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日本には、冒険者ギルドの様な組織が必要だと思います

 異世界物小説でよくある「冒険者ギルド」。
 冒険者を志す者はギルドで登録し、ランク相応の依頼を受け達成する事で報酬を獲得でき、ギルドから様々なサポートを受けられます。

日本の社会問題を解決するには、冒険者ギルドの様な、人材育成・活用・相互補助を行い人材を大切にする組織が必要だと思います。


日本の社会問題

1.貧困

 日本の人口の約6人に1人が相対的な貧困状態だそうです。

 貧困家庭においては、子どもの教育格差が生まれやすく、その格差により更に貧困となり、悪循環に陥ってしまいます。

 貧困家庭が増加する理由として

  1. 非正規雇用

  2. ひとり親家庭の増加

  3. 経済状況の悪化(円安、不作による物価高)

これらが挙げられます。

貧困を無くすには、教育を無償化し誰もが人材育成を受けられる様にする事、十分な収入を確保する事が必要だと思います。

2.人手不足、人材不足

 人手不足、人材不足が著しい業界は次の通りだそうです。

  • 医療、福祉

  • 建設業

  • 運輸業、郵便業

  • 旅館、ホテル

  • 情報通信サービス

ホットな人手不足問題としては、能登半島地震&水害からの復旧作業員の不足も挙げられます。

人手不足・人材不足の原因としては

  • 少子高齢化によりそもそも労働者が少ない

  • 人材のミスマッチ

  • 待遇が悪い(賃金、残業、育休取りにくい等)

これらが挙げられます。
人手不足・人材不足を解消するには、労働条件や労働環境を改善する事はもちろんですが、資格取得や就職へのハードルを下げるため人材育成に力を入れる事も必要だと思います。

3.災害激甚化

 線状降水帯による局所的大雨、水害、干ばつ、竜巻、乾燥による火事等、近年の極端な気候による災害が増えてきています。
 地球温暖化の影響と考えられます。
 災害への備えとして、避難訓練を徹底する事、避難者受入れ側のマニュアルも作成し受入れ体制を万全にする事が必要だと思います。

4.過疎化

 人口が都市へ一極集中し地方が過疎化してしまうと、地方の文化が衰退し、教育や生活水準の質が低下し、都市との格差が広がってしまいます。
 すると地方はますます不便となり、さらに流出していきます。
 地方にも最低限必要な経済を成立させ、地方でも生活に困らないようにすべきだと思います。

5.環境破壊

 日本は以下のような環境問題を抱えています。

  • 地球温暖化・気候変動

  • 海洋汚染

  • 大気汚染

  • 水質汚濁

  • 放置林増加

 対策としては、クリーンエネルギー利用、省エネルギー化、カーボンプライシング、プラスチック削減、森林保全への支援等の取組みを進めているようです。


 日本が抱える社会問題を解決する方法として、冒険者ギルドの様な、社会のニーズに柔軟に対応する組織、またそのための人材を育成する組織を、全国各地に設置する事を提案します。


冒険者ギルドの様な組織…ゆりかご組合(仮)

1.ゆりかご組合とは

 ゆりかご組合は以下を目的とする、円経済圏から半分独立した経済圏を形成する公益団体です。

  • 組合加入者の生活を保障

  • 人材不足業種の人材育成

  • 組合外の人からの依頼を受ける

  • 国、自治体、企業から請負う

  • 環境保全

  • 避難訓練、災害時の対応

  • 資源リサイクル

 ゆりかご組合は、人手不足・人材不足となっている業種で優先度の高いものについて、個人・企業・各自治体から依頼を受け又は請負をします。


2.ゆりかご組合での生活、保障

〈組合での生活〉
 ゆりかご組合員は、就きたい仕事を選択して従事し、組合から給料を受けます。
 未経験の職業の場合は、職業訓練を受け、育成後はその業種で働いてもらいます(5年は従事義務)。職業訓練の間も給料を受けられます。

 組合の仕事は…
①外部から請け負い
②組合員の生活を支えるための農業・林業・水産業・医療・介護・土木建築・事務
③環境保全活動
④避難訓練・災害対応
といったところです。
 
 組合員が仕事をして受け取る給料は、ゆりかご組合ポイント(ykp)です。
 一定の仕事をする事で毎月15万〜20万ykp受け取ります。
 ゆりかご組合ポイント(ykp)は、組合間でのみ使える通貨です。円経済圏では使えません。
 円経済圏のものを買うには、組合で円と交換します。(1円=1ykp)
 交換上限は月8万ykp、上限の繰越しは可能とします。(1年繰越しで96万ykp、2年繰越しで192万ykpといった具合です)
 
