ブルームーンが光る夜 #1年後の私へ
「去年の方が大きかったかね、ブルームーン」
真っ暗な道の蛍光灯の下、きっと初対面であろうおじさんとおばさん二人がビールをプシュッと開けながら、楽しそうに夜空を指さしていた。
はたと彼らの指さす方へ振り返ると、目を見張るほどの大きなオレンジの月が、街を照らしている。
その月を見た瞬間に、一年前の今日の自分から「お願い、せめて生きていて私」と声が聞こえた気がした。
脳内が、去年にワープする。
🌕
ちょうど一年前、念願叶って入社した出版社を辞めようと決意した。
退職願を