果物採集

人は誰も孤独では無い ただ寂しいだけなのだ

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hit and run

 特にテーマ性が無いので書くまでもなかったことを適当に。 誰に言うでもない雑記。  クールポコというお笑いコンビがいる。  餅つきのネタで『エンタの神様』という番組で大ブレイクしたおふたりだけれど、コンビ名についてふと思い当たったことがある。  クールは「冷える」あたりの意味だろうけど、ポコってなんだろう?  考えてみると、あくまで可能性だけれど、下ネタが見えてくる。 「冷たい」の対義語は「暖かい」 「温める」といえばレンジで「チン」 「チン◯コ」を芸名として、もじって「ク

    • よふかしのすきな梟

       梟(フクロウ)にもいろいろな種類がいるけれど、私はメンフクロウの奥まった顔が好き。何より彼らは、とてもおとなしい。シロフクロウもオスはおとなしいけれど、メスはわりと攻撃的だ。孔雀を代表例として動物界ではわりとあたりまえのことだけれど、特に鳥の場合はオスのほうが派手な毛色をしていて、とてもよく働く。  動物園でバイトしていた2010年前後の当時、分類学に於いて技術革新が起こり、それまでコウノトリ目であったトキ(nipponia nippon)はペリカン目に編入され、これによ

      • kids return

         校舎裏のフェンスをペンチで切って枠を作り、僕たち喫煙者専用の抜け道を作ってくれたのは同級生のT君だった。  授業をサボってはその抜け道を通り、近くの駐車場で煙草を吸いながら、なんとなく恋愛の話なんかをしていた。  たとえば夜のファミレスで、ほんの小さなもめごとの経験をネタにして僕たちは何時間でも話し合うことができたし、誰かの部屋でギターを持ち出して曲を作ったりもしていた。  十代の頃のことは、書けないことばかり。  書きたくないことばかり。  どういうわけかこれまで、

        • 脳の外の幽霊

          「知っている」とは何なのか?  私は自分自身で宇宙に飛び立ったことがなく、ニュートリノを自分自身で観測することも出来なければ、そもそも深海に潜ったこともない。  月が本当にあるかどうか、宇宙から観た地球が果たして本当に楕円形なのか、ニュートリノなんてものが実際に在るのか、深海領域の生物達が造り物ではない確証を、自分自身で証明できるのか?  すべて、他者が証明してきたものだ。  すべて、私以外の人々が発見してきたものだ。  同様に幽霊などの「超常現象」も、  すべて、私以外の

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#9

          鹿児島県姶良市 case:和尚さん  カンパチの刺身を紫蘇でくるんだりして噛みながら、それを芋焼酎で流し込む。そんなようなことをひねもす繰り返すような、いわゆる”なまぐさ坊主”としてずぅっと暮らしている。  私は確かにお寺の和尚さんではあるけれど、昨今の財政難で人件費もまかなえないし、そもそも仏教を信頼していない。  知るほどに思い知る。  いったい仏教によって救える命と、それ以外のイデオロギーによって救える命、どちらが多いだろう?  命は金で濁らない。命は思想で濁らない

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#9

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#8

           平岡公威は1970年11月25日、市ヶ谷駐屯地にて割腹自殺を遂げた。  どういわけか両親は、この三島由紀夫の本名から僕に名前を授けた。  津島公威が僕の名前。  妻は歌織。長女はあゆみ。長男は修治。  最初に産まれてきてくれた”あゆみ”の名前は歌織の発案。彼女が高校演劇をしていた頃、自分の脚本で舞台を作った題目が『あゆみ』。僕はその響きを、とても素晴らしいと感じた。  長男の名前の由来は、太宰治の本名・津島修治。息子の名前を考えていたら、ふと浮かんで、どうして僕の両親が作家

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#8

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#7

          case1: その日の津島家.  居間で昼寝していたらスマホが光って、通話にしながらテレビを点けたら、鳴門海峡大橋が崩落していた。  渦潮から跳ね出した無数の巨大ダンゴムシが四散、橋桁をまず破壊して、衝撃で落ちてきた車両をもことごとく狙い撃つように体当たり。  放送室占拠事件から謹慎していたはずの加藤シホさんは、そのヘリからの中継映像の真ん中に映っていた。  海面を泳ぐダンゴムシの背中の、蛇腹状の隙間に胴体を挟まれながらスマホを持っている。いつものジャージ姿だ。何か叫んでい

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#7

          映画と歩こう『リチャード・ジュエル』

           2人死亡、負傷111人。  過激派による釘爆弾は五輪開催の最中、酒とバンド音楽で群衆の賑わうアトランタの公園で爆発した。96年7月27日、真夜中のこと。  この際、爆発の直前にベンチ下へ不審なバッグを発見して、即座に避難を促したのが現場の民間警備員であるリチャード。現場には警察官もいたけれど、最初は彼の言葉を受け流していた。何度もリチャードに促されて応援を呼び、そこに爆発物があることを確認するまでに時間を浪費。  あとでわかるが、これより何分間も前に緊急通報に犯人からの爆破