 組合員がゆりかご組合ポイント(ykp)で生活するためには、組合員によって提供される財・サービスによって、組合員の生活が成立するようにしなければなりません。

 宿舎、農業、畜産、土木建築、設備工事、医療、教育、リサイクル施設等々、生活に必要な業種については、独立運用出来るように人材育成を強化します。

 高度な医療、車製造、エネルギー供給等々、生活に欠かせないもので、円経済圏を頼らざるを得ない財・サービスについては、組合が円経済圏から「円」で仕入れます。

 組合員は、そのような財・サービスについても、ゆりかご組合ポイント(ykp)を支払って、組合から提供してもらう事が出来ます。
 
〈社会保障について〉
 組合員は、給料が発生する一定の仕事量を達成する事で、ゆりかご組合の社会保険(健康保険)に加入する事が可能となります。
 この社会保険(健康保険)は、現行制度の法人にとっての健康保険の事です。
 また、ゆりかご組合は労災保険にも加入します。
 これらの保険料も、生活に欠かせないものとして、組合が支払います。

 年金に代わる保障制度として、ゆりかご組合で勤続20年を達成した組合員は、老後(60歳〜)の組合での施設利用は無料となるようにします。
 現状の年金制度での、老後の労働の収入によって年金受給額が一部又は全額カットされてしまう、いわゆる50万円の壁の様な仕組みは設けません。働いて組合ポイント(ykp)を稼いでも、組合施設利用は無料です。

 尚、ゆりかご組合員が円経済圏における国民年金に加入するのは任意とします。
 ゆりかご組合員が円経済圏での企業に就職した場合の厚生年金については、現行制度に従うものとします。

 ゆりかご組合において、組合員に課す税は無しです。
 但し、組合員が円経済圏でも収入を得たり、円でもって消費することは可能なので、組合員の円経済圏での収入で発生する税については、これまで通り発生します。


3.ゆりかご組合ポイントシステム

 ゆりかご組合ポイント(ykp)は組合でのみ流通する通貨で、組合員に給料として支払われます。
 そのポイントは、組合の施設利用や財サービス購入の対価として消費されます。

 このポイント(ykp)は、会計上のカスタマーロイヤリティプログラムとは異なるもので、根拠となる円を用意しません。

 単純に、組合員の人数分のポイントを発行します。
 通貨増発の様に「ゆりかご組合ポイント」という通貨を発行するわけです。

 但し、この「ゆりかご組合ポイント」は円経済圏では使えません。組合内だけの経済です。

 組合の仕事をして報酬でポイントを貰い、日常生活で組合の施設を利用しポイントを消費します。

 日本の中に、新たな国とまでは言わなくても、新たな経済圏が生まれるイメージです。

 組合は、円経済圏からの依頼をこなすことで「円」を稼ぎ、組合員の生活や医療等どうしても組合内で賄えないサービスを円経済圏から受けて組合員に提供するために「円」を消費します。

 組合員が生活に必須な円経済圏のサービスを受ける際、その費用は組合が支払い、組合員はその費用に相当するポイントを組合に支払います。

 円が不足するのなら税金で賄う事になります。
 組合内での財サービス提供が充実して行き、「ゆりかご組合ポイント」経済で組合員の生活を賄える様になれば、この制度は安定して行くでしょう。


4.組合内の仕事、依頼・請負の事業

〈宿舎〉
 組合員の生活を支える仕事です。
 組合員は、ゆりかご組合ポイント(ykp)を家賃として支払って宿舎を利用出来ます。
 宿舎には、社員食堂・大浴場を設置します。 
 
 社員食堂・大浴場の料金について、宿舎利用者は家賃に含まれます。
 宿舎利用者以外の組合員でも、ゆりかご組合ポイント(ykp)を支払って利用出来ます。

〈農業、畜産、水産業〉

 国有地を利用するか、耕作放棄地を利用させてもらいます。
 生産したものや漁獲したもののうち一定量を組合に卸します。余った生産物は自由に取り扱って良いものとします。

