(連載58)リメイク・ブランド5569:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2008-2012年頃
今回は自分で始めた5569というリメイク・ブランドの話をします。
連載46にも書いたのですが、私は2000年代の前半からリメイクの服をやりはじめて、最初の頃はレディスだけでしたが、しばらくしたら、これだけで、どうにかマネタイズできるようになりました。
リメイクというのは、ユーズド(中古)の服を、スリフト・ストアや古着のディーラーの方が出入りする古着の倉庫みたいなところがあるんですが、そういうところから、一着ずつピックアップしてきて、それを当時のトレンドに合うように作り直す。たとえば、裾を切ったり、細身にしたり、袖を付け替えたり、ワッペンを張ったり、ポケットの位置をかえたり、、というお直しをするわけです。
そして自分が店番もやっていたウエスト・ハリウッドの「シャボン」というお店に置いてもらってたところ、たまたま日本から買い付けにきていた仙台のインディゴ・ガールというお店の目にとまり、以来、ハンパない爆上げバックアップをしてれるようになったんです。
当時、私が作るものは、なんでもかんでも、ほとんど買い取ってくれるようになり、毎回、出来た服を送るたびに、1点1点、すべてに感激してもらって!!!
その感激を知って、こちらがまた感激するみたいな。。。
プラスのループ!!
それまで、何かを制作して、こんなに喜んでもらった事がなかったですから、(アートの作品も含む。汗)はじめての経験!
それは、まさに、生きててよかった!!レベルでした。
おかげで、それまでフリーでやってた仕事(運転手、コマーシャルのスタイリスト、通訳もどき、店番、コーディネイターなどなど)が自然淘汰されて、次第にこのリメイクの仕事がメインになってゆきました。
そして、ちょっと前にも書きましたが、この作業上の工程で、アクセサリーがインテリア的なものに発展したり、バッグ、メンズなども、作り始めておったところ。。。。
ここで、ある奇跡が起こった!
はじめて、ケイタイを買ったぁー!
あ、あのねーーー?
「買った事」が奇跡じゃないですんで〜。笑
何かというと、家の電話と携帯番号の下4桁が同じにできたんですよ。
家の固定電話も携帯も両方とも、
〇〇〇ー〇〇〇〇ー5569
ね?? ね?
コレ、すごくないですか? 奇跡でしょ??
もうびっくり仰天しましたよ!
これは、ラッキーナンバーに違いない!
それで、この数字を自分のブランドの名前にしようと思って、それまで制作してたレディス以外の服(レディスは Boy Minus One だったんで)インテリア系、バッグなどのメンズっぽいものはこの 5569 に統一する事にしたのです!
となると、それまではなんとなく、ついでに作っていたメンズものでしたが、名前が決まったとたん、急に力もはいってきてー!ミリタリーなどをフリマで買って試作してみたりするようになりました。
そして、それらが出揃った頃、、、、
これまた絶妙なタイミングで、今度は、それらメンズの強力な助っ人が現れたのです!
その人の名前は、
伊利篤君!という人です。
ハンサムでしょ?
後で、知りましたが、彼は当時、東京のファッションの神的な存在だったらしいんです。
私の印象は、彼はファッションのディーラーというよりも、旅行のついでに峠の茶屋=私の仕事場に、たまたま立ち寄ったさすらいの旅人というかんじでした〜。苦笑
そんな神様とは知らず、お茶もおまんじゅうも出さないで、ごめんなさい。
今でも印象的な事は、彼は服のバイヤーなのに、私が服以外の事をやっているのを、面白がってくれてた事です。
なんせ、その証拠に私は彼とファッションの話をした記憶があまりないのです。汗
たとえば、彼とのビジネス・ミーティングはこんなかんじでした。
私の仕事場にやってきて、
これで、発注のミーティングは、終了。笑
そして、一ヶ月後にコレが出来上がった。
また、ある時は
5秒で商談成立!
こういうのが出来た。
また、ある時は。
打ち合わせ、完了!
全部が全部、こんな!!!!爆
これで、ビジネスが成り立ってたから不思議です!!
なんと、2008年から2012年くらいまで、ずっと!
彼の長年のサポートで、いろいろとロングセラーになるものを作らせてもらいました。
代官山のお店をやめてからも、その流れは他のディーラーさんにも引き継がれ、つい最近までも、個人の方から直メイルで問合せがあったりしたくらいなんです。
そして、今でも、この頃作ったものをヤフオクやEbayで見かける事もあります。
ちなみに、今(2022年3月)ググってみたら!!
ヤフオクにありましたよ!!!