          映画と歩こう『リチャード・ジュエル』

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#6

           うさぎは鳥と同じように一羽二羽と数えて、  てふてふは一頭二頭と数えるんだと、お寺の和尚さんが教えてくれた。  兎は鳥みたいに数えるけれど、あの空にひらり舞う蝶は、たくましく土を駆ける馬と同じく数えて、一頭。  海の香る、鹿児島県・姶良(あいら)市。  生まれも育ちも鹿児島の両親は、なんと最初の娘に出身地の名前を付けた。だから「あいら」として姶良で暮らしている。  学校が終わると、あたしはいつも空を眺める。  風が流れている。  どこにいようと、何をしていようと、同じ空、

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#6

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#5

           旧姓は乳井。  日本にほんの数世帯しか居ない珍しい姓で、中学生の頃のあだなは「みるくちゃん」。クラスのみんな、どころか担任の先生まで私を「みるくちゃん」と呼んでいて、いつも笑顔で応えていたし、そんなにいやでもなかったけれど、あの放課後の校庭で、ひとり雨に濡れてサッカーボールを蹴っていたら、唐突に彼が「歌織さん?」と声を掛けてきて、それから少しだけパス回しを繋げた。  好きだった田中くんに告白してフラレて1時間24分が経過していた状態で、だから津島くんが話しかけてくれたことが

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#5

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#4

           中央線・西八王子駅から歩いて数分のところに、僕の通う富士森第九中学校は在る。高尾山は確かに近いけれど特に田舎という感じもなく、わりと整備された住宅街であり、秋には幹線道路沿いの銀杏並木が美しく風に散る。  地元の人間しか知らない近道をすれば、少し歩くだけで浅川に辿り着く。春にはソメイヨシノがひらりひらりと舞う、美しい河川敷。  浅川を延々と歩いていくと日野市のあたりで多摩川と合流する。そこの近くに、馬を飼っている喫茶店がある。あまり知られていないけれど、紅茶を飲んだあとに乗

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#4

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#3

           三谷脚本の『古畑任三郎』、もっと古く言えばピーター・フォークの『刑事コロンボ』のように、殺人事件の犯人を冒頭で誰かわかるように描き、それについて刑事が追い詰めていくという、それまでのサスペンスの謎解きのシステムを逆に利用したエンタテイメント的な描写法がある。  けれどこれについてはさらに遡ればドストエフスキーがすでに『罪と罰』で成功させていたことでもあった。  というわけでここでネタバレを。  最初はミトコンドリア、次にミジンコが出てきたこの連続怪獣小説ですが、『大怪獣アイ

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#3

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#2

           エイトセントラル女子高校、3年B組の同級生である加藤シホさんが、机や椅子でバリケードを築いて放送室を占拠した。  加藤シホさんは制服を着ない。みんながブレザーを着ている中で、ひとりだけ体育のジャージで登校している。加藤シホさんは学業優秀、であるけれど、誰からも評判が悪い。いつも誰かを睨みつけている。  公安にマークされているカルト宗教に属している彼女は終末思想の持ち主であり、だから桜島の巨大ミトコンドリアについても独自の解釈を持っていた。  とはいえくだんのミトコンドリアは

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#2

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#1

           朝、食卓で豚骨ラーメンをひとくち啜って母さんが、 「あ、この袋麺ば作っとるんは博多もんやなかね」と幽かに叫ぶように言ったのだけれど、なぜ生まれも育ちも名古屋の母がそんな方言で謎の発言をしたのか気になっていたせいで、テレビに映る興味深いニュースから少し気を逸らされた。  富士森第九中学に通う弟はさっきからずぅっと納豆をかき混ぜ続けている。もう2分間くらい、箸を高速で動かしている。右と左、同じ回数だけ切り替えながら混ぜると美味しくなるのだという。知るか。  父さんはもう出社して

          連続怪獣小説『大怪獣アイラ』#1

          to Marie on fifth avenue

           どん兵衛事件から数カ月、スープがこぼれて起動しなくなったPCを目前にしてレクイエムのように『壊れかけのラジオ』なんかを口ずさみながら過ごしていたのだけれど、やっぱりキーボードを打って文章を書きたくなってしまい、新しい端末を購入しました。なので、さて、ダシの利いてないキーボードで初投稿です。  とはいえ、20代の頃ほどには書きたいこともありません。「世の中に何か言いたい」みたいな情熱がもう、まるで失くなってしまった。こないだ、とうとう、こどものお客さんに「おじさん またねー」

          to Marie on fifth avenue

          okinawa'n route R6

          離島である最北端の伊平屋から最南端の波照間を含めると、沖縄県は縦横にとても広い。本島面積自体の数倍の海域を含んで、米国やアジア諸国との関係はもとより、国家保安に必要な領土の意味合いでも日本に於いて重要な価値を保ち続けている。 ま、そんなことはいいとして、さっきカミキリムシを拾いました。 暖かい季節になると、マンションの駐車場の地面などにいきなりオニヤンマが停まっていたりして、車に轢かれたら可哀想なので近くの公園まで手に乗せて運んだりします。 今朝はカミキリムシ。指を差

          okinawa'n route R6