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助さんの洋楽

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2024年9月の記事一覧

悲劇的な最期を遂げた天才ピアニストの唯一作にして、ジャズサンバ史に燦然と輝く大名盤 『 Embalo(1964) 』 / Tenorio Jr.

悲劇的な最期を遂げた天才ピアニストの唯一作にして、ジャズサンバ史に燦然と輝く大名盤 『 Embalo(1964) 』 / Tenorio Jr.

「ジャズサンバ」「ボサノヴァ」「ジャズボッサ」「ブラジリアンジャズ」など、モダンジャズが流入して以降の南米音楽にはいくつかの似たようなの呼び方がある。

発祥の地域とか、語る角度とか、音楽理論的な拍数とか、バンドの編成楽器の違いなどで分類がされているが、概ね指している音楽性は一緒である。

この呼び名の多さについては、ブラジルで誕生したボサノヴァがアメリカのジャズマン達の録音や演奏によってアメリカ

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「俺らは悪趣味」のアイデンティティで突っ走る!過激だけどメタでユーモラスな「サイコビリー」のススメ。

「俺らは悪趣味」のアイデンティティで突っ走る!過激だけどメタでユーモラスな「サイコビリー」のススメ。

パンク愛好家を「パンクス」、メタル愛好家を「メタラー」と呼ぶように、サイコビリーの熱狂的リスナーのことを「サイコス」と呼ぶ。

このヘッズ(愛好家)達の愛称は、音楽的嗜好でリスナーをざっくりとグルーピングするのに便利だし、他にも「Bボーイ」「クラバー」「ドルオタ」「クラオタ」「スキンズ」など、それぞれにキャラクターやそれっぽい特徴があって、敵対したり、友好的だったりする。

実はこのヘッズ達の中で

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USHCに対するカナダからの返答。変態マスコア/ポストハードコアの大傑作『WRONG(1989)』nomeansno

USHCに対するカナダからの返答。変態マスコア/ポストハードコアの大傑作『WRONG(1989)』nomeansno

カナダという国は、けっこうな頻度で定期的にとんでもない音楽スターを輩出し続けている。
近年だとドレイクとジャスティン・ビーバー。少し前にはセリーヌ・ディオンにアヴリル・ラヴィーンにSum 41。もう少し遡ればニール・ヤングもカナダ出身である。錚々たるラインナップ。

この面々を見て「え?みんなアメリカ人じゃなかったの?」と驚く人も結構いる気がする。

ニール・ヤングに関してはカナダ人だと初めて知っ

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今、世界で一番「エロくてオシャレ」な音楽をつくる男、トム・ミッシュが再始動している。

今、世界で一番「エロくてオシャレ」な音楽をつくる男、トム・ミッシュが再始動している。

2024年、トム・ミッシュ(tom misch)が再始動している。

今年になってから本人名義での楽曲をいくつか発表していて、2枚目のアルバムがそのうち聴けるだろう。星野源との対談で語っていたクルアンビンの影響か、サイケ感が増している。どっちに転ぶのか、いずれにせよ期待しているぜトム。

Insecuqre(2024)

Cinnamon Curls(2024)

余談だけどクルアンビン(Khru

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今年の夏も終わります、いや、夏は永遠に終わりません。『Endless Summer(2001)』/ Fennesz

今年の夏も終わります、いや、夏は永遠に終わりません。『Endless Summer(2001)』/ Fennesz

日本の音楽界が

「自分を信じていくのだぴょぉぉぉ〜ん♪」

に唖然としていた同時期に、電子音楽/エレクトロニカ界隈のリスナーの間で話題を独占していたのが、Fenneszの『Endless Summer』である。

フェネス(Fennesz)ことクリスチャン・フェネスは、オーストリア出身のギタリストで、ウィーン音響派の総本山だった知る人ぞ知る名門レーベルmegoを、世界的な知名度まで推し上げた同レ

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アンダーソン・パーク、アナ・ロクサーヌ、ショーン・ワサビ、ジンジャー・ルート...アジア系ルーツのアーティスト達のクリエイティビティ。

アンダーソン・パーク、アナ・ロクサーヌ、ショーン・ワサビ、ジンジャー・ルート...アジア系ルーツのアーティスト達のクリエイティビティ。

2015年以降とりわけ印象的なのが、アジアをルーツに持つアーティスト達の活躍である。
現在、世界的なムーブメントの渦中にあるK-POPや88rising界隈の話というよりは、もう少しインディペンデントなフィールドでの話をしたい。

ショーン・ワサビ(Shawn Wasabi)はカリフォルニア出身。フィリピン系の両親を持つアメリカ人である。 2015年に自身のSNSにあげたMIDI Fighterで

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