日程のタグによると、これはリメイク後期のもので、伊利君がきっかけで、サポートしてくださったアトリエ103というお店のために作ったものだと思います。そこのお話はまた後日、いたします。。。。
ともかく、このタグ!!なのですが。
見る人は見てる、見てない人は全く見てないと思いますが、無茶苦茶 凝りまくってるんです。
この場を借りて、ぜひNOTE の読者の皆様にアピールしたいです!!
まず、この部分ですが、
制作した日を入れてます。
そしてその下の以下の文章。訳すと、
100%一点もの、(そのうち99%はリユーズド=リサイクル)
つまりリユーズドの一点ものには、間違いないが、1%はタグとか、糸です。さすがに、タグと糸はリサイクルじゃないですんで。=正直者 苦笑
そして、その下には、
小さい穴は、あなたの健康や美しさには影響しませんので。
つまりユーズドなので、もともと ほつれや小さい穴があいている時があって、それが理由で返品とかされたら、困るので、一応。
そして、洗濯の仕方、ここにご注目ください!
1。マシーンウォッシュ(洗濯機)
2。ハンドウォッシュ
3。ドライクリーン
4。絶対に洗うな。
5。母親にきいて!
_______
このチョイス!!素敵でしょ?笑
_______
そして、サイズのところ、こちらにご注目ください。
小人
痩せ気味
普通
大きめ
太め
「小人」とか「太め」って、差別用語? わかりませんが、「キャラ用語」として、大めにみてください。
そして、その下は
このレーベルは剥がさないでね。アメリカ製
と、まあ、こんなかんじです。
こういうレベルをわざわざ作って、いちいち、日付のスタンプ、洗濯表示はそのつど、印をつけました。
こんな、どうでもいいような、無駄なこだわり!!笑
こういうのは、得意分野です!!爆笑
ただ、売れないモノを作ってしまったら最後、それはただのゴミという危機感はいつも頭にあったので、ゴミになるものは、作りたくない!
なので売れるモノにこだわった。売れるパターンを徹底的にリサーチもしました。同じ白いシャツでも、毎シーズン、微妙にかわります。肩の幅1センチの差で、運命がかわるんです。
そして、あくまで1点ものにこだわって、大量生産の工場では絶対できないような事をした。たとえば、こんな脇の下にプリント。
それから、先ほどの自分のブランドのタグもそうですが、一点モノ、もしくは、少量生産ならではの、だれも気がつかないような事をいっぱいやった。
たとえば、白シャツのシリーズで、こういうスタンプを押したのを作ったんですが。
これは洗濯するごとに、どうしても、スタンプが薄くなってしまうので、
水やり注意!
って、タグに書いて、警告したりして。。。。笑
誰も気にしてないと思いますがねー。笑
また切りっぱなしにした時は、洗濯するごとに繊維が出てくるので、
ムダ毛の処理をお願いします!
と、カードに書いて、ぶら下げたり。。。笑
そういえば、おみくじみたいなのを作って、ポケットに入れたりとかもあったなあ〜〜!爆笑
まあ、どんだけ、やったことが届いているのかはわかりませんが、今でもEbayやヤフオクなどで、その頃作ったものが、取引されているのは、本当に嬉しい限りです!!リサイクルのリサイクルで、
ほんと、リメイク万歳!!!
この頃から15年経って、時代も変わりました。この後、ファストファッションになり、それも終わり、現在(2022年)服の在庫の捨て場所がない事が問題になったりと、どんどんアパレル、ファッションビジネス自体も変わってゆきました。
この頃は、SDG’sという言葉もなかったし、正直言って自分のやる事=リメイクを、別に地球レベルでも、考えているわけではありませんでした。
ただ、あの時、着捨てられた服が山になっているようなイメージが目に焼き付いて、
服好きな私としては、服の救済=リメイクしかなかったです。時代の先取りとかそういうんじゃなくて、この時点で自分がやることは、それしかチョイスがない気がしてただけです。
そんな自分の直感を信じて、このリメイク・ビジネスを応援してくれた、カミ様たちにも、サポートしてくれた方々に、とても、感謝しています!
そして、私は、そのマネタイズできたお金を貯金するとか、会社を大きくするとか、名前を売るとか、次のビジネスに投資するとか、そういう事には、いっさい使わずに、
地球にやさしい事でもなく ただ、自分にやさしい事に費やしました。
人から見ると、マ反対の、どうでもいいようなことに、つまり、服以外のことに。15年前ですしね。ご容赦ください。
でも、この自分にやさしかったせいで、思いつく事が、片っ端からどんどん実現できたような気もします。
自分にやさしいからこそ、地球にやさしくなれる。そんな気がしてる今日この頃。。。。
つづく。
L*
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