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【絶対悪VS核抑止論】8月6日は入試問題で原爆と核兵器について考えよう!

今日、8/6は日本人が忘れてはならない4つの日の一つです。

(残りの3つについてはこちらをご覧ください)

原爆犠牲者に謹んで哀悼の意を捧げますとともに、今なお、後遺症で苦しんでおられる被爆者やご遺族の方々に、心からお見舞い申し上げます。

今日は、ぜひ8/6に皆さまと一緒に考えたい、すばらしい入試問題をご紹介したくて筆を執っております。2018年 東京女学館中学校の入試問題をもとに、少し私のほうで手を入れました。

☆問題篇

今からちょうど75年前の今日、つまり1945年8月6日、広島市内に原子爆弾が投下されました。この日には、75年が経った現在も毎年平和記念式典が開催されています。2017年夏、松井一實(まついかずみ)広島市長はこの式典の「平和宣言」の中で、原爆を「絶対悪」と表現し、広島に落ちた原爆の被害の悲惨さに、目や耳をかたむけてほしいと若者たちに呼びかけました。また、各国政府に対して「核兵器のない世界」を実現させるように要望しました。

問題

上の文章中の強調部分について、原爆や核兵器をなぜ「絶対悪」(誰にとっても、何にとっても悪と言えること)と強く言うのでしょうか。
東京大空襲など当時行われていた他の攻撃とくらべて、大きく違う点を説明しなさい。


…いかがですか?東京女学館中で実際に出題された問題をもとにしています。中学校の入試問題ですから、これに挑戦するのは小学6年生です。さて、改めて正面から問われたら、ちゃんと説明できるでしょうか?

☆コペル&アヤの解答例

✅東京大空襲などの他の攻撃では、被害が及ぶのは東京などその場所においてだけであるが、原爆や核兵器は被害がその場所だけに留まらず、放射線によって非常に広範囲に及び得るから。

✅東京大空襲などの他の攻撃では、被害が及ぶのは今生きている人だけであるが、原爆や核兵器は放射線による後遺症など、将来の世代にわたって被害を与えるから。

場所と時間について注目してみました。両方の要素を答案に盛り込めればベターな解答になるでしょう。

ちなみに、「放射線を出せる能力」が放射能ですので、「放射能を浴びる」や「放射能が漏れる」はいずれも誤った表現です。浴びたり漏れたりするのは「放射線」です。マスコミや知識人でも誤用していることがありますが、皆さんは放射線と放射能の各語をちゃんと使い分けてくださいね。

なお、「核反応」と「化学反応」の違いについてはこちらをどうぞ。(記事の最後のほうで少しだけ言及しています)

☆絶対悪という言葉について

「絶対悪」という言葉は、核兵器禁止条約成立に貢献したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞したときにも使われました。

「核兵器は必要悪ではありません。絶対悪なのです。」2017年12月10日夜(日本時間)におこなわれたノルウェー・オスロでのノーベル平和賞授賞式で、サーロー節子さんは力強く演説し大きな感動を呼んだのは記憶に新しいところです。

尤も、NHKはじめ日本のマスコミはあまり積極的にはノーベル平和賞授賞式やサーロー節子さんの演説を取り上げなかったので、ご存じなかった方も存外多いかもしれませんね。

東京女学館中学校のすばらしさ

2018年東京女学館中の入試問題では、問6から問9(問9が最終問題)までが連続して核兵器に関する出題になっていました。問6が本記事でご紹介した問題で、問7は非核三原則の内容、問8は日本が核兵器禁止条約に対し、賛成・反対のどちらの立場もとらなかった理由、問9は原爆の犠牲者にアメリカ人も含まれていた理由、をそれぞれ説明する問題でした。

2017年に核兵器禁止条約が採択されたためか、2018年は核兵器に関する問題を出題した中学校は例年よりやや多かったようです。

しかし、「核兵器禁止条約」という条約名そのものや、条約の成立に貢献してノーベル平和賞を受賞した「ICAN」などの時事用語を問うものは多かったのですが、東京女学館中のように「核とは何か」という本質につながる部分を、多様な切り口から考えさせ記述させるという出題は非常にユニークだったと思います。すばらしい出題だと思います。

☆念のための補足

念のため、上記問7~9のコペル&アヤ作成による解答例もそれぞれ示しておきます。

問7…(核兵器を)持たず、作らず、持ち込ませず

問8…日本は、世界唯一の被爆国でありながら、核兵器禁止条約に反対する立場をとるアメリカの同盟国であるから。

問9…当時の広島にはアメリカ人の捕虜がいたから。


核兵器禁止条約の前文には、なんと日本語の被爆者という言葉がそのまま使われています。

「ヒバクシャが受けた、容認できない苦しみと被害を心に留める」

と記されています。広島・長崎の被爆者が、長年にわたり壮絶な被爆体験を語り続け、核廃絶を求めてきたことへの敬意を読み取ることができます。

それなのに肝心の日本政府が核兵器禁止条約に積極的には賛成していないし参加もしていない。どうなんでしょうね。

☆SDGsとの関連

核兵器に対する「絶対悪」という考え方を取り上げたこの入試問題は、あらゆる形態の暴力を撲滅するとともに、政府やコミュニティと協力し、紛争と情勢不安を恒久的に解決することをねらいとした、SDGs(持続可能な開発目標)の目標16「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」につながるものです。この点においても優れた入試問題であると評価できると思います。

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☆まとめ ニッポンの役割

核兵器を「絶対悪」であると考えない立場として、核兵器を使用しようとする場合には自分の国も相手の国から核兵器による破滅的な被害を覚悟しなければならず、そのために核兵器の使用を思いとどまるという、「核抑止」という考え方があります。

しかしこの考え方に対しては既に国際司法裁判所が1996年に、「核兵器による威嚇とその使用は、武力紛争に関する国際法、とりわけ国際人道法に一般的に違反する」と勧告しています。

また、核抑止による平和維持は、「相手が核攻撃するかもしれない」という「相互不信」と「恐怖」が両国間に横たわり、互いの国民等を人質として脅迫し合った中で保たれるものです。これは、本当の意味での「平和」とは大きくかけ離れた考え方ではないでしょうか。

日本には、日本にしか果たせない、日本だからこそ果たすべき役割があるはず。アメリカに忖度して核兵器禁止条約に協力しないようなことで、国際舞台や広島・長崎の方々に堂々と顔向けができるのでしょうか。

以上です。最後までお読みいただき真にありがとうございました。

この後、8時から平和祈念式典です。よろしければご一緒に黙祷を捧げましょう。


🌸🍃この記事の執筆者、Study Partnerは、コペル&アヤでした🐣


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