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フィードバックの仕方で重要な10のこと

おはようございます。
人材育成の大事な手法の一つであるフィードバックについて書いてみました。
特にうまくフィードバックができていなくて悩んでいる新米管理職の方には役に立つのではないかと思います。

正しいことを正しく伝えたからといって、人が従うかというとそんな簡単ではありません。
これはマネジメント経験を積んでいくと直面し体験することですね。
そうすると変な気を使ったりして言うべきことをオブラートに包んでしまったり、言うべきことを話している時にフォローするために褒めることを混ぜてしまったり。
そういうことをしていくと益々、関係は悪化したり状況は悪化しコントロールすることが難しくなっていきます。
コントロールと書くとなんだか嫌な感じですが、部下やメンバーの能力を最大化するためのマネジメントができなくなるのです。

アンコントローラブルなメンバーが増えていき、バラバラの動きをし、個別最適に走り、中には自己評価の高い勘違いした人材が誕生し、我流で場をかき乱していくことをしたりします。
そんなことにならないためには、適切なフィードバックで気づきを与え、行動改善や変容を促していくことが必要です。

ということで、10個の大事なポイントにまとめて記載しました。


①淡々と事実を指摘する

フィードバックは「叱責」「指導」「評価」とは関係がない。
上司に対する愚痴として「現場を分かっていないトンチンカンな指導」「理不尽な怒られ方をした」「公平ではない評価」などがあるが、どれも上司の価値観を部下に押し付けていることが原因。
組織で仕事をしている以上、上意下達的に価値観を下ろしていくことも必要だろうが、フィードバックの目的は育成です。
自分の価値観をあまり絡めずに、見たままの事実を伝えることをまずは心がけましょう。
「さっきの説明会で、○○さんがこういう顔をしていたよ」
「途中で論点を整理したので、不毛なすれ違いを防げてよかったんじゃないかな」
「この資料をプロジェクト外の人が見たら、たぶんここが分かりにくい」
目指すのは「叱る」という感情がこもった行為ではなく、淡々と指摘すること。

②人格より成果物や行動について伝えましょう。そしてストレートに!
私が新卒の頃に上司から叱られた内容を思い出すと、「興味がない仕事だからと手を抜いているのではないか」とか「上司をちゃんと扱え」とか、要は「君は社会人としてなってない」とかいう感じで、あまり響きませんでした。
そうではなく「君の作った資料はこういう理由で使い物にならない」と、仕事の成果や行動をストレートに伝えてくれたほうが、改善のしようがある。
聞く方も、「このひとは人格を攻撃しているのではなく、資料をなんとかしないと次の会議がヤバイと気にしているだけなんだ」と分かれば、精神的ダメージが少ない。
 その代わり、ダメさを伝える時はオブラートに包まず、ストレートに伝えた方が良い。
「あなたがプレゼンする相手はこういう人たちだ。だからこうしないと伝わらない」といった具合に。
ここに書いたフィードバックのコツを守れば、無闇に相手を傷つけることはありません。

③フィードバックに向くもの、向かないものがあります
フィードバックの伝え方、受け取り方を学ぶトレーニングで「フィードバックの内容に応じて、難易度は変わる」という話が出てくる。
図のグラフ(あとで追加します)は、思考や話し方の癖など属人的なことに対してフィードバックしてもあまり有効ではなく、むしろコーチング的なアプローチが向いていることを示しています。
逆に誰がやっても一定の効果を得られることについては、フィードバックが適しています。
フィードバックを行うことを奨励すると、最初は「プレゼンテーションの時に「えーっと」という言葉が多かったです」といったフィードバックが多くなる。
目に付きやすく、指摘しやすいからだ。
だが「えーっと」と言わないようにプレゼンするのは、癖になっている人にとってはかなり難しい注文で、かえって何も言えなくなったりする。
それよりは「○○のスライドの説明、ピンときませんでした」といった、自分がどう受け取ったかを素直に返してあげるほうが、建設的なフィードバックになります。

④自分のことは棚に上げる
たとえば私自身は時間管理が苦手だとしましょう。
それでも他人には「あなたが遅れたために、みんなの時間がこれだけ無駄になりました」などと平気で言う。
「誰に指摘するとき(評価するとき)も、自分のことは棚に上げろ」と以前の会社の新人研修で習ったからです。
これは本当に大事なことで、私と一緒に働いているからといって、私の一番ダメなところをわざわざ真似する必要はない。
ダメなものはダメだ。
上司のダメなところばかりを集めた人間になってどうする。
だから率先して自分を棚に上げて指摘する。
言わないと「それでいいんだ」となってしまうからです。
もちろん、自分自身も必須最低限のことは改善する必要はあります!
但し、なんでもこなせるスーパーマンはいませんし、そんな非現実的な目標設定は自分も他人も破壊するのでやめましょう。

