしまい、長期的なキャリアに悪影響を与える可能性もあります。

■ 良い転職と悪い転職の違い


本書では、転職の成否を分けるポイントとして、以下の2つが紹介されています。

① 会社を「軸」で選ぶか、「不満」で選ぶか


悪い転職の典型は、「今の会社が嫌だから、とにかく辞めたい」という動機で転職するケースです。
このような転職では、次の会社に入った後も同じような不満を抱える可能性が高いです。

一方、良い転職は、「自分がどんな環境で成長できるか」を軸に選ぶことです。
転職活動を通じて、自分にとって理想の働き方を明確にし、それを実現できる会社を探すことが大切です。

② 転職の目的を「逃げること」にしない


転職活動を始めるとき、多くの人が「今の職場の不満」ばかりに目を向けがちです。
しかし、本書では、「転職を考えるときは、辞める理由ではなく『次に何をしたいか』を基準にするべき」と強調されています。

■ 仕事は「資産」になるのか?


本書では、「あなたの仕事は資産になるか?」という問いが投げかけられます。
ここでいう「資産」とは、時間をかけることで価値が増すものです。

例えば、以下のような仕事は資産になりやすいです。
• 専門性が高い(コンサル、エンジニア、データ分析など)
• スケールする(一度作れば繰り返し価値を生む)
• 市場価値が上がる(他の会社でも通用するスキルが身につく)

逆に、以下のような仕事は資産になりづらいです。
• 業務マニュアル化されている(誰でもできる)
• 属人的な仕事が多い(転職したらゼロからやり直し)
• 長時間労働が前提(時間をかけても価値が増えない)

■ まとめ:転職は手段であり、目的ではない


本書を読んで感じたのは、「転職自体が目的になってはいけない」ということです。
転職はあくまで「より良いキャリアを築くための手段」にすぎません。

本書が伝えたかったのは、転職の技術ではなく、「自分の人生をどう設計するか」という考え方そのものです。

私自身、転職を経験し、キャリアの選択肢を広げてきました。
その過程で最も大切だと感じたのは、「自分の軸を持つこと」です。

本書はその軸を見つけるヒントを与えてくれる一冊です。
転職を考えている人だけでなく、今後のキャリアに悩むすべての人におすすめです。

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