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ホシガラス全集

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noteを始めて短編小説を書くことを覚えました。『ウミネコ文庫』さんや『シロクマ文芸部』さんに参加するようになり、見よう見まねでおぼつかない文章ですが、書いてて楽しい(^^♪ 飽…
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記事一覧

ライン川の逃避行(#シロクマ文芸部)

 霧の朝、私たち二人はライン川を川下に向かって小舟に揺られていた。  このまま誰にも見つ…

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アルキオーネ星人の憂鬱(#シロクマ文芸部)

 木の実と葉をいくつか採取した。  とても興味深い植物だ。  私はこの地球に送り込またばか…

ホシガラス
1か月前
32

晩酌の流儀(#シロクマ文芸部)

 金色に輝くグラスタンブラーを手に入れた。  日頃は家飲みをする方ではないが、匠が手掛け…

ホシガラス
1か月前
52

表彰状(#秋ピリカ応募)

 目を覚ましたら広い劇場の中にいた。  確か車を運転していたはずなのだけど、その車が見あ…

ホシガラス
1か月前
88

眷属の研鑽(#シロクマ文芸部)

「風の色を変えられないと立派な眷属にはなれんぞ」  生瑠伊神社に仕える先輩の眷属たちに、…

ホシガラス
1か月前
41

ライン川でのデジャヴ(#シロクマ文芸部)

 懐かしいと感じるはずもない場所で、私は長い時間立ち尽くし動けなくなっていた。  10年…

ホシガラス
2か月前
47

居ても良い場所(#シロクマ文芸部)

 ※少し修正しました。 「レモンからーい!」と顔をしかめ、いきなり大きな声で叫ぶ琴音。  琴音が握りしめているくし切りされたレモンを乱暴に奪い取り、「食べちゃダメ!」と、思わず手を上げそうになる。  心底怖いのは、私の中の凶器だ。  琴音は3歳の誕生日を迎えたばかりで、まだ完全にオムツも取れていない。なのにイヤイヤ期に突入したようで、服を着せるのもオムツを履かせるのも「ヤダッーー!自分でするー」と、一事が万事すんなりと済ませることが出来ない。毎日時間に追われ自分の事は二の

空気の子(#シロクマ文芸部)

 流れ星に祈ることでしか、今の私にはできることがない。  それは彼女への贖罪の証のつもり…

ホシガラス
2か月前
48

花火と手作りクッキー(#シロクマ文芸部)

 花火と手作りクッキーを用意して、和子さんは早朝からいそいそと来客の準備を始めます。  …

ホシガラス
3か月前
47

入道雲と鶏眼(#シロクマ文芸部)

 夏の雲を恨めし気に見上げながら、まさるくんは涙を袖口でぬぐった。  そして動けないで立…

ホシガラス
3か月前
62

『鳴り砂の浜辺』(#シロクマ文芸部)

 海の日を首を長くして待ちわびていた。 何故なら海の日になったら田舎のお祖母ちゃんの家で…

ホシガラス
4か月前
44

輪廻転生(#シロクマ文芸部)

 夏の夜、こうして星空を眺めていると思い出すことがある。  今から79年前、1945年8…

ホシガラス
4か月前
53

神の啓示(#シロクマ文芸部)

 「手紙にはこれを書こうぜ、神様にさ!」  光輝君は少し興奮気味に僕たちを集めて言った。 …

ホシガラス
4か月前
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紫陽花が咲く頃(#シロクマ文芸部)

 <紫陽花を見ると思い出すのう>  小さな神様は自身が祀られている古い祠の屋根に座って、傍らで今が盛りと咲き誇る青い紫陽花を愛でていた。  <あの娘は今頃どうしてるかのう>  山陰地方の里山に、ひっそりと祀られている祠があった。  ここには五十猛命という名の神様が祀られている。『天上からもってきた木種を日本全土に播き、国の樹木が豊かに繁茂する環境を作ったとされる樹木の神。父神はスサノオ尊』という由緒書きがあるが、実のところ、山の自然霊が長い時間を経て神となり、この祠に宿るよ