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まだデザイナーやってる。毎日パワポおじさん。読書とB’zとAppleとCARPが好きなただの人。趣味は読書感想文。 ポートフォリオ→https://www.foriio.com/gladdesign

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【BOOK】『オロロ畑でつかまえて』 荻原浩:著 広告という嘘から見えた真実は

タイトルの『オロロ畑でつかまえて』はもちろん、サリンジャーの『ライ麦畑で捕まえて』のパロディーではあるが、内容面でそこまで寄せていったというものではないと思ったが、どうだろうか。 各章ごとに広告用語を配して、その内容とリンクされているような内容、と思わせつつ、ユーモアたっぷりのドタバタ劇が展開されていく。 まるで漫画やアニメのようなキャラクター設定で、テンポよく話が進む。 ボリューム的にも映像化されたら、2時間ドラマできっちりとオチがつくだろうと思わせる、このまとまりの良さも

    • 【BOOK】『テスカトリポカ』佐藤究:著 人間の愚かさを映す鏡

      圧倒的な暗黒の暴力と麻薬に堕ちた者の末路は神へ捧げられる“生贄”だった。 アステカの神話と現代をつなぐ命の刹那と永遠。生まれ、死ぬことでまた生まれる命のリレーと、際限のない欲望が渦巻く資本主義の成れの果てが描くのは、現代社会への鎮魂歌(レクイエム)なのか、もしくは希望(ホープ)なのか。 第34回山本周五郎賞受賞、第165回直木賞受賞のW受賞という快挙を達成した新次元のクライム小説。 365日の太陽暦を持ちながら260日を1年とする祭祀暦も扱い、高度な文明を築いたアステカ王国

      • 【BOOK】『慈雨』柚月裕子:著 己に恥じない生き方を慈しむ雨

        「慈雨」とは、万物をうるおし育てる雨。また、ひでりつづきのときに降るめぐみの雨のことをいう。 主人公・神場は警察官を定年退職し、妻と共にお遍路の旅に出る。 巡礼の最中、捜査中の幼女誘拐事件が16年前の自身も関わった事件と酷似していることに気づく。 過去の過ちと警察組織への忠誠心の狭間で葛藤する男の、真実への矜持が迸る傑作長編ミステリー。 本作の構造は「安楽椅子」ならぬ「お遍路さん」探偵ミステリーである。 安楽椅子探偵とは? お遍路さんとは? 数多くのいわゆる「刑事もの

        • 海のはじまり 最終話

          食べることは、生きること。 生きて、次の命を育むために、まずは自分が健康でいることの大切さ。 まずはこれが基本であって、基本がなければ応用もできない。 はじまりは曖昧で、終わりはない、生きる者の「使命」とも言える。 最終話は、脚本家・生方美久氏のメッセージが より色濃く反映された「応援」の回であったと思う。 全ての「親」へ向けて、 若い子育て世代へ向けて、 これから一緒に人生を歩もうとしているカップルへ、 そして若い世代を見守る「外野」の人たちや年長者世代へ向けて、 それぞ

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        記事

          海のはじまり 第十一話

          明日、入院するという水季は、もうすぐ死ぬことを海に伝える。 絵本『くまとやまねこ』を渡し、何度も何度も読むようにと。 再び出てきた『くまとやまねこ』の絵本。 本ドラマにおいて、最重要なアイテムである。 絵本『くまとやまねこ』は、最愛の友だちである「ことり」を失った「くま」が、悲しみに暮れつつも新たな友だちである「やまねこ」と出会い、再生していく物語である。 くまはことりの思い出を胸に抱えながら、やまねこのバイオリン演奏によって癒され、再び外の世界へと踏み出す。 この絵本は、

          海のはじまり 第十一話

          海のはじまり 第十話

          名前からはじまり、生活をどうするか、住居や仕事、「家族」の最適解とは何かを問う回。 「家族とおそろいなのが苗字、家族からもらうのがなまえ」 水季は海に名前の由来を伝えている。 苗字は選べない、と考えると窮屈だし「親ガチャ」などというくだらない考え方に陥ってしまう。 だが、家族とお揃い、と考えると気が楽になる。 決して海が子どもだから子供騙し的に発言しているわけではないだろう。 子どもへの最初のプレゼントと考えると、名前に意味を持たせるのは理解できるし、実際にそうしている人も多

          海のはじまり 第十話

          海のはじまり 第九話

          夏と弥生の「恋のおしまい」が描かれ、夏が親になるための「儀式」の回でもあった。 仕事上の取引相手として知り合ったふたりは、迷子になっている子どもをケアすることをきっかけに惹かれあっていく。 このきっかけは、ふたりの関係性を象徴している。 ドラマ的には、例えば車椅子の人をケアするでもいいし、落とし物を拾うでもよかっただろう。 だがここでは「迷子になっている子ども」をケアするというシーンになっている。 迷子になっている子どもを「見つける」のが夏。ただ見つけて声をかけただけで、その

          海のはじまり 第九話

          海のはじまり 第八話

          父親とは何か。 根源的なこの問いに、夏が向き合う話。 世の中に溢れる「男性像」の醜悪な部分を煮詰めたような夏の実父・溝江基春と会うことで、夏は何を得たかったのか。 フィルムカメラで水季を撮る夏。 実の父親からもらったカメラ。 「かわいい?」と聞く水季に「おもしろい」と答える夏。 おもしろいから撮っておく、という行為。 世の多くの「父親」という生き物が、最初に子どもと向き合う時は、まず観察から入る。 ただ観察するだけでは何もしていないと思われる。 それを回避するために用意さ