⑤フィードバックは上司にも部下にも必要
フィードバックというのは、上司だからするのではない。
周りの人を成長させるためにやることなので、上司か部下かは関係ない。
私もよく会議に同席していたメンバーから「godaさんの話がくどくて、○○さんがちょっとうんざりした顔をしていました」などとフィードバックをもらう。
若い社員から「それ、意味分かんないです」と言われたりする。
そう言われれば反省する。
一般的には上司のほうが「あるべき姿」をしっかり持っているので、上司から部下へのフィードバックのほうが多くなる。
だが上司も成長しなければならないし、自分から「俺へのフィードバックない?」「この資料、つくってみたけどどう思う」とフィードバックを集めにいくことが必要になる。
フィードバックは双方向であるべし。
ただし、これを実現するためには上司部下の関係値が高くないと無理です。

⑥フィードバックは良いことも悪いことも伝える
「上司になったら読む本」的な本には「あんまりネガティブなことばかり言うと、相手がしょげちゃうから、良いことも言ってあげましょう」みたいなことが書いてある。
私が良いことをフィードバックしたほうがいいと思う理由は、それではない。
良くないことを指摘され、改善するのは大変だ。
もちろん、それをやっていかないと進歩がないので頑張ってもらうわけだが、大変なものは大変。
一方で「今できていることを次回も必ずやれるようにする」はずっと簡単だ。
つまり「それでいいね。次もやりなよ」は効率が良い指摘なのだ。
もちろん、良いフィードバックをもらうことは嬉しいし、「一生懸命やっていることが役に立っている」という感覚は、モチベーションの大きな源泉になる。
日本の職場は良いフィードバックが圧倒的に不足していると常々思っている。
だからこそ、人材育成で良い点をきちんと指摘するだけで、プロジェクトに前のめりになる人がすごく多いです。

⑦わさわざ良いフィードバックを混ぜない
良いフィードバックの重要性を強調した直後だが、「改善点を1つ指摘するなら、1つ褒めましょう」「良いことと良くないことは交互に言いましょう」などのフィードバックノウハウはあまり賛同できない。
「×」しかなかったら「×」しか言わない。
「あーあ、ダメダメだったけど、褒めないとかわいそうだから、良いこと探しでもしますか」というスタンスで話すのは、相手を子供扱いしている。
少なくともプロとは認めていない。
それは失礼だし、態度は相手に透けて見える。
だから、私が「いいね」と言ったときは心からそう思っている。
それは相手にも多分伝わるので、「3年前に褒めてもらって嬉しかった」などとたまに言ってもらえる。
これは私にとっても嬉しいフィードバックです。
安っぽいごまかしの良いことフィードバックはやめましょう!

⑧時間をあけずにすぐに言う
一般論として、人は時間がたってから「先週のあれ、良くないよ」と言われてもピンときにくい。
そういう意味ではトイレのしつけをされている犬と同じで、良いことも悪いこともすぐに指摘してあげるほうがよい。
でもドッグトレーナーとは違って、人間同士だと誰かの横に四六時中いて注意してあげるのは不可能だ。
だから人はゆっくりとしか成長できないのかもしれない。
それでも半年後の人事考課の時まで待たないで、その日のうちにフィードバックを伝えることは、心がけ次第でできるはずだ。
人材育成でチェックポイントやサンセットミーティングなど、頻繁に振り返りの場を設けるのは、すぐにフィードバックを伝える手段の一つです。

⑨受け止められる量を考えましょう
お互いにフィードバックを伝え合うというカルチャーが浸透すると、本人が受け止められないほどのフィードバックの洪水になってしまうことがある。
受け止められないほどのネガティブ・フィードバックを浴びせることは、指摘する側のマスターベーションであることが多い。
特に入社してすぐの社員、プロジェクトに参加してすぐのメンバーはプロジェクトのワークスタイルに慣れておらず、色々と混乱している。
そういう場合には本当に今すぐ改善して欲しいことや改善しやすいこと、成長が見られた点など2~3個に絞って伝えたほうが良い。

⑩フィードバックは想いを込めて渡すプレゼント
いくら事実を淡々と言われたとしても、改善すべき点を指摘されるのは、しんどいものだ。
反論や愚痴の隙もないほど指摘が的確な場合は、なおさらしんどい。
大事なことは、「フィードバックとは、リボンをかけて渡すプレゼントである」との意識だ。
相手のためになることを、相手を思って渡すもの。
そして渡す「モノ」だけでなく「渡し方」が大事だということ。
愛情を添えて欲しい。
このパートは自分のことを棚に上げて書いた。
実際の私は「何でこんなにクソなんだよ!」などと言ったりするダメなリーダーでもある。
クソだという事実を指摘するのは必要だが、時には愛情がこもりすぎていて素直に聞いてもらえないことがあると反省している。

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