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父のいない朝、湧き上がる不思議な感覚

父がいなくなってからの3日間

父親が他界してからの3日間…。なんだか不思議な感覚に包まれていました。いや、今でもそれは変わらず、不思議なままです。私の中では、父親はまだ生き続けているような気がしてなりません。

だけど家の中は、どこか寂しくなった気がします。母親もそう感じていたのだと思います。私は帰省していたので、母親の隣に布団を敷いて一緒に寝ていました。でも、朝起きると、母親はすでに起きていて、たぶん泣いていたんですよね。静かに、声を出さずに。

いろいろなことを思い出していたんだと思います。両親は、当時としては少し遅めの結婚でした。姉は母が35歳の時の子供、一番下の弟は42~43歳の時の子供です。元気ですよね(笑)。それでも、2人で過ごしてきた時間は30年以上。うちは商売屋です。サラリーマン家庭と違って、朝から晩まで、毎日ずっと一緒に働き、顔を合わせてきた2人。ご飯も一緒、寝るのも一緒。言い合いながら、喧嘩しながらも、それでもずっと一緒に時間を重ねてきました。

そんなかけがえのない存在が、ある日突然いなくなってしまうなんて…。お母さんも、覚悟はしていたんだと思います。でもね、やっぱり早すぎたんです。父は67歳でした。まだ67歳です。

67歳って、若いですよね。おじいちゃんのイメージって80歳ぐらい。でも父はその年齢にも届かないまま、突然この世からいなくなってしまった。しかも、それが自分の父親なんです。…なんなんだろう、この感覚。どうしても実感がわきません。

それ以上に心配だったのは母親のことでした。元気に振る舞おうとしていたけれど、「食欲がない」と言って、あまりご飯も食べていませんでした。弟はわりと平然を装っていて…。でも、私は――私は一番の泣き虫ですからね。涙が止まるわけがありませんでした。

喧嘩ばかりしていたはずなのに、思い出すのは父のご機嫌なときの姿です。

「おっはる~~」

そう言って、ニコニコしながら、くしゃくしゃの笑顔でリビングから私に話しかけてくる父の姿。今でもふいに、そんな声が聞こえてきそうなんです。

人が亡くなるって、なんなんでしょうか――。

こんなにも実感がわかないものなんでしょうか。どうしても現実だと思えないままでいる私がいます。

続く…

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