          海のはじまり 第八話

          【BOOK】『ルビンの壺が割れた』宿野かほる:著 狂気は冒頭から滲み出ていた

          「ルビンの壺」とは、1915年ごろデンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形のことを指す。 白と黒のモノクロで構成された図案で、ちょうど影絵のように、向かい合う2人の顔のようにも見えるし、大きな壺のようにも見える。 人間の情報処理の研究分野である認知心理学では、あるひとまとまりの模様を「図」として認識し、それ以外の背景を「地」と呼ぶ。 人間の知覚は、あるものを見た時にひとまとまりのものであれば「図」として認識するが、同時のその背景は「地」としてしか認識できない。

          【BOOK】『ルビンの壺が割れた』宿野かほる:著 狂気は冒頭から滲み出ていた

          海のはじまり 第七話

          津野という「外野」である存在が、実は「外野」ではなかった時間があって、むしろ必要な「内野」だったことが示される回。 津野と水季の職場での出会いから、次第に海の世話をするようになる経緯も含めて描かれた。 みかんヨーグルトというリクエストに対して、みかんとヨーグルトをそのまま買ってくる津野。 「そういう選択肢があったとは」 当事者ではない者の立場だからこそ見えること、示せる選択肢があることを示唆しているのか。 当事者にとってはゼロかイチかという思考に陥りがちなところ、そこに第3

          海のはじまり 第七話

          海のはじまり 第六話

          時空を超えて言葉が人を動かし、動かされる物語。 人工中絶しようとしていた水季が、なぜ産むことにしたのかという謎が解き明かされる第六話は、この物語の転換点、折り返し地点なのかもしれない。 心配する朱音にそっけない態度の水季。 仲が悪いわけではない。日頃からこうしたコミュニケーションの取り方をしていたのだろう。 それぞれの家族には、それぞれの家族のやり方がある。 「あんたみたいなマイペースは、子育てに一番向いてない」 と言われ、すぐさま切り返す。 「お母さんは向いてた? 子育て

          海のはじまり 第六話

          海のはじまり 第五話

          親子の物語という縦糸のドラマである本作の第5話は、女性たちの“髪”が横糸として描かれる。 それは「お金と時間」のメタファーである。 お金と時間があると生まれる「余裕」が、いまを生きる我々にとって、最も必要であり最も手に入れにくいものでもある。 とりわけ、子供を育てるというフェーズにおける男女の格差が、本作ではひとつのテーマとなっているように感じる。 「髪の手入れ」は男女によって、その差が浮かび上がりやすい。 男性にとっての髪の手入れは、思春期の学生であればあれこれいじりたくな

          海のはじまり 第五話

          【BOOK】『舟を編む』三浦しをん:著 言葉によって救われる旅

          人類が言葉(言語)を使い始めたのは、約10万年から8万年前くらいだとされている。 それぞれの地域でそれぞれのコミュニティを形成するにあたっては、言葉がなければ実現しえなかっただろう。 その言葉を、言葉の意味を、語釈を、簡潔に明快にまとめることは、この世界を生き抜いていくために必要な道具を作ることと同義である。 本作は、辞書編纂という仕事を通して、自身の人生や価値観を揺さぶられながらも、読者をも含めた「不器用に一生懸命に生きていく者たち」への讃歌である。 誰かに何かを伝えるた

          【BOOK】『舟を編む』三浦しをん:著 言葉によって救われる旅

          海のはじまり 第四話

          「水季が生きて、いてくれたらなあ」と言う海の祖父・翔平の言葉が胸に刺さる。 一人娘を亡くした父親の嘘偽りのない、そして重い言葉だ。 夏は海とできるだけ一緒にいる、ということだけを決めた。 海は大好きな夏と一緒にいられることを、心から喜んでいる。 一方で、これまで親しくしていた津野と、以前ほど一緒にいられないことに、寂しさも覚え始めている。 「なんで前みたいにいっぱい会えないの?」 子供ならではの、クリティカルな質問。 返答に困る津野は「海ちゃんのパパじゃないからかな」と突き

          海のはじまり 第四話

          海のはじまり 第三話

          7月期月9ドラマ『海のはじまり』 第3話・予告 7/15(月)よる9時放送 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=_Nidj59bX-E 「いなくならないよ」と固くギュッと水季の背中を握りしめる海。 1話からずっと「いる」「いない」「いてね」「いなくならない」のやり取りが印象的に描かれている。 ここでの「いる・いない」は生存している・していないを超えた存在の肯定・否定を示しているのかもしれない。 「ランドセル、海に選ばせてくれ

          海のはじまり 第三話

          海のはじまり 第二話

          冒頭、水季と海のシーン。 海がランドセルを開けたり閉めたり。 パパがいない子はいない、パパがいないとママもママになれないと言う。 水季は海に夏君に会いたい? と聞くと、「ママの好きでいいよ」と答える海。 海の相手に寄り添う性格は遺伝だろう。 それは間違いなく月岡夏の遺伝子。 ちょっとした仕草や嗜好が、否が応でも「親子」を感じさせてしまう。 水季の好みも海に遺伝している。 「鳩サブレ」が好きな水季。 多くの人がお土産として買う鳩サブレを自ら買うあたりも独特な感性を感じさせる。

          海のはじまり 第二話