心が健康であるためには、まず良質な体づくりが重要

■心のしんどさが「治る」ということ

心が落ち込んだ時、つらい時、
うつになった時、不安に圧倒されて苦しい時…

そんな時、心の負担を軽減するために、
少しでも前を向くために、
心療内科や精神科、お薬、カウンセリングなど、
心のケアと回復を求めて治療や相談に来られる方はとても多いです。

心のケアをしていくことはとても大事なのですが、
人によってはとても長い期間、つらい状態が続いたり、
気分や調子の浮き沈みがあったりと、
心のケアというのは、長いお付き合いになることが多いです。

うつは「心の風邪」という表現も一時よく言われましたが、
風邪よりしつこいしんどさだと思います。
風邪なら、お薬を飲んで体を数日休めれば治っていきますが、
心はそれくらいのことでは回復しません。
回復できるなら一時的な悩みだったとか、
元々メンタルが強く、引き摺らないタイプの人なのでしょう。

心のケアに携わる仕事をしている私が言うのもなんですが、
通院を続けても、
薬を飲み続けても、
カウンセリングを受けても、
結局のところ治らないのです。

治らないけれど、自分の話を聞いてくれて、
治療者が自分のためにあれこれ考えてくれるという
濃密な時間を共に過ごすことにより、
特別な関係性が生まれ、癒される。
それが結果的に良い方向に進むことがある、
それが「治った」「良くなった」という感覚を生み出してくれるのです。

「治る」とはつまり、
より良く生きるために必要なことを探し、
実行し、少しでも良い方向へ向かっている
という感覚を、自ら持てるようになることを言うのです。

治療者の助けによって治ったのではなく、
自分自身から湧き上がる「治りたい」
「あんなことがしたい」
「こんなことができるようになって嬉しい」
「相談できる相手がいて安心する」
そういう「○○やりたい！」などの意欲や、
人と繋がっている喜びと安心感から
気持ちが前向きに軌道修正し始め、
回復したという感覚を持つことができるようになるのです。

■栄養の質が心を不調にする

そもそも現代人は、栄養の質が悪い栄養失調状態の人が多いです。
大半の人が栄養失調状態だと言って良いでしょう。

戦前戦後のような、食べるものが無くての栄養失調ではなく、現代は摂る栄養の質が悪くて栄養失調になるのです。

本当に必要な栄養が体に行き届いていないから、
思考力や認知機能が低下して、
物事を良くない方向に考えてしまい、
落ち込みやすくなってしまうのです。

体に優しいだとか、健康を考えてつくられました、と言われる食品や飲み物…
そういった健康を謳い文句に販売しているものの成分表を見てみると、人工甘味料やら添加物やらがたいてい含まれています。
添加物やら人工甘味料は少量ならそれほど問題ないとしても、健康に良いからとたくさん摂取すれば毒にもなっていきます。
肥満やら糖尿病などの原因にもなってきます。
摂取する栄養をよく確認しておかないと、
気付かぬ間に偏った栄養状態となり、
思考や認知を歪めていくきっかけにもなります。

例えば、糖分をよく摂る人は、
糖分が過剰な状態が通常だと
脳が勘違いしてしまい、
少しでも糖分が減ってくると、
これじゃ足りないぞ！と脳が指令を出し
糖分がやたらほしいと感じてしまいます。
そして糖分がないとイライラする、
体がフラフラする、といった状態になります。
そういう状態でまともに頭が働くわけがありません。

薬の効果を発揮するだけの栄養や
質的状態が整っていない体に薬を放り込んでも
ほとんど効果は出ません。
だから薬を飲んでもイマイチ効かないな、と思うのです。
心の薬でなくても、風邪やら身体疾患の薬においても同じことです。

薬の効果がまともに感じられない原因は日頃の食生活にもあるのです。

特に糖質は依存性が高く、心身の不調に大きく影響します。

■心身の健康には鉄分とタンパク質が必要

鉄分とタンパク質は、すべての体の機能・代謝・脳の働きを支える栄養です。
ですが、現代人は鉄分とタンパク質を十分に摂れていません。
糖質やら炭水化物ばかり摂ってしまっています。

心や脳機能の問題に注目する前に
まずは体の栄養状態を整えることが大事です。
最近の精神科治療では、分子栄養学を取り入れて治療をされている医師が増えてきています。
治療のために体の土台から栄養から整えよう、
それが大事だ、と言われているのです。
これができていないのに、
やれ薬だ、やれカウンセリングだ
と、治療しようとしても無駄に終わるのです。

良くなっているのかどうかよく分からない状態を長引かせ、長いお付き合いに苦しむことになるのです。

薬が効くだけの体をつくる。
カウンセリングで思考や認知を柔軟にしていけるだけの脳の状態に整える。

栄養を考え、摂取する。
当たり前のことができてこその治療です。

皆さんも、心身の不調が有る無しに関わらず
気を付けていただければと思います。