A4小説「サイコロ」
俺はおじさんだ。40代も半ばを過ぎたおじさんだ。そして周りからはおそらく気持ち悪いと思われている。40代も半ばを過ぎて独身だからだ。結婚をしたことはない。俺は気持ち悪いからだ。自覚もある。まず外見的なところから言うと髪が薄い。頭に黒い綿菓子が、ところによっては塩昆布が乗っかっている。持ち前の旨味でどんな食材とも好相性の塩昆布でも綿菓子とはマッチしない。俺は頭の上でもマリアージュしない。そして歯。上の前歯の1本の神経が死んでいる。1本だけ茶色い。ホワイトニングの歯磨き粉を使っ