〈林業〉

 森林の管理と活用を目的とした仕事です。

 間伐材利用、炭焼き、原木椎茸生産等を通して、森林を管理しつつ資源を有効活用します。
 ハゲ山となってしまわないよう、計画的な管理が求められます。

 また、森林を杉・檜ばかりにしてしまうのも適切な管理とは言えません。
 森の保水力を落としてしまい、土砂崩れや水不足を引き起こしてしまいます。

 獣が餌とする実をつける木が無いと、獣は人家に出没するようになり、獣害も発生します。

 それらを踏まえた適切な管理を林業として行ってもらいます。

〈土木建築、設備保守業務〉

 組合内部の施設建築、設備工事、道の補修等の仕事を、人材育成を受けた上で行います。
 円経済圏の個人・企業・自治体等からの依頼も受け付けます。

〈医療、介護〉

 医療福祉逼迫の現状を改善するため、医師・看護士・介護士の育成を行います。

 組合内にも医療・介護施設を造り、患者・要介護者を受入れます。

 医師・看護士になるには、大学で学び医師試験・看護士試験に合格し、現場で経験を積まなければなりません。

 ゆくゆくはその全てを組合内で完結出来るようになれば良いなと思います。

 まずは介護士育成を始め、組合内から新しく介護士が生まれ、組合単独で万全な介護体制を構築出来るようになるべきです。

〈学校教育、教師〉

 組合内に、小学校から大学までの教育に対応した、教育機関を作ります。
 組合員は無料で学校に通えます。
 組合員ではない者からは学費を徴収します。
 組合員は組合で役割を果たしているからです。
 子供は組合に加入しても、子供の間は労働する必要は有りません。
 但し、組合の学校教育を受けるのなら、成人後に組合で5年間の従事義務を負います。
 
 教育の手法は、フィンランドを参考にします。
 生徒が自発的に課題を見つけ、よく調べ分析して、解決していく…その手助けをするような教育を実践させます。
 そのためには、それに携わる教師の問題解決能力・指導能力を向上させるべきでしょう。
 入学試験は無し、卒業試験を行い生徒が、各々の進路に相応の能力を身に付けているかを測ります。
 卒業試験をクリア出来なければ留年してもらいますが、その間も学費は無料です。

 日本では留年する事を否定的に捉える傾向にありますが、フィンランドでは「学び足りなければ留年する事は当たり前」で、留年に対してネガティブなイメージは無いそうです。

 定期テストで順位を付け生徒同士で競わせることをせず、生徒個々人が自分の目標を認識し、課題を解決していく事を重視した指導を行います。

 また、教育に実学を取り入れます。
 知識活用の現場に実際に行き、体験を通して生徒の課題解決をサポートします。


〈修理、リサイクル〉

 家電や自動車等…製品はなるべく修理して長く保たせる事で、再生産により発生するエネルギー消費や環境汚染を、抑えることが出来ます。

 組合では製品の修理も事業として行いたいと思います。

 メーカーに修理技法を教えてもらい、組合内外からの修理依頼を受け付け、部品代と僅かな工賃を頂いて修理します。

 製品のライフサイクルを長くする事が、企業にとっても消費者にとってもメリットとなるような、インセンティブを用意する制度が必要だと思います。

 リサイクルについて、日本のリサイクル率はOECD各国の中で29位程で、低い方です。

 日本では、生ゴミとそれ以外のゴミを区別せず燃やすゴミで焼却処理してしまっています。

 しかし、欧州や韓国では生ゴミをリサイクルして、堆肥化したりバイオガスとしてエネルギー化しているそうです。

 欧州では、生ゴミ以外のゴミについても、ペットボトル容器にデポジット料を上乗せして販売し、回収に協力するとデポジット料をキャッシュバックしてもられるというデポジット制を取り入れたり、製造販売業者に回収・再利用を義務付けている国もあり、リサイクルについて日本よりも意識が高い事が分かります。

 組合は欧州を見習い、ゴミのリサイクルを徹底したいと思います。


〈避難訓練、災害復旧〉
 組合員は皆、避難訓練を行う義務を負います。月2〜3回行います。

 組合の施設は、災害時に避難所として活用します。その際、組合員は避難所スタッフとして避難者の保護にあたってもらいます。

 つまり避難訓練とは、ただ避難するだけではなく、避難後の対応の訓練でもあるのです。

 また組合は、災害復旧について自治体と連携して取り組みます。

 組合は平時に、自治体に災害対応費を毎年少額支払ってもらい、災害時には復旧活動について無償で自治体からの依頼に従って協力します。


まとめ

 ゆりかご組合によって、加入者は生活にゆとりを持たせることができ、自由に教育を受ける事が出来ます。

 必須の産業・技術の担い手を確保する事ができ、組合外経済の人手不足解消に寄与出来ると思います。

 自然環境を保全し、ゴミのリサイクルを推進し、環境問題解決に取り組みます。

 また組合は、災害時には避難所として活用し、組合員は避難者支援及び復旧活動に協力します。
 
 ゆりかご組合では、贅沢は出来ませんが、社会に貢献しつつ、自由に学び、ゆとりある生活を送る事が出来ます。

 社会問題解決の方法として提案します。



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